虫たちの親子-36 ヒメツノカメムシ
野生のクワを探せば、普通に見つかるヒメツノカメムシには、
母(成虫)が子(幼虫)を保護する行動が見られ、
親子シリーズには、絶対に欠かせない存在だ。
当然、このブログ開始して1ヶ月後には、
不思議な行動として、既に紹介済みである。
【ヒメツノカメムシ、母は強かった】
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101004/1/
さらに、ヒメツノカメムシの幼虫は、
クワの葉に大集団を形成することでも知られており、
この行動も、すでにブログで紹介済みである。
【カメムシの集団④ ヒメツノカメムシ】
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130422/1/
・・・それでも、改めて???
ヒメツノカメムシ若齢幼虫(ツノカメムシ科)
2011年7月3日 白岩森林公園・青森
若齢幼虫は、基本的に集団で生活する。
だから、単独で写真に写ることはない。
⇒良く知られた話であるが、幼虫集団は、
必ずこのように、頭を外側にして、
触角を前方に広げているので、
アリなどの小さな外敵に対する防御行動だと思う。
ヒメツノカメムシ5齢幼虫(ツノカメムシ科)
2015年7月8日 梵珠山・青森
赤・緑・黒の体色は、結構目立つが・・・
老熟幼虫になっても、このように集団でいることが多い。
逆に、単独個体を、自然状態で撮影することは難しい。
⇒場合によっては、羽化した成虫も、
しばらくは、集団内に留まることもある。
そして、成虫は・・・・
ヒメツノカメムシ成虫(ツノカメムシ科)
2011年5月31日 だんぶり池・青森
これは、親子シリーズの原点となる行動(?)で、
明らかに、背中(小盾板)の色の違いは性差ではない。
さらに、ヒメツノカメには、色彩には個体変異があり、
近似種と結構紛らわしい【注】。
上の写真の子は、野生のクワの葉っぱで交尾中なので、
間違いなくヒメツノカメムシのカップルだろうが、
同種内で、これだけの色彩変異があると、
近似種と識別するには、勇気がいる(?)。
⇒ただ、セグロヒメツノカメムシと、フタテンツノカメとは、
角の形状やサイズの違いで、写真だけでも、
簡単に識別できる区別できそうだ。
【注】日本には、6種のヒメツノカメの仲間がいるが、
通常の生態写真だけでは、正確に同定することはできない。
ただし、撮影地と食草(寄主植物)の情報があれば、
写真だけでも、以下のようにある程度の識別は可能だろう。
クロヒメツノカメムシ Elasmucha amurensis Kerzhner, 1972 北・本・四
(ダケカンバ、シラカバ、ミヤマハンノキ・・・)
アカヒメツノカメムシ Elasmucha dorsalis (Jakovlev,1876) 北・本・四・九
(ヤマブキショウマ、ホザキナナカマド・・・)
キタヒメツノカメムシ Elasmucha fieberi (Jakovlev,1865) 北(特に寒冷地)
(ダケカンバ、シラカバ)
フタテンツノカメムシ Elasmucha nipponica (Esaki et Isihara,1950) 本・四・九
(モッコク、サカキ・・・)
ヒメツノカメムシ Elasmucha putoni Scott, 1874 北・本・四・九
(ヤマグワ、ヒノキ、ヤシャブシ・・・)
セグロヒメツノカメムシ Elasmucha signoreti Scott, 1874 北・本・四・九
(ノリウツギ、ツルアジサイ、ヤマグルマ・・・)
例えば、このブログで以前紹介したように、
青森のダケカンバで見つかるヒメツノカメは、
クロヒメツノカメであると自信を持って言える。
【ダケカンバにも、7種のカメムシが!!】
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20131129/1/
⇒しかし、ただのヒメツノカメも、
ある条件では、ダケカンバに産卵することが、
黒石市の市田氏によって観察されているので、
特に幼虫の場合は、注意が必要である。