ちょっとだけ不思議なムシの名前【3】 何でナミなの?
まず、下の写真を見てください。
みんな、それぞれの属する科を代表する(?)ムシたちである。
ナミアゲハ(アゲハチョウ科)
2006年8月13日 印西市・千葉
食草の関係で、このチョウは弘前ではほとんど見かけない。
私の学生時代には、ナミアゲハのことを、
わざと「ただのアゲハ」と呼んでいた。
ナミテントウ(テントウムシ科)
2011年5月12日 松本市・長野
もちろん、ナミテントウは、「ただのテントウムシ」と呼んでいた。
ただ、ナナホシテントウをテントウムシと呼ぶ人が意外に多い。
ゲンゴロウ(ゲンンゴロウ科)
2011年2月17日 日野市・東京
実は、多摩動物園の昆虫館で撮った写真である。
特に最近では、ナミゲンゴロウと呼ぶのは、
いくらなんでも、ちょっと可哀そうか?
オトシブミ(オトシブミ科)
2011年9月4日 だんぶり池・青森
これは、ナミオトシブミでも何ら問題はないと思う。
ナミハンミョウ(ハンミョウ科)
2011年8月11日 東海村・茨城
日本で10本の指に入る美麗種に、
ナミを付けるのは多少の違和感がある?
と、まあ、最近では、このように、
属以上の分類群を表わす名前と、特定の種名が同じである場合には、
ナミ○○ということが多くなっており、子供向けの図鑑などにも、採用されている。
ただ、学会では、賛成と反対の意見がいろいろあるようで、
上に挙げたムシ君たちに対しても、人によって、
ナミを付けたり、付けなかったりしているのを見かける。
何故か、タマムシだけは、ナミタマムシではなく、
ヤマトタマムシと言うらしいが・・・・
そして、問題はカブトムシである。
カブトムシ目(最近は、コウチュウ目?)と言う名前があるのに、
何故かコガネムシ科に属するカブトムシ。
ちょっと変?
カブトムシ(コガネムシ科)
2010年7月11日 筑波山・茨城
カブトムシの場合も、全く同じ状況だと思うが、
適当な接頭語(?)は、まだ提案されていないようだ。
やはり、ナミカブトムシとか、ヤマトカブトムシとは、
なかなか言えないのだろう。
個人的には、アゲハとテントウはナミが定着したようだが、
カブトムシとタマムシは、そのままで良いような気がする。
ここで終わっても、全然尻切れトンボ(懐かしい言葉?)ではないのだが・・・
前回に続いて、
分類学を正式に学んだことのない私が、言わずもがなのことを言うと、
「カブトムシだけは、コガネムシ科ではなく、カブトムシ科にしたら」
と、昔から思っているのだが、どうなんだろうか?
そもそもコガネムシ科は、含まれる種類が多過ぎるし、
しかも、見た目は、カブトムシ(の雄)だけが全然違った形態とサイズである。
前回紹介したように、科の基準はさりげなく曖昧であり、
その証拠に、ほかの分類群ではやたら科を分けているような場合もあるし、
種名ははっきり同定できるのに、科が分からなかったりする。
だから、新たにカブトムシ科を作っても、
少なくとも私には、問題がないような気がするのであるが・・・