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普通に考えれば、シリアゲムシの種類を、 写真だけの同定するのは、かなり無理がある。 普段は、翅の下に隠されている部分の特徴が、
決め手になることが多いからだ。 しかし、今回のプライヤシリアゲの場合は、 翅の斑紋の変異が大きいことだけがネックなので、 慣れれば、少なくとも頭が混乱することはない(?)。 ネット情報では、写真でも分かりやすい外観の違いから、 ふたつのグループに分けられるようだ。 【Aタイプ】: 胸部の背中側、及び吻に黄色い線が入る。 【Bタイプ】: 胸部と吻に黄色い線が入らず真っ黒になる。 ⇒それでも、A・Bの両タイプが、 さりげなく同種であることが、 ちょっとだけ不思議なのだが・・・ ネット情報では、本種の和名のプライヤは、 発見者の Henry Pryer に由来するようだ。 東北から九州にかけて広く分布し、 日本産のシリアゲムシ属の中においても、 最も普通に見られる種のひとつである。 ⇒ただし、本種に近縁な未記載種の存在も、 指摘されているようなので、注意が必要である。 また、北海道にはプライヤはいないようで、
よく似たエゾシリアゲという種類がいる。 まずは、写真から・・・ 背中の黄色い線と、口吻の側面が黄色なので、 典型的な【Aタイプ】の個体である。 前翅には、複雑な帯状紋があるが、 個体変異もかなり大きいようだ。 この子は、胸部の背中側や口吻に、 黄色い部分がない【Bタイプ】だ。 羽の斑紋のパターンも、違うようなので、 この点でも、同定に注意が必要だ。 和名のイメージほど、珍しい昆虫ではない。 ただ、この写真の珍しい(?)のは、
ヨモギの虫えいを食べているところである。 虫えいは、多分ヨモギハエボシフシだろう。 詳しくは、観察していないが、もしかして、 内部のヨモギシロケフシタマバエの幼虫を食べているかも? ⇒虫えいは、果実のように見えるものもある。 ネット情報では、野鳥類が食べることもあるようで、
内部の柔らかい部分をそのまま食べる場合と、 中にいる幼虫だけを食べる場合があるようだ。 この子は、生きている蛾の幼虫を食べているようだが、 シリアゲの仲間は狩りをするための武器を持たないので、 たまたま見つけた死骸を食べていると考えられる。 (この点に関しては、Nabita 氏からもコメントを頂き、 徘徊性のクモの食べ残しの可能性があるとのこと) しかし、あの細い口で、どうやって食べるのだろうか? 細い顔のイメージから、カメムシのように、 捕獲した獲物の体液を吸い取ることができそうだが・・・ ⇒ただ、ちょっとだけ不思議なことに、 口吻の先端には、牙のような突起があり、 柔らかい餌をかじりとることもできるようだ。 (次回に続きます) PR |
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いろいろな意味(?)で不思議なシリアゲムシ。 その不思議さのレベルは、半端ではない!!! ⇒今回から始まるシリーズで、その不思議さが、 さりげなく表現(?)できればと思う。 初夏のころ、林道をカメラ片手に歩いていると、 葉っぱの上にいるシリアゲ類が、普通に目に付く。 体長1~2cmと大き目の種類が多く、 近づいてもあまり逃げないイメージがあり、 飛び方も、決して上手とはいえない。 雄は、腹部末端の把握器が大きく発達し、 これを背側に持ち上げる姿勢をとることから、 そのまんま(!!)シリアゲムシという和名になった。 また、雌雄ともに、頭部の口吻が細長く突き出して、 馬の顔のように見えるのも特徴のひとつだ。 ただ、シリアゲの仲間は、個体変異が大きく、 写真だけの同定はかなり難しいとされているのだが、 何とか確定できた種類を、数回に分けて紹介していきたい。 最初は、最も目につきやすいヤマトシリアゲ。 以前ツノアオカメムシのところで紹介したときに、 この子をリストに挙げられなかったのだが、 ヤマトシリアゲの学名は、Panorpa japonica である。 【虫たちの親子-45 ツノアオカメムシ】 ↓ ↓ ↓ http://kamemusi.no-mania.com/Date/20160316/1/ この記事の最後に、種小名が japonica と付く虫たちを、 比較的有名な種を中心にリストアップしています。 この姿が、典型的なシリアゲムシの雄の姿である。 お尻の上げ方が、サソリの毒針のように見えるので、 英名では、スコーピオンフライと呼ばれている。 ⇒さそり座という星座があるほど有名なのだが、 日本には分布していないので、 和名は、シリアゲの方が採用されたのだろうか? ただ、サソリにベイツ型擬態しているのかどうかは、 以下の理由から、微妙である。 サソリは、強力な武器を持っているのに、 いわゆる警戒色の種は存在しないようで(多分?)、 この点で、ベイツ型擬態のモデルにはならない。 あまりにも毒性が強すぎるために、 攻撃した捕食者は、学習することなく、 死んでしまうからなのだろうか? この関係は、以下の記事で紹介したように、 フグやトリカブトの毒性に似ていると思うのだが・・・ 【警戒色の虫たちと有毒植物① 葉っぱの味は?】 ↓ ↓ ↓ http://kamemusi.no-mania.com/Date/20160319/1/ 雌は、このように尻上げ(シリアゲ)はしない。 ・・・というか、短くて持ち上げられない?
見た目は、どちらかというとアブに近い体型だろう。 ヤマトシリアゲの前翅には、写真のように、 先端部分と中心付近に真っ黒な帯があるのが特徴だ。 ⇒ただ、これら2本の帯状紋以外に、 様々な黒い小紋が生じる個体があり、 翅の斑紋の個体変異は大きい。 目立つ2本の帯状紋を持つ種類に、 マルバネシリアゲやキバネシリアゲがいるが、 この2種は、写真では正確に区別できない・・・? たまに、このような食事中の個体にも出会う。
基本的に、幼虫・成虫ともに肉食性だが、
花粉や死骸も食べることもあるようだ。 特に強力な武器を持たないので、 積極的な狩りをする捕食者ではないようだ。 ⇒同じ雰囲気のムシヒキアブの方が、 よっぽど、狩りは上手である。 また、シリアゲの仲間には、交尾の際に、 雄が雌に食べ物をプレゼントする行動が知られている。 【ヤマトシリアゲ 交尾中だったのか】
↓ ↓ ↓ http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150904/1/ ⇒ヤマトシリアゲは、婚姻贈呈を行う場合と、
行わないで交尾する場合があるようだが・・・ さらに、不思議な特徴として、
春(4~5月)と夏(7~9月)に見られる成虫は、 体色が、全然違うことが知られている。 写真の第2世代の成虫は、やや小型で、
体がベッコウ色を基調としており、 昔はベッコウシリアゲとして、 別種扱いされていたそうだ。 ⇒ただ、この子は、前翅の斑紋パターンが、
多少違っているようなので、 もしかしたら別種かもしれない。 (次回に続きます)
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虫達の親子(成虫と幼虫)で、姿が大きく変わるのは、 だから、このシリーズに登場するのは、
・・・という訳で、まずは蛾!
キドクガ幼虫(ドクガ科) このような良く目立つ黒と赤と白の毛虫は、 どっちが前なのかが、ちょっと分かりにくいが、
キドクガ幼虫(ドクガ科) 横から見ると、赤色の帯が強調される。
まあ、名前のとおり、黄色いドクガである。 ただし、成虫になっても毒針毛を持っており、
さらには、雌は産んだ卵にも、
これらの毒針毛は、幼虫脱皮のたびに新しく作られ、 だから、蛹や成虫、さらには卵にまで付着するのだ。
【最も危険な昆虫?? イラガ類の幼虫】
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今回は、そんな感じの近場の浅瀬石ダムで見かけた、
多くのトンボ類が、幼虫(ヤゴ)越冬なのだが、 名前を漢字で書くと、越年トンボなのだろう。
晩秋の外灯に集まる代表的な蛾だが、 確かに、鮮やかなオレンジ色が、晩秋には良く似合う?
カワゲラの仲間には、腹部に2本の尾毛があるが、
【越冬した虫たち【2】 寒いのに!!】
そして、今回の目玉!!! ←全然さりげなくない?
エグリヒメカゲロウ(ヒメカゲロウ科) 真上から見ると、頭が隠れているので、 また、この雰囲気は、普通に見れば蛾の仲間だ。
そして、突然、蛾ではないことに気が付いた。
北国でも、早春に見つかるので、
エグリヒメカゲロウ(ヒメカゲロウ科) これは上の写真と同一個体を横から撮ったものだが、
このように、見る角度によって、 代表的な蛾は、もちろんムラサキシャチホコである。
ネット情報では、本種は希少種とされ、
【注】ご存知の方も多いと思うが、ただのカゲロウ類は、 今回のヒメカゲロウの仲間は、名前がややこしいが、 昔の蜉蝣目と脈翅目の方が、間違えにくいかも・・・
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