アケビコノハ 擬態の帝王
日本語で単に【擬態】という場合には、
目立たなくさせるような【隠蔽的擬態 Mimesis】と、
よく目立つようにする【標識的擬態 Mimicry】の、
相反するふたつの概念を含んでいる。
つまり、枯れ葉のようなコノハムシも、
ハチのようなカミキリムシも、英語では、
【Mimesis】と【Mimicry】と区別されるのに、
日本語ではいずれも【擬態】と呼ばれる。
日を改めて、詳しく紹介する予定であるが、
それらは、明確に区別される用語なので、
使用の際は注意が必要である。
アケビコノハの場合には、不思議なことに、
これらのふたつの機能を、
幼虫と成虫で見事に使い分けている。
この子は、とてつもなく素晴らしい役者なのである!!
成虫の写真が撮れたので、約束通り再登場!!
アケビコノハ君です。
2010年10月13日 アケビコノハ終齢幼虫 弘前市
アケビの葉っぱを食べているときや、
歩いているときはこんな感じで、
よくみられる普通の蛾の幼虫である。。
ところが、静止しているとこは、こんな状態で、
背中だけを持ち上げ、目玉模様を強調した、
典型的なこの子の静止パターンである。
鳥のような捕食者が見ると、こんな感じになるのか?
いずれにしても、目玉模様が強調され、
ヘビに似せた【標識的擬態 Mimicry】の典型とされる。
しかし、成虫は全く違う。
まるで枯れ葉が落ちているようである。
こちらは、【隠蔽的擬態 Mimesis】の典型である。
そして、この後がすごい!
写真を何枚か撮っていると、突然飛び立った。
11月下旬の夕方で、かなり気温がさがっているのに、
元気に飛び去ってしまった。
着陸した付近の芝生を懸命に探したが、
本物の枯れ葉に混ざって、再発見は困難であった。
そして、数分後、突然飛び立つ寸前のワンショットである。
あわててシャッターを切ったので、
下手糞な写真であるが・・・
突然、翅を広げて、鮮やかな目玉のような模様が見える。
こちらは、典型的な目玉模様の提示パターンである。
何故、君は、こんなことができるんだ。