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さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。 従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。
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カマキリの前肢、コロギスやスズメパチの大顎など、
自分の獲物を捕らえる攻撃的な手段となるものが、
外敵に対する防御手段にもなる可能性は高い。
一例だけ写真を示そう。
花にいたキイロスズメバチの写真を撮っていたら、
急に自分に向って飛んで来た瞬間!!
秋になると、スズメバチの仲間が人を襲うというニュースが流れる。
もちろん、彼らの外敵(人間)に対する防御行動である。
スズメバチの強靭な大あごは、かなり怖い。
何か、肉をそぎ取られてしまうような恐怖もある。
しかし、獲物を襲うことのない虫たちも、
物理的な防御手段を、独自に発達させている。
最も分かりやすいのが、全身に毛やトゲを持つ虫たちだ。
多くはチョウ目の幼虫で、中には、
こんなやり過ぎとも思えるトゲトゲを持っているものもいる。
多分アカヒゲドクガ幼虫。
なんか、形状の異なる数種の毛が、体中に生えている。
見た目だけで、関わり合いになりたくないイメージである。
良く見ると、両サイドの短い毛は、アリの攻撃を防げそうである。
上に伸びる長い毛は、ムシヒキアブやサシガメの攻撃を、
邪魔することが出来そうである。
ただ、鳥に対する防御効果は、全くなさそうだが・・・・
リンゴドクガ幼虫。
これだけ見事に毛があると、思わず笑ってしまいそうになる。
多分アリ対策用の毛だろうが、寄生蜂にも効果がありそうだ。
あまり良い写真ではないが、サカハチチョウの幼虫。
こちらは、物理的防御法というより、
視覚的防御法(?!)なのかもしれないが・・・・
これは、越冬中のトホシテントウ幼虫。
明らかに「やりすぎ感満載」のトゲトゲがある。
テントウムシの場合は、有毒成分も体内に持っているので、
野鳥類は、食べないようであるが・・・・
樹皮の下にいたウスアカフサヤスデ。
トホシテントウと比べるのもかわいそうだが、
この子は、ちょっとインパクトが少ない。
こんな毛でも、アリのような小さな捕食者には、
おそらく、十分有効なのだろう。
いずれにしても、このような毛束やトゲトゲは、
野鳥類やトカゲ・カエルなどの大型の捕食者に対しては、
見た目ほど効果的ではないのかもしれないが・・・・
次は、物理的防御法として、最もふさわしい(?)タイプである。
ホシナカグロモクメシャチホコ幼虫。
シッポに痛そうな棘がある2本のムチをもっていて、
アリなどの攻撃を受けると、それをふりまわして追い払う。
人が近づいても、結構な勢いで威嚇するので、
大型捕食者も、攻撃をためらうかもしれない。
こちらはモクメシャチホコ幼虫。
この子も、同じようなイメージであるが、
もしかしたら、Ⅲ(4).で取り上げたような、
体の前後を逆に見せかける効果もあるかもしれない。
また、写真はないのだが、学生時代、実験材料として、
マツノキハバチ幼虫の採集のお手伝いをしたことがあるが、
人が近づくと、幼虫が体を急激にU字型にそらせたり、
ブルブル震わせたりして、威嚇してくる。
実際に、鳥をおどかしたり、寄生者をふりおとしたりするらしい。
また、ある種のカツオブシムシの幼虫は、
腹部に顕著な毛のフサを持っていて、外敵におそわれたときに、
それを相手の体に付着させて動けなくする。
これはとくに小さなアリなどの外敵に対しては、
効果的な防御手段となるようだ。
最後に、有名な物理的防御法を紹介しよう。
ニホンミツバチが、オオスズメバチに対して行う蜂球だ。
オオスズメバチはミツバチの巣を襲い、成虫を殺した後で、
幼虫や蛹を自らの巣に運び仔の餌として利用する。
ニホンミツバチは、このようなオオスズメバチの襲撃に対して、
集団でボールのような感じで取り囲み、翅を震わせて熱を発生させ、
中にいるオオスズメバチを蒸し殺すという、
非常にユニークな戦略を進化させてきたのだ。
ちなみに、日本でも良く見かけるセイヨウミツバチは、
そのような行動はとらず、むやみに挑みかかり、
皆殺しの憂き目に会うことが多い。
ヨーロッパには、ミツバチを襲う大型のスズメバチがいないので、
そんな行動は進化してくるはずもないのだ。