ちょっと不思議⑤ ニシキギの枝
カメラ片手に、林道をブラブラ歩いていると、
何か、得体のしれないものに出会うことがある。
その場では、なんだか全く分からないこともあり、
さりげなく写真だけは撮っておいたりする。
何だ!! これは??
2013年8月4日 ひたちなか市・茨城
木の枝に、虫の卵のようなものが見える。
少なくとも、カマキリの卵のうではなさそうだ。
仮に何らかの卵(卵のう)だとしても、
ちょっと数が多すぎる?
前回に続いて、また「虫えい」なのか?
ニシキギ(ニシキギ科)
2013年8月4日 ひたちなか市・茨城
近づいてよく見ると、虫の卵ではなさそうだし、
虫が関係する「虫えい」でもないようだ。
例によって、家に帰ってから調べてみると・・・
どうやら、この不思議な平べったいものは、
ニシキギの枝にしか見られない「コルク質の翼」のようだ(注)。
ニシキギ(ニシキギ科)
2013年9月29日 国見SA・福島
キバラヘリカメムシの集団が邪魔で見にくいのだが、
寄主植物のニシキギには、ほとんどの枝に、
コルク質の翼が認められることが分かった。
まさか、このブログで、こんな発言が飛び出すとは、
全く信じられないことなのであるが・・・
ニシキギ(ニシキギ科)
2013年9月29日 国見SA・福島
本当に見事な翼だ!!!
もちろん、コルクそのものは、
細胞壁が厚くなった死んだ細胞である。
ここが、前回までの「虫えい」とは違うのだ。
ニシキギ(ニシキギ科)
2013年9月29日 国見SA・福島
なぜ、エネルギーを無駄に使ってまで、翼を作るのだろうか?
⇒素人がちょっとだけ考えてみると・・・・
1)コルクで 補強することにより、枝の強度を増す。
2)バラのとげのように、草食動物から食べられるのを防ぐ。
3)毛虫やイモムシが枝を歩きにくくする。
4)太陽の熱を受けやすくする。
5)逆に、放熱板の役割もする。 ⇒植物も体温(?)調節するのか?
こんことしか、思い浮かばない。
もちろん、コルクの翼を持つことが、ニシキギの生存にとって、
何の意味もない可能性だって、十分ありうるのである。
ニシキギの枝から、この翼を取ってしまっても、
その枝の成長が衰えたり、枯れてしまうようなこともないようだ。
⇒かなり不思議????
(注)ニシキギ Euonymus alatus の種内変異では、
ケコマユミ、ケニシキギ、オオコマユミなどが知られている。
ただし、これらのほとんどは、ニシキギのようなコルクの翼は持たない。
また、ニシキギの中でも、コルク層の著しく発達するものから、
それほどでもないものまで、変異が見られるので、
ニシキギの翼は、一種の奇形と位置づけられるようだ。
さらに、この翼は、鑑賞的価値が高いので、
人為的に繁殖を助けられたこともあり、
世の中に、広く分布するようになったとされる。