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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

不思議な幼虫集団 オオトビモンシャチホコ


前回、だんぶり池のヒオドシチョウ幼虫の集団を紹介した。
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150626/1/


そこから、ほんの数メートル離れたコナラの木で、
同じような雰囲気の幼虫集団が見つかった。

 

 

オオトビモンシャチホコ幼虫(シャチホコガ科)

2015年6月6日 だんぶり池・青森

最初は、いったい何が起こっているのか分からず、
ちょっとびっくりの光景だった。

 ⇒このような幼虫集団を見つけたときは、
  周辺の葉っぱが食べつくされていることが多いのだが、
  今回は、ちょっとだけ雰囲気が違う。
   
  食痕のある葉っぱがあまり見つからないのだ。

 

 

 

オオトビモンシャチホコ幼虫(シャチホコガ科)

2015年6月6日 だんぶり池・青森

帰宅後に、軽く種名を調べてみると、
オオトビモンシャチホコの終齢幼虫のようだ。


この時点で、すでに終齢幼虫なのだが、
羽化するのは、多分夏の終わりころになるらしい。

 ⇒同じ年1化なのだが、不思議なことに、
  前回のヒオドシチョウとは、違った生活史だ。

 

 

 


オオトビモンシャチホコ幼虫(シャチホコガ科)

2015年6月7日 だんぶり池・青森

翌日も同じコナラの木の枝にいた。

 ⇒やはり、赤と黒の組み合わせは、
  基本的には、よく目立つ警戒色になるだろう。


そして、ちょっとだけ不思議な昆虫の世界では、
警戒色の虫たちは、集団になる傾向がある。

視覚的に獲物を探す捕食者に対して、
より目立たせることが出来るからだと思う。

ただし、捕食者に対して、何らかの防御手段を持っていることが、
この行動の前提になるのだが・・・

 

 

 

オオトビモンシャチホコ幼虫(シャチホコガ科

2015年6月15日 だんぶり池・青森

そして、1週間後にも、同じ場所に!!!!

しかし、肝心の防御手段が思い当たらない。


物理的な防御手段はないし、目玉模様もない。
さらに、毒針毛を持っていないし、
化学的な防御物質を放出することもない。
おそらく、警報フェロモンも放出しないだろう。

 

 

 

オオトビモンシャチホコ幼虫(シャチホコガ科)

2015年6月20日 だんぶり池・青森

さらに、さらに5日後にも・・・

 ⇒赤と黒が、くすんだようになってきて、
  この場所にいるときは、警戒色というより保護色に近い?


今日で、このコナラの木で観察を始めてから、
ちょうど2週間が経過したことになる。

その間、観察は朝だけなのだが、ずっと終齢幼虫のまま、
集団で過ごしていたことになる。

 ⇒付近の葉の食痕からみても、もうあまり、
  葉っぱを食べることはないのかもしれない。


何故、ほとんど葉っぱを食べることはないのに、
こんな風に、幼虫のままでいるのだろうか?

 

 

・・・・

 


ようやく、6月24日の観察では、
何時も見かける枝に、幼虫の姿はなかった。

おそらく、落葉中や土の浅いところで、蛹になったのだろう。

 ⇒それなら、何でサッサと地面に降りて、
  落ち葉の下に隠れなかったのだろうか?

 


やっぱり、これが「ちょっとだけ不思議な昆虫の世界」なのだろう。

 

 

     

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まさかの場所で、キバラヘリカメムシの大集団

高速道路のサービスエリアで、
アイン君を散歩させていた妻が、
とんでもないものを見つけた。

(車で仮眠中の私は、たたき起こされたが!!)


行ってみると、キバラヘリカメムシ幼虫の大集団・・・・

 

 


キバラヘリカメムシ幼虫集団

2013年9月29日 国見SA・福島

場所は、東北自動車道の国見サービスエリア(下り線)。

多分ニシキギの木は、特に奥まった場所ではなく、
かなり人通りの多い歩道脇に、1本だけあった。

枝にコルク質のヒレ(?)があるので、
この子をよく見かけるマユミではなさそうである。

ちょうど昼食の時間帯ではあったが、
付近を通りかかる人は、誰も気づかないようだ。

 

 


キバラヘリカメムシ幼虫集団

2013年9月29日 国見SA・福島

キバラヘリカメは、卵塊ごとに幼虫集団を作るが、
ごく稀に、数個の集団が一緒になって、
このような大集団になることがあるようだ。

しかし、こんな大集団を見たのは、
私は、もちろん初めてである。

 

 

キバラヘリカメムシ幼虫(ヘリカメムシ科)

2013年9月29日 国見SA・福島

この集団は、終齢幼虫がほとんどで、
4齢や成虫もチラホラ見える。

 

 

しかし・・・

 

キバラヘリカメムシ幼虫集団

2013年9月29日 国見SA・福島

最初の集団のちょうど反対側の、
電柱に接している部分にも、集団を見つけた。

ちょっとだけ不思議なことに、一部の個体は、
電柱の部分にはみ出して静止していた。

 

 


キバラヘリカメムシ幼虫集団

2013年9月29日 国見SA・福島

拡大してみると、この集団は、
発育ステージがバラバラである。

多少、条件が悪い場所だったのだろうか?

 

 

 

キバラヘリカメムシ幼虫集団

2013年9月29日 国見SA・福島

それにしても、こんな目立つ場所での大集団、
観光客やSAの管理事務所の人に見つからないことを、
ただただ祈るばかりである。

 

 

      

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カメムシの集団⑧ クサギカメムシ他

カメムシの集団シリーズ(?)、今回が最後である。

前回まで(①~⑦)で見てきたように、カメムシの集団は、
以下のようなタイプに分けることができる。

 (1) ふ化直後から吸汁開始時期までのかなり密な集団、
 (2) 摂食・静止時におこる幼虫時期の集団、
 (3) 寄主植物の一部分に成虫・幼虫が混在するルーズな集団、
 (4) 交尾のための成虫のルーズな集団、
 (5) 越冬場所での集団、

この中で、(4)と(5)のカメムシの集団は、
さらに、微妙に異なるいくつかのグループがありそうだ。

前回、(4)については、少しだけ紹介したが、
まだまだ、良く分からないタイプもありそうである。

 

今回は、(5)の集団越冬するカメムシであるが、
こちらは、明らかに2つのグループに分けられる。

最初のグループは、キンカメムシの仲間で見られたような、
完全に同一の種類が意識的(?)に集まって越冬するものである。


一方、それぞれの個体が、好適な越冬場所を探しているうちに、
結果的に同じ場所になってしまった、というような第2のタイプもある。

だから、このような越冬集団は、同種のみで構成されていることはない。

越冬するために、人家に侵入する(前回の)マルカメムシもそうであるが、
他のカメムシ類やテントウムシなども、同じ場所で一緒に見つかるのだ。

 


クサギカメムシ(カメムシ科)

2011年10月11日 西目屋村・青森

雑木林の近くの人家の壁に、集まってきたクサギカメムシ。

このように、越冬のために集まるカメムシは、珍しくない。

ただ、この建物には、クサギカメムシしかいないようだ。
単に、時期的な問題なのかもしれないが・・・

 

 

クサギカメムシ(カメムシ科)

2012年10月20日 浅瀬石ダム・青森

こちらも、比較的暖かそうな駐車場のトイレの壁や天井に、
緩やかな集団にはなっているが、おそらく、
それぞれが、単に好適な場所に来ているだけでのようある。

ただ、これだけの数のカメムシが、人目に付くところに沢山いると、
どうしても「不快害虫」というジャンルに入ってしまう。

 

 

クサギカメムシ(カメムシ科)

2012年10月27日 八幡平・秋田

雑木林の周辺で、生活しているカメムシたちにとって、
突然出現した人為的な建造物は、寒い冬をやり過ごすための、
絶好の隠れ家になったのである。

これだけ、人家の壁に、大胆に集まってくると、
人間も対抗手段を取らざるを得ない。

この子たちは、殺虫スプレーを噴射されてしまったようである。

 

 


ヒメホシカメムシ(オオホシカメムシ科)

2006年2月3日 徳島市・徳島

その他にも人為的な環境で、集団越冬するカメムシもいる。
ヒメホシカメムシが、工事現場のブルーシートの下に、集まっていた。

南国徳島でも、2月は真冬であるが、
一枚のシートでも、少しは暖かいのだろう。

ただ、人為的な場所とはいえ、こんな感じの集団では、
殺虫剤を撒かれることはないだろう。

当然、この子たちも、たまたま集団になっているようで、
お互いの距離関係は、微妙である。

 

 


ヨコヅナサシガメ幼虫(サシガメ科)

2013年3月26日 東海村・茨城

こちらは、幼虫で集団越冬したヨコヅナサシガメ(注)
暖かくなったので、樹皮の隙間から出てきたようだ。

おそらく、少し前までは、びっしりと体を寄せ合って、
寒さに耐えてきたのだろう。

一般に肉食性のカメムシは、草食性の種に比べて、
それぞれが、簡単には見つけにくい(?)共通の餌を求めるので、
よりライバル関係が厳しいものになるはずである。

だから、集団になることは、不利益な行動と考えられるが
餌を食べない冬の時期だけは、例外なのだろう。


(注)中国が原産の外来種とのことで、1928年に九州で発見された。
   近年急速に増加したようであるが、比較的大きな肉食性の種なので、
   在来種(ライバルや餌種)にどの程度の影響を与えるか、注目される。

 

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カメムシの集団⑦ マルカメムシ

マルカメムシは、前回のオオツマキヘリカメムシと同様に、
繁殖期(注)には、交尾のための集団を形成する。

でも、その集団の性質は、どうも微妙に違うようだ。

 

 

マルカメムシ(マルカメムシ科)

2005年9月3日 徳島市・徳島

特異な容姿を持つマルカメムシは、市街地でも、
クズなどの雑草で、比較的よく見かける。

この写真のように、幼虫時代の名残り(?)のような、
かなりルーズな集団を形成していることが多い。

 

 


マルカメムシ(マルカメムシ科)

2012年5月29日 南湖公園・福島

こちらの集団は、明らかに、意識的(?)に、
寄り添っているようだ。

しかし、集団内で、交尾しているカップルは、
なかなか見つけることはできない。

 

 


マルカメムシ(マルカメムシ科)

2012年5月29日 南湖公園・福島

この集団のちょうど真ん中に見える2匹は、
良く見ると、交尾中のようである。

これだけ沢山集まっているのに、
カップルは、1組だけしか見つからない。


交尾相手を効率的に探すためだけに、
集団になっているのではないのだろうか?

 

 

マルカメムシ(マルカメムシ科)

2011年6月10日 ひたちなか市・茨城

この写真の2組のカップルは、かなり微妙である。
それぞれが、交尾しているように見えるが、どうだろうか?

 

前回紹介したオオツマキヘリカメムシの場合、
集団の中で、ほとんどがカップルになっていた。

ところが、マルカメムシの場合は、明らかに様子が違っている。
交尾カップルがいる集団と、全くいない集団が存在するのだ。


この辺は、多分研究者によって、調べられていると思うが、
羽化後の日数とか、集団内の雌雄の数のバランスとか、
雌の(卵巣の)成熟度とかが、かなり影響しているようだ。


いずれにしても、マルカメムシの集団は、
ちょっとだけ不思議だ。

 


(注)もちろん、繁殖期以外の時期にも、
   マルカメムシは、もの凄い集団を作る。
   好適な越冬場所を求めて、人家などにも、
   集まってくるのだ。

   寒い冬の時期を、成虫の状態でやり過ごすには、
   普通は、雑木林の樹皮の下などが適している。

   しかし、人間の作った建物は、
   他の場所とは、多分、比較にならないほど、
   暖かく、好適な場所なのかもしれない。

 

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カメムシの集団⑥ オオツマキヘリカメムシ

今まで紹介したタイプとは違って、
交尾に関連した集団もある。

多くの場合は、雌雄の出会いのための集団であり、
当然のことであるが、そのような集団には、幼虫はいない。

これは、第3のタイプ(注1)の集団として良いだろう。

 

 


オオツマキヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2011年6月29日 白岩森林公園・青森
 
初夏のころ、青森県では、イタドリの茎などに、
1箇所に集まって、交尾しているのが見られる。

この写真では、8組のカップルが出来ているが、
どうやら、あぶれた雄はいないようである。

 

 


オオツマキヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2011年6月26日 白岩森林公園・青森

この写真でも、10組以上ののカップルが出来ている。

あたり一面は、イタドリの群落(?)であるが、
何故か、その中の一本の茎に、集まって交尾しているのだ。

 

 


オオツマキヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2012年6月8日 だんぶり池・青森

この4組のカップルも、それぞれ仲が良さそうである。
 
でも、こんな感じで、集団で交尾するメリットは、
一体、どこにあるのだろうか?

多くのカメムシ類の交尾時間は、他の虫に比べて長い。

昆虫類の受精は、最後に交尾した精子が使われることが多く、
交尾時間をできるだけ長くのばして、メスを拘束し、
次の他の雄との交尾を、阻止するためだと考えられている(注2)

交尾時間が長いことと、集団で交尾することに、
何らかの関連性はあるのだろうか?

 

 


オオツマキヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)

2012年6月19日 白岩森林公園・青森

オオツマキヘリカメムシの場合には、このように、
個々の交尾カップルが、集団化している。

近縁種のホオズキカメムシの場合には、
基本的な群れは、雌が中心であり、
この雌の集団をめぐって、雄がテリトリーを形成する。

だから、おそらく1匹の雄が、
群れている雌たちと独占的に交尾することができる。

しかし、オオツマキヘリカメムシの場合には、
決して、単独オスのハーレム状態にはなっていないのだ。

 

やっぱり、かなり不思議である。

 


(注1)ただし、交尾のための集団にも、種類によって、
    微妙な違いがあるようで、このことについては、
    機会があれば、別に紹介したい。


(注2)昆虫は一夫一妻性ではないので(?)、交尾後の雌は、
    すぐに他の雄との再び交尾することがが可能であり、
    多くの場合、後から交尾した雄の精子と受精する。
    だから、雄たちには、つがい相手の雌が、自分と交尾した後、
    すぐに別の雄と交尾するのを阻止するため、
    長時間交尾を続けて、雌をしっかり拘束しておくことが、
    必要になったのだろう。



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