虫たちの親子-13 オオトビスジエダシャク
このシリーズでは、特異な姿かたちの幼虫について、
たまたま、成虫の写真が撮れていたものを、
親子として、両方同時に紹介している。
普通に考えて「こんなにも奇妙な幼虫たちの親(成虫)は、
一体どんな虫なんだろうか?」というのが、その発端である。
今回は、ちょっとだけ不思議なオオトビスジエダシャクの親子である。
まずは、幼虫から・・・・
オオトビスジエダシャク幼虫(シャクガ科)
2013年5月31日 常陸大宮・茨城
昔から(?)、この子はシャクトリムシの中でも有名で、
この写真でも、まあ普通に小枝に見える。
緑の葉っぱを食べるので、仕方がない状況ではあるが・・・
オオトビスジエダシャク幼虫(シャクガ科)
2010年9月8日 白岩森林公園・青森
しかし、ネット検索すると、
ほとんどが、緑色の葉っぱの上で、
枝のポーズで静止している写真だ(注)。
それらの写真のコメントでも、
「枝に擬態する尺取り虫ですが、本種は発見しやすいです」
とか、平気で書かれてしまっているのだ。
私自身も、つい数年前までは、
「オイオイ! 君は居場所を間違ってるよ!!」
とか、さりげなく言っていたし・・・・
しかし、
オオトビスジエダシャク幼虫(シャクガ科)
2011年9月1日 だんぶり池・青森
でも、このブログを始めてから、あることに気が付いた。
「もしかして、この子たちは、
わざと捕食者の目に付くところにいるんじゃないのか?」
理由は、小枝を食べる捕食者なんて、いないからである。
これが、非食べ物擬態(本ブログだけの仮称!)の原点である。
どんなに完璧な保護色や分断色を持った虫たちでも、
効果的な背景を選ばなければ、輪郭がくっきりと浮き上がってまう。
だから、苔のような蛾でも、砂地に溶け込むようなバッタでも、
緑の葉っぱの上では、その輪郭から、いとも簡単に、
捕食者に見つかってしまうのである。
⇒是非、下のブログ記事をご覧ください。
ブログ「保護色から隠蔽的擬態へ マエグロツヅリガ」
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120729/1/
ブログ「鳥の糞擬態 トリノフンダマシ」
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120821/1/
いずれにして、オオトビスジエダシャクの幼虫は、
隠蔽的擬態として、効果的な背景を選択しなくても、
(つまり、緑の葉っぱの上でポーズしていても、)
十分効果的に、捕食者から逃れているのである。
こんな「素晴らしい幼虫」の親は、
一体、どんな姿をしてるのだろう。
オオトビスジエダシャク成虫(シャクガ科)
2011年7月3日 白岩森林公園・青森
何だ、全く普通の蛾じゃん!!
と言うわけで、成虫のコメントは、これで終わりです。
(注)逆に言うと、「小枝で静止しているこの子たちを、
人間が見つけることができない」ので、
写真がほとんどないのかしれないのだが・・・