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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

虹色の虫は、本当にいるのか? 7色の秘密??


虹という漢字は、何故か「虫へん」「工」と書く。

虹色に輝く虫たちが、普通に目に付くからなのか?


 ⇒軽く調べたネット情報では、
  もともと「虫」という漢字は、
  ヘビの形を字にした象形文字で、
  つらぬくという意味の「工」を添えて、
  天空をつらぬく大蛇に見立てたのだそうだ。


と言うことは、虫の体色に由来するものではなさそう?

 

でも、虹色って、一体どんな色????

 

 

我々の世代は、子供のころから、虹の色は、
の7色と教えられてきた。

多分、それは今でも変わらないと思う。


しかし、ある程度予測されたことではあるが、
上記の7色を同時に身体に持つ「虹色の虫」は、
標本を見ても、生態写真を見ても、見つからないのだ。

 

 

例えば・・・・・

 

虹色の虫 アカガネサルハムシ(ハムシ科)

2012年6月19日 白岩森林公園・青森

虹色の昆虫として有名なこの子の場合でも、
虹の7色を確認するのは不可能だ。


もちろん、玉虫色として知られるタマムシも、
緑色を主体とした配色なので、
実際には7色を確認することは出来ない。


 ⇒その他にも、美麗種ニシキキンカメムシや、
  ハンミョウ、ルリセンチ、ゼフィルスなども、
  状況は、全く同じだ。

  実物は見たことがないが、ニジイロクワガタも、
  ネット上の写真で見る限り、7色とは言えない。


これらの虫たちが虹色に見えるは、多くの場合、
キチン質の層構造(多層膜)による光の干渉の結果である。

体表の個々の層から反射される光が干渉することで、
いわゆる金属光沢になるので、構造色と呼ばれる。

したがって、特定の色が見えるのではなく、
様々な色合いが、見る角度によって変化するのである。

 

 


それならばということで、
個々に、虹の色の和名を持つ昆虫を、
手持ちの写真や図鑑で探したみた。

 


和名に色の付く虫たち

アカエゾゼミ(セミ科) 白岩森林公園・青森(20130904)
キイロトラカミキリ(カミキリムシ科) 志賀坊森林公園・青森(20100605)
ミドリヒョウモン(タテハチョウ科) だんぶり池・青森(20100827)
アオクチブトカメムシ(カメムシ科) 中泊町・青森(20130715)
ムラサキカメムシ(カメムシ科) 乗鞍高原・長野(20100926)


このように、赤・青・黄・緑・紫の付く虫は何種類もいるのに、
何故か「橙」と「藍」の付く虫は、いくら探しても出てこない。

これは、予想外の出来事だった。


もちろん、そのほかに「ベニ」とか「ルリ」とか、
虹の色とされている色以外の名前の虫も多いのだが・・・

  
 ⇒もう一つの予想外は、虫たちの和名の色は、
  実際の体色とは、違っていることが多いという事実だ。

  上の写真で見ても、どこがその色??

 

 

 

とりあえず、本物の虹の色を見直してみよう。

 

 

雪国の虹!!!

2013年2月2日 弘前市・青森

真冬の弘前市でも、吹雪の合間に、
思いがけず青空が顔を出すことがある。

そんなとき、太陽の位置にもよるが、
綺麗な虹が見えるのだ。


この写真では、青・黄・赤・紫の4色しか確認できない。


 ⇒かなり不思議なことに、私には、
  赤の外側に、紫が見えるのだが・・・

 

このように、実際の虹(の写真)を見ても、
虹色の虫と同様に、7色を確認することは出来ないのだ。

 

 

・・・別な虹も!!

 


間欠泉に虹が!!!

2006年8月15日 地獄谷温泉・長野

この場所は、知る人ぞ知る「虹の名所」だ。

間欠泉の「水(湯?)しぶき」に、太陽が当たると、
こんな綺麗な虹を、目の前に見ることが出来る。


虹の色は、遠くにあるよりも、間近に見えた方が、
はっきり確認できる訳ではないと思うが、
この虹でも、状況はあまり変わらない。


 ⇒本当に虹の色は、7色なのだろうか???

 

 

 


これは、何か理由があるに違いない!!!

そう思って、虹の色が7色に決められた(?)理由を調べてみた。

 

よく分からないのだが、おそらく、
有名なニュートンの虹の研究に基き、
教科書に掲載されたと言うのが定説のようだ。


当時のイギリスでは、虹の基本色は、
赤黄緑青紫の5色と考えられていたが、
ニュートンは、柑橘類のオレンジの橙色と、
植物染料インディゴの藍色を加えて7色としたのだ。


 ⇒もちろん、ニュートンは虹の色と色の間は、
  無限に変化していることを知っていたし、
  実際に見た目では、識別できそうもないことには、
  当然、気付いていたはずだ。


  それにもかかわらず、虹を7色としたのは、
  当時は7が神聖な数と考えられており、
  音楽のオクターブも、ドレミファソラシの7音からなる。

  ニュートンは美しい虹も、音階と同じように、
  7つの基本の色からできているとしたのである【注】

 


しかし、ニュートンが(勝手に?)虹を7色と決めたからといって、
英語圏の国々では、虹の色が7色だと統一されたわけではない。

ネット情報によると、アメリカとドイツでは、
赤、オレンジ、黄、緑、青、紫の6色とされ、
日本でも、5色(古くは8色や6色)、
沖縄地方では2色(赤、黒または赤、青)、
中国では、古くは5色とされていた。

虹の色を何色とするかは、地域により異なるようだ。


 ⇒このように、虹の色が何色に見えるのかは、
  科学の問題ではなく、文化の問題である。

  それぞれが、何色に見えるかではなく、
  何色と見るかということなのだろう・・・多分?

 

 


・・・言うまでもないことではあるが、

私は、これまでの文脈の中で、
美麗種「虹色の虫」の存在を否定している訳ではない。

ただ、昔から「虹の色が7色である」と教科書に載っており、
その7色が、本物の虹にも、虹色の虫にも、見出すことが出来ないので、
ちょっとだけ不思議であると感じただけである。

これからは、本物の虹や、虹色の虫をみたときに、
はりきって7色を確認しようとする無駄な努力は、
特に若者たちは、止めた方が良いような気がするからだ・・・(?!)


 ⇒お忙しいのに、ここまで読んでいただいた方、
  こんな結論で申し訳ありませんでした。

 

 

 

【注】実際には「色の三原色」という概念があり、
   その3色を混ぜれば、すべての色を再現できる。

   光の場合は、赤(R)・緑(G)・青(B)である。

   簡単に言うと、(本物の)虹の色は7色ではなく、
   B+G=C、G+R=Y、R+B=Mとなるので、
   以下の6色とするのが考えやすいのかもしれない。

   青(B)、青緑(C)、緑(G)、黄(Y)、赤(R)、赤紫(M)。


   一方、色の三原色は、昔は赤・青・黄で、
   絵の具を混ぜれば、他の色も出せたはずだ。

   ちなみに、現在はプリンターのインクの色と同じで、
   黄(Y)・赤紫(M)・青緑(C)とされている。


    ⇒ややこしいのは、本物の虹の色は、
     光の三原色の混合で、写真で見る虹の色は、
     色材の三原色の混合で表示することだ。
   

   
         


   

 

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