ちょっと不思議③ サクラの虫えい
カメラ片手に、林道をブラブラ歩いていると、
何か、得体のしれないものに出会うことがある。
その場では、なんだか全く分からないこともあり、
さりげなく写真だけは撮っておいたりする。
こんな雰囲気のチョウ目の幼虫を、
どこかで見たことがある。
今にも、歩き出しそうな感じだが、
近くに食痕が全く見当たらない・・・
近づいてみると、明らかに葉っぱそのものが、
イモムシのように盛り上がっているだけだ。
ちょっとだけ不気味だが、これは「虫えい」だろう。
盛り上がりの前後が黄色に変色し、
中央部は、赤褐色の模様(?)になっているので、
よく見られる全体が緑色の「虫えい」とは、
全くイメージが違うと思う。
近くの別の葉っぱを探すと、さりげなく、いた。
このような虫えいは、サクラの葉っぱで、よく見かける。
ただ、この写真は、イモムシに似ていない?!
家に帰って、図鑑で調べてみると、間違いなく(?)、
アブラムシが作り出した「虫えい(gall)」であった。
おそらく「サクラハトサカフシ」と呼ばれるものだろう(注)。
葉っぱの内部に、アブラムシが卵を産み付けることによって、
植物組織が異常な発達を起こして、このように形になるのだ。
このような見た目の変化は、実に興味深いも現象であると思う。
虫と植物の関係の中で、植物を食べる虫の方が、
餌である植物に働きかけて、その組織を変更させ、
自分の住む隠れ家を作らせているのだ。
これから、「虫えい」については、
ときどきこのブログでも取り上げる予定だが、
植物側の反応が、かなり複雑であり、
多種多様な形状に、自分の体を変化させるのが、
さりげなく、素晴らしいと思う。
(注)黒石市のnabita氏の情報により、同定することができた。
この名前は、初めての人には何の事だか分からないかもしれないが、
手持ちの図鑑によると、虫えいの命名法は、
寄主植物名+形成される部分+形態的特徴+フシ
の順で名付けられることが多いようだ。
だから、この名前は、桜(サクラ)の葉っぱ(ハ)に作られた、
トサカ状(トサカ)の虫えい(フシ)ということになる。