虫たちの親子-38 キバラヘリカメムシ
虫たちの親子シリーズ、再開します。
カメムシ類の幼虫は、同定が予想外に難しいが、
成虫と一緒にいる場合は、確実に識別可能である。
・・・と、気弱に書いてしまったが、
少なくとも、今回のキバラヘリカメ幼虫は、
寄主植物(ニシキギ、マユミ等)も限られているので、
単独で見つけても、おそらく同定できたと思う。
まずは、幼虫から・・・
キバラヘリカメムシ幼虫(ヘリカメムシ科)
2015年10月11日 碇ヶ関・青森
名前の由来となった腹部の鮮やかな黄色が、
よく目立つヘリカメムシだ。
6本の脚の全てに見られる白い部分も、なかなか良い。
⇒キバラヘリカメムシの放出する匂いが、
青りんごの匂いに似ているという噂(?)があり、
おそらく出所は同じだと思うが、
ネット上でも、しばしば紹介されている【注】。
キバラヘリカメムシ幼虫(ヘリカメムシ科)
2015年10月11日 碇ヶ関・青森
正面から見ると、ちょっとだけ、雰囲気が変わる。
実は、この幼虫2枚の写真は、
高速道路のPAで撮ったものだ。
以前、このブログで紹介したことがある、
幼虫の大集団も、別の高速SAで撮ったものだ。
衝撃の大集団の写真は、以下でご覧ください。
【まさかの場所で、キバラヘリカメムシの大集団】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20131002/1/
・・・成虫(親)は?
キバラヘリカメムシ成虫(ヘリカメムシ科)
2015年10月11日 碇ヶ関・青森
比較的見栄えの良いヘリカメである。
成虫になると「お腹の黄色い部分」は、
残念ながら、翅で隠されてしまうが、
はみ出した(?)部分は、黄色と黒の縞模様で、
良く言われる「工事現場の注意信号」だ。
成虫の脚の白黒も、良い味を出していると思う。
【注】個人的には、青りんごの匂いがすると、
感じたことは、一度もない。
もしかしたら、時間が経過して、
匂いが弱くなったときに、
そんな香りがするのかもしれないが・・・
カメムシが放出する匂いの主成分は、
炭素数6~10の直鎖のアルデヒトであり、
それらは、基本的に強烈なカメムシ臭がする。
大別すると、直鎖部分に2重結合を持つアルデヒド類は、
カメムシ科に多く、シャープな匂いがする。
一方、2重結合を持たないものは、ヘリカメムシ科に多く、
ややマイルドな匂いがすると思う。
【虫たちの防御戦略⑬ Ⅲ(5). 化学的防御手段】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130304/1/
これらのアルデヒド類は、いわゆる青臭い匂いの主成分であり、
香水の原料として使用されることがある。
そのためか、カメムシの匂いも、薄めれば香水になるという、
都市伝説もあるようだ。