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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

昆虫の種類数


近所の小学生の子供から、
「地球上には、いったい何種類の昆虫が存在するの??」
どうせ答えられないんだろという雰囲気(多分?)で、
こんな良くある質問をされた。


当然の答えとして、
「そんなの、だれも数えたことがないから、分からないよ!」
と、ちょっと動揺しながら、その雰囲気のまま回答・・・

 


そして、家に帰って、さりげなく調べてみた!?

 

現在、学名が付いている(文献に記載されている!!)昆虫の種は、
情報源によってかなりバラツキがあるが、世界中で約95万種と言われている。

⇒明確に世界の昆虫の種類数を把握できる資料は、おそらく存在しないようだ。

⇒ちなみに、未発見種が沢山いるとは思えない(?)哺乳類は、約6000種で、
 鳥類は、約9000種とされている。

 

 

(以下、本文の内容と写真は、無関係です)

 

 

地球岬

2014年6月30日 室蘭市・北海道

私が虫に興味を持った頃(半世紀前)は、約70万種とされていたので、
その間に、次々に新種が記載されて(??)、約1.5倍になったことになる。

無理を承知の単純計算で、1年に2500種以上の虫たちが、
学名を付けてもらって、次々に記載されていたのだ。

 

 


倶多楽湖

2014年6月30日 登別・北海道

だから、「世界に昆虫が何種類いるのか?」と質問されても、
例えば、新たな文献記載の可能性が少ないある年の1月1日時点でも、
誰も数えようとした人は多分いないので、正確に答えられない。

苦労して調べても、当然次の日には、また何種かが増えている可能性が高いのだ。

 

 


硫黄山

2014年6月30日 登別・北海道

昔は、「ある生物種」が、海に隔てられた島や、大きな河川の両側で、
お互いに移動できなくなった場合には、どちらかに何らかの遺伝的な変異が生じて、
交配が不可能になれば、新しい種として、分化したことになるとされていた。

だから、移動性のあまり大きくない微小昆虫の場合には、
わずかな障壁でも、簡単に生息隔離が起こりやすく、
長い年月が経過すれば、普通に、別種になる可能性が高いのだ。

 

 


内海湾に沈む夕陽

2014年7月1日 室蘭・北海道

また、多くの昆虫類は、ある特定の植物に依存(餌とする)している。
特に、微小昆虫の種類数に関しては、頭がクラクラするような恐ろしい状況がある。

一本の大きな木に袋をかけて、地面に白い布を敷く。
その袋の中に燻煙殺虫剤を処理して、その中にいる全部の虫を殺して、
布の上に落ちている虫の種類と数を確認する。
そうすると、特定の木についている虫の種類と個体数が、全て把握できる。

特に、熱帯雨林で行われた様々な樹木に対する「袋がけ殺虫試験」では、
ある植物(樹木)に依存する昆虫の種類数を確定し、
植物の種類数を掛け算すれば、その地域の総種類数が予測できる。

当然野結果として、昆虫の多様性(種類数!)が、
想像以上に大きいことが再確認されているのだ。

 

 


昭和新山

2014年7月2日 有珠・北海道

基本的に、種の記載は形態に基づいて行われている。

しかし、形態的に区別がつきにくく、同一であると考えられていた種が、
「DNAなどの分子系統解析によって、実は別種であった」
と考えられる例が、最近になって増えているのだ。

特に、人間が作った作物の害虫についての研究が、精力的に行われており、
学会で話を聞いても、とても付いていけないレベル(?)になっている。


例えば、ミバエ類では、34の調査地から24種のウリ科植物の花や実を集め、
羽化してきた2857頭のミバエの分子系統解析を行った。

その結果、それらは52種に分割可能であることが明らかになった。

ある種のミバエは、1種の植物の雌花のみを利用していたが、
その同じ植物の雄花を、別の種が利用していることもある。
    
だから、ミバエの仲間は、地理的な種分化に加えて、
植物の利用部位による種分化の程度も大きいことが分かってきた。

 

 


美瑛の丘

2014年7月4日 美瑛町・北海道

という訳で、従来の分類学(系統学?)は、形態学や発生学、
さらには、生化学的性質も含めた表現型の比較に基づいていたが、
現在の分子系統学は、それらの根本にある遺伝子型に基づく方法であり、
より直接的に、生物の進化を推定できるとされている。

この分野は、遺伝子解析が容易になったこともあって、
進化生物学の重要な柱となりつつあるようだ。

 

・・・・

 

逆に、こんなことはないだろうか?

かなり多様化していると考えられていた種が、
詳細な遺伝子解析によって、実は1種だった。

そうなれば、昆虫種類数の増加傾向に、
多少とも、歯止めがかかるかもしれないのだが・・・


ただ現時点では、この推論は、全くありそうもない!!!
 



 


羊蹄山

2014年7月7日 虻田郡・北海道

最後に、さりげなく話を最初に戻して、陳腐な結論。


⇒地球上の昆虫の総種類数に関しては、
 現時点では、どんな偉い・有名な昆虫学者でも知らないし、
 そんな詳細な数字を知っても、あまり意味がないとも言える。


最初に小学生から質問されたときに、
こんな結論を、自信を持って答えれば良かったのだが、
どうなんだろうか・・・??

 

 

       

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