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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

恐るべし ジュウジナガカメムシ幼虫集団

まず、下の写真を拡大(クリックして)して、ご覧ください。

真ん中付近に、枯れ葉があります。

 


2012年8月22日 十石峠・長野

まだしつこく枯れ葉擬態の話か? 
と思った方は、残念ながらハズレです。

ほぼ中央部分にある赤く見える三角形の葉っぱのようなものが、
一体、何なのか分かりますか?

 


拡大してみると・・・

 

 

ジュウジナガカメムシ(ナガカメムシ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

これは、タイトルにあるように、
ジュウジナガカメムシというカメムシの幼虫集団である。

でも、どうして枯れ葉の上に、しかもよく目立つところに、
こんなに沢山の個体が集まっているのか、ちょっとだけ不思議だ。


(⇒まあ、集団で枯れ葉に擬態していると、言えなくもないが・・・)

 

 

ジュウジナガカメムシ(ナガカメムシ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

すぐ近くで、別の幼虫集団が見つかった。

こちらは、人の気配を察知したのか、
多少ルーズな集団になっている。

警戒色を持った草地にいるカメムシ類の集団は、
警報フェロモンに敏感に反応し、すぐにバラバラになるか、
一斉に地面に落下することが多い。

 

 


ジュウジナガカメムシ(ナガカメムシ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

彼らは、有毒のガガイモ科(多分イケマ?)の植物の汁を吸うことで、
アサギマダラの幼虫などと同じように、外敵に襲われることはない。

だから、警報フェロモンと警戒色の最強の組み合わせで、
集団で、効率よく(?)外敵からの防御を行っているのだ。

 

 

ジュウジナガカメムシ(ナガカメムシ科)

2012年8月22日 十石峠・長野

この葉っぱには、少し白っぽくなった部分が認められ、
集中的に、激しく吸汁された痕跡と思われる。

そこで、ひとつ前の写真をもう一度良く見てみると、
右側に、完全に干からびたような葉っぱが写っている。

これは、おそらく集団吸汁によるダメージなんだろう。


このブログで、今まで何度かカメムシの集団を紹介してきた。
その中で、ここまで壮絶に、葉っぱを枯らしてしまうような種類はいなかった。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120808/1/

http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101024/1/


ここで、もう一度、今度は最初の写真の葉っぱの状態を見てみると、
寄主植物を枯らしてしまうほどのジュウジナガカメムシの集団吸汁の凄さが分かる。


ただ、何故、彼らがこのような生存戦略を採用することになったのか?
さすが、ちょっとだけ不思議な昆虫の世界である。

 


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ヒメツノカメムシ終齡幼虫の集団

このときは、本当にビックリした。
朝早かったので、夢でも見てるような気がした(嘘)。

これまで、ツノカメ類の密な集合は、若齢幼虫だけで、
齡が進むにつれて、次第に分散していくと思っていたのだが・・・

 


ヒメツノカメムシ終齡幼虫(ツノカメムシ科)

2012年7月19日 梵珠山・青森

道路脇の大きなヤナグワの木の葉っぱに、
終齢幼虫が2匹寄り添っているのを見つけた。

これは、ちょっとだけ珍しい光景だった。

 

しかし!!!!

 

 

ヒメツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2012年7月19日 梵珠山・青森

すぐ近くに、何と30匹以上の幼虫が、
折り重なるようになっているのが見つかった。

よく見ると、1匹だけ成虫がいる!!!

こんな密な大集団を見たのは初めてだった。

朝早かったからなのか?

 

 

ヒメツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2012年7月19日 梵珠山・青森

付近を捜すと、別の蜜な集団がいた。
こっちは、40匹以上いるようだ。

1個の卵塊からの幼虫集団ではなさそうだ。

何でこんなに集まらなければならないのか。


しかし、ちょっと感動!!!

 

 

ヒメツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2012年7月19日 梵珠山・青森

ちょっと引いた写真を見ると、同じフレームに3ケ所、
ヒメツノカメムシの集団が確認できる。

しかも、かなり目立つ場所に!!!

 

 

ヒメツノカメムシ(ツノカメムシ科)

2012年7月19日 梵珠山・青森

別の密な集団には、
何と、成虫が3匹も混じっている。

さらに感動!!!!

 


と言うわけで、
ヒメツノカメムシの卵と若齢幼虫の母親による保護行動については、
このブログを開始して間もなく紹介したのだが、
どのステージまで母親が保護しているのかは、当時は観察できなかった。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Entry/11/


そして、今回偶然にも、幼虫集団は、成虫になるまで、
一緒に生活していることが分かったのだ。

ただ、一緒に写っている中に、母親がいるのかどうかは不明である。
 
数頭の成虫が同じ集団の中に写っているので、
新たに成虫になったものである可能性が高いのだか・・・

 


 

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そんなに集まらなくても!!!

色々な理由で、集団になる虫たちがいる。

 

まず、下の写真の集団は、何となく愛嬌がある。


フキバッタ幼虫(バッタ科)
 
2012年6月14日 白岩森林公園・青森

その名のとおり、大きなフキの葉を食べる。

葉っぱの端から食べ始める習性がある場合には、
最初は、集団になって食べる方が、
(結果的に端っこが沢山できるので?)効率が良いのだろう。

しかし、フキバッタの場合には、別に、
規則正しく並ぶわけではなく、葉っぱの中程からでも、
十分に食べ始めることができるようなので、
写真のように、自由自在に、食べまくっている。


カメラを向けると、ほんのちょっとの気配を察知して、
とりあえず、ピョンピョンとあちこちに分散してしまう。

 

 

オビカレハ幼虫(カレハガ科)

2012年5月23日 長者原SA・宮城

この子たちは、全く逆に、整然と並んでいる。

というか、この長さで、整然と並んでいない状況は、
どうなってしまうのか、すぐには想像できない・・・・

後ろの枝にも、ピンボケであるが、
整然と並んでいるのが分かる。

直接間近で見ると、写真では伝わらない迫力がある。

 

 


多分クリオオアブラムシ(アブラムシ科)
 
2012年5月18日 芝谷地湿原・秋田

アブラムシの仲間は、
特に、無性生殖でどんどん増えるときには、
このように、密な集団になることが多い。

真っ黒な大型のアブラムシが集まると、
ちょっとだけ不気味である。

天敵からのエスケープにもなっているのか・・・

 

 

マルカメムシ(マルカメムシ科)
 
2012年5月29日 南湖公園・福島

カメムシの仲間も、幼虫期には、
集団になることが多いが、成虫になっても、
そのまま集団を維持する場合もある。

でも、マルカメムシが、
このように密な大集団になることは、
比較的珍しいようである。

 

 

オオツマキヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)
 
2011年6月29日 白岩森林公園・青森

このブログで、何回も紹介したオオツマキヘリカメムシ。

典型的な交尾のための集団である。

いわゆるハーレムではない状態であり、
ほぼ全ての個体が、寄り添うように交尾している。

一体どんな意味があるのだろうか?

 

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カメムシのルーズな集団

昨年、日本のキンカメムシ類の
お互いの体が重なり合うような
かなり密な集団を紹介した。

http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101024/1/

今回は、他のカメムシ類に比較的よく見られる
ややルーズな集団を紹介する。



多分ジュウジナガカメムシ
 
2001年8月18日 白樺湖・長野

もともと、カメムシの仲間は、特に幼虫期には、
同一卵塊起源(兄弟?)の集団を形成することが多い。

この場合には、主として、
捕食者からの防御行動に関係している可能性が高い。

 


オオツマキヘリカメムシ
 
2009年6月28日 弘前市・青森

一方で、成虫になっても、このように、
ルーズな集団になっていることがある。

これは、交尾のための集団である。

だから、以前紹介したキンカメムシの仲間に見られたような
完全にビタクッツキしていることはない。


 

マルカメムシ
 
2005年9月3日 徳島市・徳島

このような成虫のルーズな集団は、
幼虫でみられたような兄弟同士の集団ではない可能性が高く、
多くは交尾の効率化のための集団であるらしい。

むしろ、交尾をめぐる「なわばり」のようなイメージである。


 

ヒメホシカメムシ
 
2006年1月30日 徳島市・徳島

こちらは、石の下などで見られる集団で、
越冬のため、ただ単に好適な場所が選ばれて、
その結果として、ルーズな集団になっているのかもしれない。

いずれにしても、最近の多くの研究結果として、
ちょっとだけ不思議なカメムシ類の集団に関して、
生態学的な意味が少しずつ解明されているようである。

 

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そんなにビタくっつきしなくても

(この項目は、PC操作ミスにより消えてしまったページを、
 一部変更して再掲載したものです。)


【アカギカメムシ】 2004年1月12日沖縄・石垣島

南方系のキンカメムシの仲間は、集団になることが多い。

石垣島で出会ったアカギカメムシの集団は、
互いに折り重なるように、くっつき合っていた。


 

しかもその集団は同じアカメガシワの木の数か所で見られた。

林道には、他にも良く似た環境にアカメガシワの木があったが、
そこにはアカギカメムシの集団はなかった。

 

 
 

集団には必ず直射日光が当たっていたような気がする。

 もしかしたら、太陽の位置によって、
日陰になることが少ない木を選んでいるのかもしれない。

 


 

一方、高知県の室戸岬には、
同じキンカメの仲間のオオキンカメムシが、
集団で越冬する場所がある。

 
【オオキンカメムシ】2006年2月16日高知・室戸岬


そこは、虫好きならば、誰でも知っている秘密の場所である。




 

オオキンカメムシは、アカギカメムシとは違って、
互いに重なり合うような集団にはならないようだ。
多くの個体は頭部を内側にして、寄り添っている。


 
 

もうひとつアカギカメムシとは違うところがある。
主として、葉の裏側に集団は作られ、
どうやら直射日光を避けている可能性がある。

写真が暗くなりがちであるのも、そのためである。
・・・と、写真撮影テクニックの未熟さを棚に上げてみたりする。

 


同じ種類の昆虫が、このように集団で生活するというのは、
やはり不思議である。
交尾、産卵、天敵からの防御等、メリットは多くありそうであるが、
逆にデメリットも考えられる。
 

また、別の機会に紹介したい。

 

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