ちょっと不思議④ ヤナギの虫えい
カメラ片手に、林道をブラブラ歩いていると、
何か、得体のしれないものに出会うことがある。
その場では、なんだか全く分からないこともあり、
さりげなく写真だけは撮っておいたりする。
弘前市内の自宅から、歩いて1分ほどの雑草地で、
何かおいしそうな果実を見つけた。
でも、植物は、ヤナギ???
近づいて、よく見ると、
一枚の葉っぱを挟み込むような「不思議な果実」?
しかし、これは、果実の付き方ではない。
前回紹介した桜の葉っぱと同じように、
植物の方が、虫によって、
異常に反応を起こした「虫えい」のようだ。
葉っぱの裏側と表側の両方にふくれているので、
ヤナギハアカコブフシというのが、
図鑑の絵合わせでは、一番近いような気がする(注)。
ヤナギハアカコブフシ(コブハバチ幼虫)
2013年7月20日 弘前市・青森
割ってみると、かなり広い部屋の中に、
多分コブハバチの幼虫が一匹だけいた。
葉っぱの内部に、ハバチの1種が卵を産み付け、
植物組織が異常な発達を起こして、このように形になるのだ。
このような見た目の変化は、実に興味深い現象であると思う。
虫と植物の関係の中で、植物を食べる虫の方が、
餌である植物に働きかけて、その組織を変更させ、
自分の住む隠れ家を作らせているのだ。
(注)この名前は、初めての人には何の事だか分からないかもしれない。
手持ちの図鑑によると、虫えいの命名法は、
寄主植物名+形成される部分+形態的特徴+フシ
の順で名付けられることが多いようだ。
だから、この名前は、柳(ヤナギ)の葉(ハ)に作られた、
瘤状(コブ)の虫えい(フシ)ということになる。