ダムサイトの虫たち(2015) 玉川ダム
晩秋の玉川ダムには、カメムシ以外の虫たちも集まる。
カブトムシ目、ハエ目、ハチ目、バッタ目など、
成虫越冬をする普通種の虫たち達が多いのだが、
普段のこころがけと、運が良ければ、
「こんなところに!?」
という珍しい虫たちに出会うことがある。
でも、さすがは「ちょっとだけ不思議な虫たちの世界」だ。
成虫越冬ではないのに、ダムサイトに来る種類も少なくない。
今回は、そんな「??」の虫たちを紹介したい。
ミドリハガタヨトウ(ヤガ科)
2015年11月4日 玉川ダム・秋田
晩秋にしか見られない蛾なのだが、
どうも、成虫越冬ではないらしい。
翅の模様が、ゴツゴツの白っぽい樹皮だ。
何故か、こんな感じの木肌の樹木は、
北国には多いかもしれない。
⇒もし仮に万が一、この子が、
正しく背景を選択していたら、
とても、見つけられる気がしない。
ネット上の写真では、名前のとおり、
多少とも緑色の部分があるようだが、
秋になると消えてしまうのだろうか?
それにしても、晩秋のダムサイトで、
しかも、イシハラハサミツノカメのすぐ横に、
さりげなく止まっている不思議な蛾である。
エゾクシヒゲシャチホコ(シャチホコガ科)
2015年11月4日 玉川ダム・秋田
この子も、晩秋にしか見られない蛾だが、
外灯ではなく、ダムサイトで出会うとは!!
もしかしたら、上のミドリハガタヨトウも含めて、
ダムの建物のわずかな灯りに来ていたのかもしれない。
逆に言うと、不審者と疑われるのを覚悟で、
夜中にダムサイトを徘徊すれば、
普通にある常夜灯よりも、もっともっと、
沢山の晩秋の蛾に出会えるかも・・・
⇒軽く調べたネット情報では、
近縁種のクシヒゲシャチホコが卵越冬するようなので、
本種も、おそらく成虫越冬ではないと思われる。
ズキンヨコバイ(ズキンヨコバイ科)
2015年11月4日 玉川ダム・秋田
このような拡大写真にすると、
まるで小さいセミのように見えるが、
実際のサイズは5~7mmほどの小さな虫だ。
かなり黒化している個体だが、ズキンヨコバイだと思う。
⇒この子は、残念ながら、夏にも見られる種類だが、
越冬形態は確認されていないようである【注】。
ウロコアシナガグモ(アシナガグモ科)
2015年11月4日 玉川ダム・秋田
背景の青色になじんだ、全身が緑色の美しいクモだ。
晩秋のだんぶり池でも、枯れ葉の中に、
緑色のままで見つかるが、卵でなく、
幼体で越冬するクモのようである。
⇒ということは、写真の子は、まだ成体ではない?
【注】イネの害虫として有名なヒメトビウンカや、
ツマグロヨコバイは、幼虫越冬である。
ツマグロオオヨコバイは、真冬に成虫が見られる。
近縁(?)のモンキズキンヨコバイは、
卵越冬であることが確認されている。