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さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。 従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。
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種を細かく分化することによって、
この地球上に非常な繁栄を続けているとも言える昆虫類は、
その一方で、多くの捕食性動物の重要な食物源になっている。
昆虫類は、非常に興味深い様々な生存の方法を発達させているが、
外敵に対する防御行動は、重要なもののひとつであるに違いない。
そして、捕食者と被食者との出会いの場面では、
それぞれの当事者の仕草・行動は、ある程度予測はつくものの、
いつでもドラマチックであり、観察者に強烈な印象を与える。
カメムシ類の放出する(少なくとも人間にとって)強烈な悪臭は、
その外敵に対する防御効果が、完璧であるかのような印象を与える。
しかし実際には、悪臭を放っているカメムシを、
ニワトリ、ネズミ、カマキリ、オサムシ、アリなどの飼育容器に、
そっと放してみると、状況はどうであれ最終的には、
アリ以外の捕食者が平気でカメムシを喰ってしまう。
自然状態でも、多くの野鳥類やクモ、カマキリ等の捕食者が、
悪臭を放出するカメムシを平気で食うことが、しばしば観察されている。
実際に、水田の害虫ミナミアオカメムシの重要な捕食者として、
多くのクモ類やカエルが報告されている。
また、石川県では、イネのクロカメムシの防除にアヒルが使用されたことがあり、
早朝に空腹のアヒルのヒナが水田に放たれたとき、
1時間に200頭ものカメムシを捕食したことが報告されている。
さらに、野鳥類の胃の内容物を調べたリストの中に、
(保護色の)カメムシ類がしばしば発見される。
これらのリストを詳しく見ると、
防御物質を放出するといわれるゴミムシ、オサムシなども同時に発見され、
化学物質を体外に放出する場合の実際の防御効果は、
野鳥類との実際の出会いの場面では、むしろ否定的であると言える。
当然のことであるが、上記の観察結果は、カメムシの匂いの防御効果を、
全く否定しているわけではない。
ただ、「人が感じる匂いの強烈さほどの防御効果は、どうもなさそうである」
というのが、今回の結論である。
しかしながら、カメムシが、
(1)接触毒として作用する臭気成分を生合成する腺【gland】、
(2)それを使用開始直前まで保存する貯蔵嚢【resourver】、
(3)臭気成分の放出角度を変化させることのできる開口部の構造【spout】
を進化させてきているという3つの事実は、
そのためにカメムシを食わなくなった(元)捕食者がいることを想像させる。
そして、カメムシの生息場所、行動習性および体サイズ等を考えると、
その可能性の最も高い捕食者は、やはりアリである。
多くの観察結果によると、体表が細かい毛や鱗粉で覆われていないアリが、
カメムシの臭気成分の直撃を受けると、以後の攻撃ができなくなり、
場合によっては死亡することもある。
もし、カメムシがアリに対して身を守ることができなければ、
特に飛ぶことができない幼虫期には、
かなりの頻度で攻撃を受けていたのかもしれない。
カメムシの臭気成分がの防御効果が、アリにしか有効でなかったとしても、
それは、かなり大きな意味を持っているといえる。
次回、さらに詳しく検討する。