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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

擬態より完璧??? ニトベミノガ幼虫

このブログで何度か紹介したように、
自分自身の姿かたちを、枯れ葉や枯れ枝に似せて、
外敵から身を守っている虫たちは、少なくない。


マエグロツヅリガ 保護色から隠蔽的擬態へ
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120729/1/


 
隠蔽的擬態? 非食物擬態?? ムラサキシャチホコ
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130818/1/



しかし、これから紹介する子の考え方は、
ミラクル擬態するムラサキシャチホコの斜め上を行くのだ。

苦労して、自分自身の体を、
枯れ葉や塵に似せるなら、
最初から本物を体に付着させれば、
それに勝る隠れ蓑はないし、
より現実的で良いじゃないか?

その代表が、クサカゲロウの幼虫である。

擬態よりすぐれているか? クサカゲロウ幼虫
↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110107/1/


 

そして・・・・・もっと有名な虫がいる。

 

 

ん!!! 枯れ葉? 枯れ枝??

2013年10月7日 弘前市・青森

シロシキブの葉っぱの上に、枯れ葉が落ちている。
よく見ると、枯れ葉だけでなく、枯れ枝もある。

でも、葉っぱの表面に、何かにかじられたような痕跡が・・・

 

 


ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月7日 弘前市・青森

別のとこにも、枯れ葉の固まりがあるが、
同じように、葉っぱの表面がかじられている。


この枯れ葉は、ミノムシのようだ(注)


ただ、良く知られているオオミノガは、
弘前にはいないので、どうやら、この子は、
ニトベミノガという別種の幼虫のようである。

 

 


ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月7日 弘前市・青森

となりのハマナスの葉っぱにも、2匹発見。

こちらは、あちこちに食痕があって、
庭木が害虫に食害されている状況である。

このように、ミノムシは、
樹木の葉や果実の表面を食べて、
外観を損なわせるため、
昔から植木や果樹の害虫として良く知られている。

 

 


ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月24日 弘前市・青森

この写真は、半月ほど経過してから撮ったのだが、
やっぱり、枯れ葉が落ちているようにしか見えない。

そして・・・・、
ハマナスにいるミノムシは、
枯れ枝を使用していないことに、
写真を見て、初めて気が付いた。

シロシキブにいるときには、
扱いやすい小枝も利用するようだ。


 


ニトベミノガ幼虫(ミノガ科)

2013年10月24日 弘前市・青森

ミノムシ(ミノガ幼虫)は、
落ち葉や枯れ枝のごみの中に、
隠れるのではなくて、自らの体に、
それをくっつけてしまうのである。

こうすれば、自由にどこでも歩き回ることができるし、
もし・仮に・万が一、捕食者に見つかってしまっても、
蓑の中に隠れていれば、蓑ごと食われてしまうことはない。

これは、2重に防御効果を持つことになるので、
枯れ葉に擬態するよりも、ほぼ完璧に、
捕食者から、自分の身を守ることができるだろう。

ちなみに、ニトベミノガは、若齢幼虫で越冬するので、
この写真のミノムシは、春に成虫が脱出した後の蓑である。


(注)ミノムシ(蓑虫)は、
   ミノガ科のガの幼虫の総称であるが、
   一般には、その中でもオオミノガの幼虫を指す。

   オオミノガの分布北限は、
   山形県(日本海側)と岩手県(太平洋側)とされており、
   仮に植木などについて運ばれたとしても、
   弘前での越冬は難しいと思われる。

   オオミノガを含めて、昔から日本では、
   ミノムシの存在は、広く知られていて、
   その蓑を加工した和風の財布やしおりが、
   民芸品として売られていた。

   ところが、1990年代後半からオオミノガは激減した。

   原因は、オオミノガにだけ寄生する外来種のオオミノガヤドリバエである。

   その寄生率は、5割~9割に達すると言われており、
   ミノムシは、各地で絶滅危惧種になってしたったのである。

   

     

 

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