カメムシの集団⑥ オオツマキヘリカメムシ
今まで紹介したタイプとは違って、
交尾に関連した集団もある。
多くの場合は、雌雄の出会いのための集団であり、
当然のことであるが、そのような集団には、幼虫はいない。
これは、第3のタイプ(注1)の集団として良いだろう。
オオツマキヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)
2011年6月29日 白岩森林公園・青森
初夏のころ、青森県では、イタドリの茎などに、
1箇所に集まって、交尾しているのが見られる。
この写真では、8組のカップルが出来ているが、
どうやら、あぶれた雄はいないようである。
オオツマキヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)
2011年6月26日 白岩森林公園・青森
この写真でも、10組以上ののカップルが出来ている。
あたり一面は、イタドリの群落(?)であるが、
何故か、その中の一本の茎に、集まって交尾しているのだ。
オオツマキヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)
2012年6月8日 だんぶり池・青森
この4組のカップルも、それぞれ仲が良さそうである。
でも、こんな感じで、集団で交尾するメリットは、
一体、どこにあるのだろうか?
多くのカメムシ類の交尾時間は、他の虫に比べて長い。
昆虫類の受精は、最後に交尾した精子が使われることが多く、
交尾時間をできるだけ長くのばして、メスを拘束し、
次の他の雄との交尾を、阻止するためだと考えられている(注2)。
交尾時間が長いことと、集団で交尾することに、
何らかの関連性はあるのだろうか?
オオツマキヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)
2012年6月19日 白岩森林公園・青森
オオツマキヘリカメムシの場合には、このように、
個々の交尾カップルが、集団化している。
近縁種のホオズキカメムシの場合には、
基本的な群れは、雌が中心であり、
この雌の集団をめぐって、雄がテリトリーを形成する。
だから、おそらく1匹の雄が、
群れている雌たちと独占的に交尾することができる。
しかし、オオツマキヘリカメムシの場合には、
決して、単独オスのハーレム状態にはなっていないのだ。
やっぱり、かなり不思議である。
(注1)ただし、交尾のための集団にも、種類によって、
微妙な違いがあるようで、このことについては、
機会があれば、別に紹介したい。
(注2)昆虫は一夫一妻性ではないので(?)、交尾後の雌は、
すぐに他の雄との再び交尾することがが可能であり、
多くの場合、後から交尾した雄の精子と受精する。
だから、雄たちには、つがい相手の雌が、自分と交尾した後、
すぐに別の雄と交尾するのを阻止するため、
長時間交尾を続けて、雌をしっかり拘束しておくことが、
必要になったのだろう。