虫たちの親子-12 イラガ類
このシリーズでは、特異な姿かたちの幼虫について、
たまたま、成虫の写真が撮れていたものを、
親子として、両方同時に紹介している。
普通に考えて「こんなにも奇妙な幼虫たちの親(成虫)は、
一体どんな虫なんだろうか?」というのが、その発端である。
今回は、ちょっとだけ不思議なイラガ類の親子である。
まずは、幼虫から・・・・・
ヒロヘリアオイラガ幼虫(イラガ科)
2008年7月13日 徳島市・徳島
イラガ幼虫は、我々人間にとって、本当に要注意の虫だ!!
徳島に住んでいたころ、
ヒロヘリアオイラガの幼虫が、庭木に良く発生して、
家族全員が、何らかの形で、その被害(痛み)を経験している。
見るからに痛そうな棘(トゲ)であるが、
間違って触ってしまうと、想像以上に、もの凄く痛い!!!
トゲの物理的なチクリとする痛みではないのだ。
このトゲは、中空になっていて、体内の毒腺につながっているらしい。
幼虫は、物理的刺激に反応して、
刺すと同時に、相手に毒液を注入することができるのだ。
アカイラガ幼虫(イラガ科)
2011年10月9日 蔦温泉・青森
透明感のある薄緑色の体に、トゲがあり、先端が赤い。
毒がなければ、手に取ってみたい気もするが、残念がら、
このアカイラガの幼虫も、触ると、鋭い痛みがある。
経験したことはないが、ネット情報では、
上のヒロヘリアオイラガ幼虫より、激しい痛みらしい。
ドクガの仲間は、毒針毛の毒物質に触れることによる「痒み」であるが、
イラガの仲間は、毒液を直接注入するので、「痛み」と言われている。
とりあえず、カナヘビやカエルのような捕食者は、
この毒に、一撃で反応するだろう。
皮膚に羽毛を持つ鳥類は、どうだろうか?
こんな「やりすぎの幼虫」の親は、
一体、どんな姿をしてるのだろう。
ヒロヘリアオイラガ成虫(イラガ科)
2006年6月11日 長原海岸・徳島
写真が良くないが、どちらかというと、綺麗な蛾である。
刺すのは幼虫だけなので、成虫に触っても問題ない(はずである!?)。
これは、おそらくドクガ類成虫との違いである。
アカイラガ成虫(イラガ科)
2012年8月4日 五色沼・福島
こちらも、赤っぽい体色で、なかなか綺麗な蛾である。
また、何でもかんでも、擬態に結び付けると言われそうであるが、
イラガやドクガ類のように、有毒成分を持った毛虫(?)と、
前回のリンゴドクガ幼虫のように、有毒成分を持たない、
触っても大丈夫な毛虫がいることになる。
昆虫マニアの人たちは、その二つのグループを、
目で見て識別することができるが、
カエルや野鳥類は、どうなのだろうか?
もし、区別することができないのなら、
無毒の毛虫は、有毒の毛虫に擬態しているのかもしれない。
しかし、カッコウは、毛虫が大好きなようであるが・・・