今回登場するカメムシも、
親子がほぼ同じ場所で見つかるので、
近縁種との識別は可能である。
ただ、この子の場合には、成虫になってからも、
生態写真だけでは、同定が難しい。
⇒もちろん、後述のように、
腹部の裏側が写っていれば、同定可能である。
・・・という訳で、まずは幼虫から
ジュウジナガカメムシ幼虫(ナガカメムシ科)

2012年8月22日 十石峠・長野
赤と黒の典型的な警戒色パターンの幼虫である。
この仲間は、ガガイモ科の有毒植物から吸汁するので、
体液に不味成分を持ち、鳥などの捕食者が避ける。
写真の撮影場所は、私のお気に入りの林道で、
同定可能な(?)本種成虫をよく見かける。
⇒だから、この幼虫集団も、
ジュウジナガカメムシとして、
間違いないだろう。
ジュウジナガカメムシ幼虫(ナガカメムシ科)

2014年8月19日 木賊峠・山梨
本種は、極端な集合性を示すことが多く、
幼虫の放出する匂い成分により、分散・落下が見られる。
防御物質が、典型的な警報フェロモン効果を示す例である【注】。
しかし、こんな幼虫集団は、可愛らしい方である。
状況によると、以下のブログで紹介したような、
葉っぱを枯らすほどの大集団になるのだ。
【恐るべし ジュウジナガカメムシ幼虫集団】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120902/1/
【カメムシの集団⑤ ジュウジナガカメムシ】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130426/1/
・・・そして、成虫は?
ジュウジナガカメムシ成虫(ナガカメムシ科)

2014年7月18日 笹子峠・山梨
和名の由来となった背中の赤い十字がはっきり見える。
近似種のヒメジュウジナガカメムシは、本種よりもやや小さく、
背中の黒い紋も小さいので、赤い十字には見えにくい。
ただ、十字の形状には、個体差もかなりあるなので、
正確に両種を識別するには、腹部下面の黒班を比較する。
⇒今回のジュウジナガカメムシでは、
隣の株にいた個体(右上の写真)のように、
腹部の黒斑が、ほぼ四角か円形になる。
一方、ヒメジュウジナガカメムシの黒班は、
左右がつながって、帯状に見える。
【注】カメムシの放出する臭気成分の役割として、
以下の3種類の有効性が示されている。
(1)アリに対する防御物質(接触毒)として有効に作用し、
(2)捕獲行動を躊躇させる「ビックリ効果」を持ち、
(3)近くにいる仲間に危険を知らせる警報フェロモンとして作用する
【カメムシの匂いの不思議【05-05】 警報フェロモン効果】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101111/1/
[14回]
PR