偶然と必然? ヨツメトビケラとシロモンヒメハマキ
前回、どちらかが擬態しているわけではないのに、
類縁関係のない虫が、全く偶然に、
互いに良く似た姿かたちになっている例を紹介した。
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20141218/1/
特定のモデル種に似せるベイツ型擬態の場合とは違って、
姿かたちに関しては、自然淘汰が働かないと考えられるので、
両種の見た目が同じようになるのは、全くの偶然である。
だから、このような例は、かなり稀なことだと思う。
・・・もちろん、私が知らないだけかもしれないが・・・
今回、写真が撮れた、もう一例だけ紹介しよう。
まずは、福井県の瓜割の滝で見つけた、
よく目立つ模様のこの子から・・・
ヨツメトビケラ(フトヒゲトビケラ科)
2014年5月25日 瓜割の滝・福井
真っ黒な翅に、よく目立つ黄白色の三日月。
実は、この写真では、三日月紋が、
左右に1個ずつしかないように見えるが、
前翅と後翅に、それぞれ1個ずつあるので、
名前の由来通り、四つ目である。
ヨツメトビケラ(フトヒゲトビケラ科)
2014年5月25日 瓜割の滝・福井
だから、翅を開いて飛んでいると、
鮮やかな4つの紋が、はっきり見える。
ただ、あまりトビケラ類は、有毒であったり、
他の防御手段を持っているとは、考えにくいので、
警戒色ではなさそうだ。
⇒ この紋は、雄にしかないので、
もしかしたら、交尾行動に関係しているかもしれない。
そして、酸ヶ湯温泉で見つけたこの子は、
チョウ目のハマキガの仲間であるが、
見た目の雰囲気が、上のトビケラと良く似ている。
シロモンヒメハマキ(ハマキガ科)
2014年6月21日 酸ヶ湯温泉・青森
すぐ上の写真と比較すると、全体の雰囲気が、
非常に良く似ていることが分かる。
しかも、良く目立つ模様なので、
捕食者に発見されやすいような気がするのだが・・・
シロモンヒメハマキ(ハマキガ科)
2014年6月21日 酸ヶ湯温泉・青森
ネット情報では、幼虫の食草はサクラなどで、
成虫が、有毒成分を体内に持っているとは考えにくい。
という訳で、今回の両種が良く似ているのも、
擬態関係ではなく、偶然の結果だろう。
もちろん、未知の(単に私が知らないだけ!!)の、
モデルとなった不味成分を体内に持つ3番目の種が、
いるかもしれないのだが・・・