不思議なシリアゲムシの世界② プライヤシリアゲ
普通に考えれば、シリアゲムシの種類を、
写真だけの同定するのは、かなり無理がある。
普段は、翅の下に隠されている部分の特徴が、
決め手になることが多いからだ。
決め手になることが多いからだ。
しかし、今回のプライヤシリアゲの場合は、
翅の斑紋の変異が大きいことだけがネックなので、
慣れれば、少なくとも頭が混乱することはない(?)。
ネット情報では、写真でも分かりやすい外観の違いから、
ふたつのグループに分けられるようだ。
【Aタイプ】: 胸部の背中側、及び吻に黄色い線が入る。
【Bタイプ】: 胸部と吻に黄色い線が入らず真っ黒になる。
⇒それでも、A・Bの両タイプが、
さりげなく同種であることが、
ちょっとだけ不思議なのだが・・・
ネット情報では、本種の和名のプライヤは、
発見者の Henry Pryer に由来するようだ。
東北から九州にかけて広く分布し、
日本産のシリアゲムシ属の中においても、
最も普通に見られる種のひとつである。
⇒ただし、本種に近縁な未記載種の存在も、
指摘されているようなので、注意が必要である。
また、北海道にはプライヤはいないようで、
よく似たエゾシリアゲという種類がいる。
よく似たエゾシリアゲという種類がいる。
まずは、写真から・・・
背中の黄色い線と、口吻の側面が黄色なので、
典型的な【Aタイプ】の個体である。
前翅には、複雑な帯状紋があるが、
個体変異もかなり大きいようだ。
この子は、胸部の背中側や口吻に、
黄色い部分がない【Bタイプ】だ。
羽の斑紋のパターンも、違うようなので、
この点でも、同定に注意が必要だ。
和名のイメージほど、珍しい昆虫ではない。
ただ、この写真の珍しい(?)のは、
ヨモギの虫えいを食べているところである。
ヨモギの虫えいを食べているところである。
虫えいは、多分ヨモギハエボシフシだろう。
詳しくは、観察していないが、もしかして、
内部のヨモギシロケフシタマバエの幼虫を食べているかも?
⇒虫えいは、果実のように見えるものもある。
ネット情報では、野鳥類が食べることもあるようで、
内部の柔らかい部分をそのまま食べる場合と、
中にいる幼虫だけを食べる場合があるようだ。
内部の柔らかい部分をそのまま食べる場合と、
中にいる幼虫だけを食べる場合があるようだ。
この子は、生きている蛾の幼虫を食べているようだが、
シリアゲの仲間は狩りをするための武器を持たないので、
たまたま見つけた死骸を食べていると考えられる。
(この点に関しては、Nabita 氏からもコメントを頂き、
徘徊性のクモの食べ残しの可能性があるとのこと)
しかし、あの細い口で、どうやって食べるのだろうか?
細い顔のイメージから、カメムシのように、
捕獲した獲物の体液を吸い取ることができそうだが・・・
⇒ただ、ちょっとだけ不思議なことに、
口吻の先端には、牙のような突起があり、
柔らかい餌をかじりとることもできるようだ。
(次回に続きます)
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