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偶然と必然? ヒトツメカギバ他


前々回・前回と、(擬態ではないのに)、
類縁関係のない虫が、全く偶然に、
互いに良く似た姿かたちになっている例を紹介した。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20141218/1/
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20141221/1/


特定のモデル種に似せるベイツ型擬態の場合とは違って、
姿かたちに関しては、自然淘汰が働かないと考えられるので、
両種の見た目が同じようになるのは、全くの偶然である。

だから、このような例は、かなり稀なことだと思う。

 

 

さらに、今回紹介する例は、ちょっとだけ不思議である。


以下、連続で4枚の写真をご覧ください。

 

 


ヒトツメカギバ(カギバガ科)

2010年8月29日 だんぶり池・青森

前翅に、眼のような紋を持つ普通の白っぽい蛾だ。

ただ、前翅にある模様の色が微妙で、これは鳥の糞の色だ。

 

 

 

マダラカギバ(カギバガ科)

2014年7月6日 トマム・北海道

この子は、上のヒトツメカギバと同じ科に属するので、
雰囲気が良く似てるのは、まあ当然である【注1】

単独で緑の葉っぱの上にいるときは、
多分、鳥の糞に見えないこともない。

 

 

次に、・・・・

 

 

ヒトツメオオシロヒメシャク(シャクガ科)

2013年8月2日 矢立峠・秋田

この子も、ヒトツメ~~と名付けられているが、
類縁関係のないシャクガ科に属する蛾である。

目玉模様の雰囲気もあるが、鳥の糞にも見える。

 

 

 

ウススジオオシロヒメシャク(シャクガ科)

2012年6月26日 万葉の里・群馬

微妙に模様が違うこの子も、同属の蛾である【注2】


これまで紹介した4種は、いずれも、
葉っぱの上で静止するときに、
左右前翅の前縁部分が、ほぼ一直線になり、
見た目が非常に良く似ている。

 

 

・・・と、ここまでは、前2回と同じように、
カギバガ科とシャクガ科の類縁関係のない2つのグループの蛾が、
互いに良く似た姿かたちになっている例の紹介である。

 

 

しかし、今回は、非常に興味深い事実がある。

最初のヒトツメカギバは、不思議な交尾行動をするのだ。

 

 

多くの虫たちが、色や形を鳥の糞に似せることで、
外敵の目を欺く「糞擬態」という防御戦略には、
宿命的な欠点があるのだ。

それは、蛾の左右対称の姿かたちである。

糞擬態は、隠蔽的擬態の範疇には入らない。

とりあえず、自分が鳥の糞であることを、
捕食者(鳥!)に知らせた後で、
餌ではないことを、認識させる必要があるのだ。

 

上で紹介した4種類の蛾は、いくら糞のような色でも
そのまま静止していれば、左右対称の明らかな蛾の輪郭なので、
野鳥類は、すぐに蛾であることが分かってしまうだろう。

 


ところが、・・・

 

ヒトツメカギバ交尾中(カギバガ科)

2012年9月13日 芝谷地湿原・秋田

このように2匹が協力(?)し合えば、
左右対称ではなくなり、蛾の輪郭は、
完全に消されてしまうのだ。

場合によっては、交尾が終わっても、
そのまま、雌雄が重なっていることもある。


しかも、これこそが偶然か必然か、
垂直に近い葉っぱにいるときには、
まるで柔らかい鳥の糞が、垂れ下がっているように、
細長く重なっていることもあるのだ。

その「衝撃的な写真」があるので、
是非、以下のページをご覧ください。
↓  ↓  ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120918/1/

 


そこで、興味深いのは、ヒトツメカギバ以外の種の交尾だ。

彼らもまた、間違いなく、単独でいるよりも、
交尾しているときの方が、鳥の糞に見えるはずだ。

擬態を完成させるには、雌雄が交尾をして、
蛾の輪郭を消す必要があるのだ。


はたして、ヒトツメカギバと同じような交尾行動が、
必然となるのだろうか?

 

 

 

【注1】ネット情報では、日本産のカギバ科には、
    他に2種の良く似た蛾がいるので、以下の4種が、
    鳥の糞に擬態していると思われる。

     ヒトツメカギバ  Auzata superba superba
     マダラカギバ  Callicilix abraxata abraxata   
     モンウスギヌカギバ  Macrocilix maia
     ウスギヌカギバ  Macrocilix mysticata watsoni

    もちろん、この4種は近縁種であり、
    互いに良く似ているのは、共通祖先が同じなので、
    偶然ではないだろう。

 

【注2】ネット情報では、日本産のシャクガ科には、
    他に2種の良く似た蛾がいるので、以下の4種が、
    鳥の糞に擬態していると思われる。

     ヒトツメオオシロヒメシャク Problepsis superans superans
     ウススジオオシロヒメシャク    Problepsis plagiata
     フタツメオオシロヒメシャク    Problepsis albidior matsumurai
     クロスジオオシロヒメシャク    Problepsis diazoma
     

    もちろん、これら4種は同属なので、
    似ているのは当然であろう。




     

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【2014/12/24 06:26 】 | ちょっと不思議 | 有り難いご意見(0)
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