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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

久しぶりのナイター


先日、友人が行ったナイター(夜間灯火採集)に、
2年ぶりに参加させてもらった。

 

虫屋のナイターとは、こんな感じの雰囲気で行う。

見通しのきく場所に、発電機を使って水銀灯を点け、
光に誘引される虫たちを、白布に止まらせるのだ。

 

夜間灯火採集風景

2014年8月19日 木賊峠・山梨

今回の設置場所は、甲府市を北に小1時間走ったところ、
峠の展望台の東屋を、さりげなく利用した。

光源と白布の距離が適切だと、誘引された蛾が、
あまり飛び回ることなく(翅が傷まない!)、
写真のように、白布に静止する。

 

 


ミヤマクワガタ(クワガタムシ科)

2014年8月19日 木賊峠・山梨

さっそく、子供がいたら喜びそうな虫たちも、
普段は見ることのない(?)明るい光に集まる。


参加者4名は、誘引された虫たちを、
基本的に採集することはなく、みんな、
何事かを呟きながら(?)、写真を撮るだけである。

 

 


トガリヒロバキバガ(キバガ科)

2014年8月19日 木賊峠・山梨

友人曰く、「今回の目玉は、この子だろう!」。

後翅の先端部分が、閉じた前翅から飛び出すような、
独特の静止姿勢をとるようだ。
シャチホコガやエゾスズメも、似た止まり方をする。

さらに、紫色の2本の横筋と、白色の三角紋が印象的だ。


ネット情報では、1997年に岩手県で最初に発見され、
その後は、本州、北海道、四国でも採集されたが、
発見個体数は、かなり少ないようだ。

 

 


ヒメモクメヨトウ(ヤガ科)

2014年8月19日 木賊峠・山梨

この子も、今回初めて見た蛾である。

日本的な雰囲気を持つ、独特の色彩だ。

縦線を基調とした模様の中に、
左右に、一カ所ずつ横向きのコブラのような紋が見える。

さらに言えば、前翅の先端部分(後部?)は、
ギザギザに切れているように見えるが、
良く見ると、立体的に描かれた模様なのだ。

個人的は、好きな雰囲気の蛾である。

 


という訳で、その他の集まったお客さん(虫たち)は、
機会があれば、紹介していくとして・・・・

 

 

線香花火

2014年8月19日 木賊峠・山梨

状況が変わらなくて、眠くなってきたら、
こんなことをして、大人4人が遊んだ?!


⇒ちなみに撮影時刻は、23時ジャスト。
 花火の写真を撮るときは、
 撮影条件を大きく変えてみると、
 色々な雰囲気の写真が撮れるのだ。

 

 


世界遺産の山

2014年8月20日 木賊峠・山梨

そして、翌日になると、その場所から、何と、
日本が誇る「世界遺産」を目の前に見ることができるのだ。


やっぱり、これが良い!!!!

     

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感動のツーショット ヤンコウスキーキリガ


蛾マニアでなくても、虫好きならば、
一度は出会ったみたい蛾が、おそらく何種かあって、
常夜灯を見るときには、頭の片隅にあるはずだ。

私も、そんな蛾を何種類か思い浮かべることができる。


ヨナグニサン、セスジスカシバ、アゲハモドキ、ウスベニアヤトガリバ 

 ⇒さりげなく撮影成功!


当然、出会えていない蛾は、この他にもまだまだ沢山いる。

 


・・・しかし、

 

今回、出会ったのは・・・・!!!

 

 

ヤンコウスキーキリガと言うやや不可解な名前を持つ、
信じられないほど局地的な分布をする美麗種だ。

そんな蛾を、同じ日に、別の場所で2回も見ることができたのだ。

 

 


ヤンコウスキーキリガ(ヤガ科)

2014年8月4日 城ヶ倉・青森

他に類を見ない独特の模様が、如何にも珍品そうだ!!!

北海道、本州、九州に分布するとされているが、
実際の採集地は、ごく限られた場所だけだ。

幼虫は、シナノキ(シナノキ科)を食草とすることが分かっている。


和名の由来は、(多分)人名のようだ。

 ⇒Xanthocosmia jankowskii (Oberthur, 1884)

 

 

 

ヤンコウスキーキリガ(ヤガ科)

2014年8月4日 城ヶ倉・青森

やや斜めから撮ると、何とも言えない複雑な模様と色使いだ。

前翅表面のベース色は黄緑色とやや濃い青灰色、
そこに複雑にちりばめられた黒点と白点がある。
4個の白紋の中心にも黒点があり、別にオレンジ色の紋も見える。

体の中心部分には橙色の4個の突起が並び、
前方のヘリ部分には、やや赤い太線がある。

 

そして・・・・


何と、そんなヤンコウスキーキリガが、
ミラクル擬態の代名詞ともなっているムラサキシャチホコと、
常夜灯のもとで、夢の競演を果たしたのだ。

 

 

 

ヤンコウスキーキリガとムラサキシャチホコ

2014年8月4日 矢立峠・秋田

もちろん、ちょっと前にマスコミでも話題になった合成写真ではない。

その証拠(?)に、写真には不自然な縦線がない??!!
(明確な太い斜線はあるが・・・・)

 

 

 

ヤンコウスキーキリガとムラサキシャチホコ

2014年8月4日 矢立峠・秋田

一方は、中途半端な眼状紋では、鳥を驚かせることもできず、
微妙な色合いでは、目立つのか隠れるのかもハッキリしない、
夜行性の蛾というイメージもない珍品のヤンコウスキーキリガ。

もう一方は、どこにでも落ちているカールした枯れ葉の模様を、
前翅に鱗粉の濃淡によって、芸術的に描き出したムラサキシャチホコ。


そんな2種が、青森と秋田の県境の道の駅で、
感動のツーショットを見せてくれたのだ。

 

誰もいなかったので、何か叫んでいたと思う!!!!


 
 ⇒しかし、 時間が経って改めて写真を見ると、
  ムラサキシャチホコの方が、かなりの迫力だ。
  

  君は画家? 蛾か??
 
 
 

   

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昆虫の種類数


近所の小学生の子供から、
「地球上には、いったい何種類の昆虫が存在するの??」
どうせ答えられないんだろという雰囲気(多分?)で、
こんな良くある質問をされた。


当然の答えとして、
「そんなの、だれも数えたことがないから、分からないよ!」
と、ちょっと動揺しながら、その雰囲気のまま回答・・・

 


そして、家に帰って、さりげなく調べてみた!?

 

現在、学名が付いている(文献に記載されている!!)昆虫の種は、
情報源によってかなりバラツキがあるが、世界中で約95万種と言われている。

⇒明確に世界の昆虫の種類数を把握できる資料は、おそらく存在しないようだ。

⇒ちなみに、未発見種が沢山いるとは思えない(?)哺乳類は、約6000種で、
 鳥類は、約9000種とされている。

 

 

(以下、本文の内容と写真は、無関係です)

 

 

地球岬

2014年6月30日 室蘭市・北海道

私が虫に興味を持った頃(半世紀前)は、約70万種とされていたので、
その間に、次々に新種が記載されて(??)、約1.5倍になったことになる。

無理を承知の単純計算で、1年に2500種以上の虫たちが、
学名を付けてもらって、次々に記載されていたのだ。

 

 


倶多楽湖

2014年6月30日 登別・北海道

だから、「世界に昆虫が何種類いるのか?」と質問されても、
例えば、新たな文献記載の可能性が少ないある年の1月1日時点でも、
誰も数えようとした人は多分いないので、正確に答えられない。

苦労して調べても、当然次の日には、また何種かが増えている可能性が高いのだ。

 

 


硫黄山

2014年6月30日 登別・北海道

昔は、「ある生物種」が、海に隔てられた島や、大きな河川の両側で、
お互いに移動できなくなった場合には、どちらかに何らかの遺伝的な変異が生じて、
交配が不可能になれば、新しい種として、分化したことになるとされていた。

だから、移動性のあまり大きくない微小昆虫の場合には、
わずかな障壁でも、簡単に生息隔離が起こりやすく、
長い年月が経過すれば、普通に、別種になる可能性が高いのだ。

 

 


内海湾に沈む夕陽

2014年7月1日 室蘭・北海道

また、多くの昆虫類は、ある特定の植物に依存(餌とする)している。
特に、微小昆虫の種類数に関しては、頭がクラクラするような恐ろしい状況がある。

一本の大きな木に袋をかけて、地面に白い布を敷く。
その袋の中に燻煙殺虫剤を処理して、その中にいる全部の虫を殺して、
布の上に落ちている虫の種類と数を確認する。
そうすると、特定の木についている虫の種類と個体数が、全て把握できる。

特に、熱帯雨林で行われた様々な樹木に対する「袋がけ殺虫試験」では、
ある植物(樹木)に依存する昆虫の種類数を確定し、
植物の種類数を掛け算すれば、その地域の総種類数が予測できる。

当然野結果として、昆虫の多様性(種類数!)が、
想像以上に大きいことが再確認されているのだ。

 

 


昭和新山

2014年7月2日 有珠・北海道

基本的に、種の記載は形態に基づいて行われている。

しかし、形態的に区別がつきにくく、同一であると考えられていた種が、
「DNAなどの分子系統解析によって、実は別種であった」
と考えられる例が、最近になって増えているのだ。

特に、人間が作った作物の害虫についての研究が、精力的に行われており、
学会で話を聞いても、とても付いていけないレベル(?)になっている。


例えば、ミバエ類では、34の調査地から24種のウリ科植物の花や実を集め、
羽化してきた2857頭のミバエの分子系統解析を行った。

その結果、それらは52種に分割可能であることが明らかになった。

ある種のミバエは、1種の植物の雌花のみを利用していたが、
その同じ植物の雄花を、別の種が利用していることもある。
    
だから、ミバエの仲間は、地理的な種分化に加えて、
植物の利用部位による種分化の程度も大きいことが分かってきた。

 

 


美瑛の丘

2014年7月4日 美瑛町・北海道

という訳で、従来の分類学(系統学?)は、形態学や発生学、
さらには、生化学的性質も含めた表現型の比較に基づいていたが、
現在の分子系統学は、それらの根本にある遺伝子型に基づく方法であり、
より直接的に、生物の進化を推定できるとされている。

この分野は、遺伝子解析が容易になったこともあって、
進化生物学の重要な柱となりつつあるようだ。

 

・・・・

 

逆に、こんなことはないだろうか?

かなり多様化していると考えられていた種が、
詳細な遺伝子解析によって、実は1種だった。

そうなれば、昆虫種類数の増加傾向に、
多少とも、歯止めがかかるかもしれないのだが・・・


ただ現時点では、この推論は、全くありそうもない!!!
 



 


羊蹄山

2014年7月7日 虻田郡・北海道

最後に、さりげなく話を最初に戻して、陳腐な結論。


⇒地球上の昆虫の総種類数に関しては、
 現時点では、どんな偉い・有名な昆虫学者でも知らないし、
 そんな詳細な数字を知っても、あまり意味がないとも言える。


最初に小学生から質問されたときに、
こんな結論を、自信を持って答えれば良かったのだが、
どうなんだろうか・・・??

 

 

       

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樹皮の下で越冬する虫たち


まだまだ、雪の残る青森県(弘前市)から、
車で約8時間、梅の花が咲き始めた茨城県にやって来た。


典型的な公園の冬景色

2014年2月26日 ひたちなか市・茨城

早速、雪のない、こんな感じの公園に行ってみた。


枯れた芝生・・・

葉の落ちた広葉樹・・・

常緑の灌木・・・


・・・典型的?

 

 

 

多分ヤマトゴキブリ

2014年2月26日 ひたちなか市・茨城

樹皮が大きくはがれている桜の老木があった。


失礼して、さりげなく、取り除いてみると・・・

あまり見慣れないゴキブリが、じっとしていた。


多分、ヤマトゴキブリの幼虫だと思うが・・・

 

 

 

クロハナカメムシ(ハナカメムシ科)

2014年2月26日 ひたちなか市・茨城

ケヤキの木は、樹皮(木の皮)にヒビが入り、
下側が浮き上がって、隙間ができやすい。

その隙間が、冬越しをする虫たちの隠れ場所になる。


このカメムシは、特徴的な膜質部の白帯があるので、
多分クロハナカメムシだろう。

この写真では分かりにくいが、
樹皮の間に潜り込みやすいように、
体は、かなり平べったくなっている。

主にアブラムシの体液を吸う肉食のカメムシである。

 

 

 

ウスアカフサヤスデ(フサヤスデ科)

2014年2月26日 ひたちなか市・茨城

ケヤキの樹皮の下に、ちょっとだけ不気味な虫がいた。

以前紹介したことのあるウスアカフサヤスデだ。


この子たちは、お互いに寄り添って、越冬するようだ。

良く見ると、お尻の先に白い房がある。

 

 

 

 

ゴミムシの仲間

2014年2月26日 ひたちなか市・茨城

ゴミムシも見つかったが、
この仲間は、残念ながら、
写真では全く同定できない(多分?)。

この後、予想外の素早さで、近くの隙間に姿を消した。

 

 

と言うわけで、春が来るまで、もう少し・・・

 

   

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強そうな名前? ヘビトンボ


ヘビトンボという「ややこしい名前の虫」がいる。

ヘビでもないし、トンボでもない。
むしろウスバカゲロウなどに近い仲間である。


そして、名前のとおり、見た目の恐ろしさは半端ではない。

 

 

ヘビトンボ(ヘビトンボ科)

2013年7月22日 矢立峠・秋田

もちろん、右側に写ってる大きな虫だ!!

背中に、SF小説に出てくる「宇宙人のような顔」がある。

確かに、頭部が蛇のように長く突き出ているが、
全体を見れば、とても蛇には見えない。


左側に、写っているヒグラシと比べれば、
その大きさが良くわかる。

 

 

 

ヘビトンボ(ヘビトンボ科)

2013年7月22日 矢立峠・秋田

如何にも頑丈そうな容姿にもかかわらず、
翅の下に隠された腹部は、軟弱で弱々しく、
飛び方も、何となくぎこちない。
・・というか、下手くそだ。

ちなみに、上の2枚の写真は、
道の駅の灯りで撮ったものであり、
普段はありえない「ヒグラシとのツーショット」は、
やらせではなく、全くの偶然の産物である。

 

 

 


ヘビトンボ(ヘビトンボ科)

2011年8月7日 乳頭温泉・秋田

大きく開いた口は、蛇のイメージではないが、
如何にも獰猛そうな「鋭い大あご」だ。

しかし、この格好で、広葉樹の樹液を舐めているようだ。
そのせいか、成虫の寿命は短く、1~2週間程度しか生きない。
だから、成虫を見る機会はあまり多くないと思われる。


 幼虫は、きれいな水の中(清流という言葉がぴったりな!)に生息し、
他の水生昆虫を捕獲して食べる獰猛な肉食性である。

見た目から、カワムカデとも呼ばれることもあり、
よく釣りの餌にも使われるらしい。

また、古くから漢方薬の「孫太郎虫」としても知られている。

 


それにしても、ヘビトンボとは、立派な名前である。

 

   

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