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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

不思議なシリアゲムシの世界① ヤマトシリアゲ


いろいろな意味(?)で不思議なシリアゲムシ。

その不思議さのレベルは、半端ではない!!!

 ⇒今回から始まるシリーズで、その不思議さが、
  さりげなく表現(?)できればと思う。


初夏のころ、林道をカメラ片手に歩いていると、
葉っぱの上にいるシリアゲ類が、普通に目に付く。

体長1~2cmと大き目の種類が多く、
近づいてもあまり逃げないイメージがあり、
飛び方も、決して上手とはいえない。

雄は、腹部末端の把握器が大きく発達し、
これを背側に持ち上げる姿勢をとることから、
そのまんま(!!)シリアゲムシという和名になった。

また、雌雄ともに、頭部の口吻が細長く突き出して、
馬の顔のように見えるのも特徴のひとつだ。

ただ、シリアゲの仲間は、個体変異が大きく、
写真だけの同定はかなり難しいとされているのだが、
何とか確定できた種類を、数回に分けて紹介していきたい。



最初は、最も目につきやすいヤマトシリアゲ。

以前ツノアオカメムシのところで紹介したときに、
この子をリストに挙げられなかったのだが、
ヤマトシリアゲの学名は、Panorpa japonica である。

【虫たちの親子-45 ツノアオカメムシ】

 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20160316/1/

この記事の最後に、種小名が japonica と付く虫たちを、
比較的有名な種を中心にリストアップしています。



ヤマトシリアゲ雄(シリアゲムシ科)

2013年6月7日 七ツ洞公園・茨城

この姿が、典型的なシリアゲムシの雄の姿である。

お尻の上げ方が、サソリの毒針のように見えるので、
英名では、スコーピオンフライと呼ばれている。

 ⇒さそり座という星座があるほど有名なのだが、
  日本には分布していないので、
  和名は、シリアゲの方が採用されたのだろうか?


ただ、サソリにベイツ型擬態しているのかどうかは、
以下の理由から、微妙である。

サソリは、強力な武器を持っているのに、
いわゆる警戒色の種は存在しないようで(多分?)、
この点で、ベイツ型擬態のモデルにはならない。

あまりにも毒性が強すぎるために、
攻撃した捕食者は、学習することなく、
死んでしまうからなのだろうか?

この関係は、以下の記事で紹介したように、
フグやトリカブトの毒性に似ていると思うのだが・・・

【警戒色の虫たちと有毒植物① 葉っぱの味は?】
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20160319/1/






ヤマトシリアゲ雌(シリアゲムシ科)

2014年7月26日 美山湖・秋田

雌は、このように尻上げ(シリアゲ)はしない。
・・・というか、短くて持ち上げられない?

見た目は、どちらかというとアブに近い体型だろう。

ヤマトシリアゲの前翅には、写真のように、
先端部分と中心付近に真っ黒な帯があるのが特徴だ。

 ⇒ただ、これら2本の帯状紋以外に、
  様々な黒い小紋が生じる個体があり、
  翅の斑紋の個体変異は大きい。


目立つ2本の帯状紋を持つ種類に、
マルバネシリアゲやキバネシリアゲがいるが、
この2種は、写真では正確に区別できない・・・?








ヤマトシリアゲ雄(シリアゲムシ科)

2010年8月25日 だんぶり池・青森

たまに、このような食事中の個体にも出会う。
基本的に、幼虫・成虫ともに肉食性だが、
花粉や死骸も食べることもあるようだ。

特に強力な武器を持たないので、
積極的な狩りをする捕食者ではないようだ。

 ⇒同じ雰囲気のムシヒキアブの方が、
  よっぽど、狩りは上手である。

また、シリアゲの仲間には、交尾の際に、
雄が雌に食べ物をプレゼントする行動が知られている。
【ヤマトシリアゲ 交尾中だったのか】
 ↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150904/1/
 ⇒ヤマトシリアゲは、婚姻贈呈を行う場合と、
  行わないで交尾する場合があるようだが・・・





多分ヤマトシリアゲ雌(シリアゲムシ科)

2010年9月24日 東海村・茨城

さらに、不思議な特徴として、
春(4~5月)と夏(7~9月)に見られる成虫は、
体色が、全然違うことが知られている。
写真の第2世代の成虫は、やや小型で、
体がベッコウ色を基調としており、
昔はベッコウシリアゲとして、
別種扱いされていたそうだ。
 ⇒ただ、この子は、前翅の斑紋パターンが、
  多少違っているようなので、
  もしかしたら別種かもしれない。


(次回に続きます)


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