忍者ブログ

ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

かなり不思議なナナフシモドキ


ナナフシモドキという色々な意味で不思議な虫がいる。

ナナフシの仲間は、コノハムシと並んで、
隠蔽的擬態の代名詞ともなっているのだが・・・


ん?  何で、モドキ・・・・??

 

アゲハモドキやカマキリモドキなど、
○○モドキと付く虫たちは、結構沢山いる。

多くは、もともとの○○と言う名前の虫がいて、
あまり類縁関係のない虫が、その本家(?)に、
姿かたちが良く似てる場合に付けられる名前だ。


普通に考えれば、ナナフシという名前は、
ナナフシ目に属する昆虫の総称なので、(ややこしいが)
ナナフシモドキは、ナナフシ目以外の虫に付けられる名前である。

もちろん、近縁種に付けられる場合もあるのだが、
ナナフシ科の「ナナフシモドキ」だけ(?)は例外で、
ただのナナフシという種が、別にいる訳ではないのだ。


ん! カミキリモドキ??

⇒(話がややこしくなるので?)

 


 

ナナフシモドキとバッタ目の幼虫

2003年4月5日 与那国島・沖縄

ナナフシの仲間は、緑色型と褐色型があるようで、
この子は、どちらかというと褐色派なので、
枯れ枝にいた方が、より目立たなかったようにも見える。

しかし、その色とサイズ(太さ!)が絶妙で、
写真のように、緑色の葉っぱにいても、姿かたちは、
やや黄色っぽく見える葉脈と、見事に一致しているのだ。


だから、体の色が緑色ではなくても、このように、
背景の葉っぱに、完全に溶け込んで見えるのだ【注1】

 

 

 


ナナフシモドキ(ナナフシ科)

1999年6月19日 与那国島・沖縄

こちらが、普通の良くある光景だ。

この写真も、昔、与那国で撮ったものだが、
個人的に、擬態する虫たちの姿を、
自然のままに、撮りたくなったキッカケの1枚である。

ただ、ナナフシモドキが、このような状態でいるところを、
歩きながら見つけられる自信は、全くない。


最初の写真と、背景の状況を比較すると、
何か、ナナフシモドキの驚くべき底力を感じるのだ。


 

 

 

ナナフシモドキ(ナナフシ科)

2014年7月18日 笹子峠・山梨

この子は、本州で見つけたナナフシモドキである。

残念ながら、青森県には、分布していないようだが、
ネット情報では、日本特産種であるらしい。


この遠目に見た写真で、どこにいるか、お分かりだろうか?

・・・・・・2匹!!



 

 


ナナフシモドキ(ナナフシ科)

2014年7月18日 笹子峠・山梨

斜めから、アップで撮ると、こんな感じだ。

しかし、何度見ても、不思議な虫だ。

枝に擬態する「こだわり」のために、
逆に多くのものを失っている感じがするのだ。


まず、翅を取り払って、飛翔能力を失い、
あまりにも痩せた体型にしたので、
筋肉が発達せず、動きも遅い。

内部の消化管や神経系、呼吸器系の配置も、
大きな制約を受けているはずだ。

そして何よりも、体が弱々しくなって、
脚などが切断され易くなったのだが、
これはポジティブに考えよう。

防御手段の一つとして、敵に襲われた際に、
脚を自ら切り離すことが出来るからだ【注2】

 


 

 

ナナフシモドキ(ナナフシ科)

2014年7月18日 笹子峠・山梨

この子は、一体どうしたのだろうか?

こんな感じで静止していれば、良く目立つが、
脚がうまく重なって、まるで枝である。

残念ながら、緑色で枝には見えないのだが・・・

 

 

もうひとつナフシモドキには、不思議なことがある。

ナナフシの仲間は、単為生殖を行う事が知られており、
オスは非常に稀で、ほとんど出会うことはない。

何故こんなことになったのか?

まさか、この体型では、
「雌雄が出会っても、交尾しにくい」
なんてことは、ないだろう?

 


  それでは・・・良いお年を

 

 

【注1】この写真は、思い出深い。
 
    実はこの写真、真ん中のナナフシを狙ったものである。
    ようやく、デジカメが普及してきたころ、 
    直接フロッピーディスクに保存する機種で、
    カメラのモニター画面の性能はちょっと?マークだった。

    後で、パソコンの画面で確認したときに、
    すぐそばに、バッタ目の幼虫が、
    さりげなく写っていたという訳である。


    それにしても、このバッタ目の幼虫!!
    隠蔽的擬態の代表であるナナフシよりも、
    撮影者(私)が、見つけられなかったことに、
    ちょっとだけ、不思議な驚きを感じる。

 

【注2】失われた脚は、若齡幼虫時であれば、
    脱皮とともに再生可能であるが、
    終齡幼虫・成虫の自切は、再生されない。

    ただし、終齡幼虫・成虫の場合でも、
    脚は簡単に外れてしまうようだ。


 

     

拍手[20回]

PR