虫たちの親子-44 クサギカメムシ
今回のクサギカメムシは、日本のほぼ全土に分布し、
果樹や豆類の害虫としても、古くから知られている。
さらに、成虫が越冬の際に、人家に入り込むことがあり、
悪臭を出す性質もあって、衛生害虫としても有名だ。
だから、虫マニアでない人も、
クサギカメムシのことを知っていて、
多分「臭いカメムシの代名詞」になっている・・・?
⇒だんぶり池の林道で、出会った人たちに、
「何で、あんな臭い虫が好きなの?」
と声を掛けられることが、たまにある。
多分、その人たちの頭の中は、
【カメムシ=クサギカメムシ】
である可能性が高いようだ。
まずは、見かけることが少ない幼虫から・・・
クサギカメムシ終齢幼虫(カメムシ科)
2010年8月6日 座頭石・青森
同じような雰囲気の幼虫が続くが、
この子は、間違いなくクサギカメ幼虫である。
⇒触角の先端付近の模様や、
前胸背板の側角付近の白色部に、
鋭いドケがあるので識別可能である。
クサギカメムシ4齢幼虫(カメムシ科)
2010年8月12日 だんぶり池・青森
こちらは、4齢幼虫だと思う。
やはり、周辺部分の鋭い突起が、特徴である。
だんぶり池では、成虫を頻繁に見かけるのだが、
幼虫に出会うことは、少ないような気がする。
⇒本州中部では、年一化性なので、
幼虫が見られる時期が、初夏の頃だけなのも、
大きな理由かもしれない。
クサギカメムシ3齢幼虫(カメムシ科)
2015年7月27日 だんぶり池・青森
こちらは、多分3齢幼虫だと思う。
クサギカメムシは、50種類以上の植物から、
成虫と幼虫が見いだされている。
ただ、1種類の植物だけを餌として飼育しても、
孵化幼虫から新成虫にまで発育し、
交尾・産卵するとは限らない【注】。
⇒果樹害虫とされる多くのカメムシは、
その時点での最適な餌を選んで、
次々に寄主植物を変えていくのだ。
・・・成虫(親)は?
クサギカメムシ成虫(カメムシ科)
2015年7月27日 だんぶり池・青森
絶対的な普通種(害虫!!)なので、
いつでも、どこにでもいる。
特に、晩秋のダムサイトでは、もの凄いことになる。
【ダムサイト② クサギカメムシばっかり】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20121105/1/
【注】クサギカメムシの成虫と幼虫の存在が報告された植物は、
これまでに、27 科51 種類以上に及ぶ。
ただ、定義上の寄主植物(産卵と幼虫の正常な発育)は、
ずっとキリだけが知られていたのだが、最近になって、
秋田県でウワミズザクラが追加された。