ちょっとだけ不思議な虫たち
4月になったので(軽い前振り?)、
クモに擬態する「珍しいカミキリ」を紹介しよう。
ヒガシカミキリ(ヒガシカミキリ科)
2013年4月1日 富士山頂・静岡/山梨
遠くで見たときには、本当にカミキリがいる! と思った。
前方に長く伸びる触角が、クモの前脚のように見えるし、
歩くときにも、足の動きに合わせて動かす。
よく見ると、背中に「東」という文字がある。
このカミキリには、かなり不思議な習性があって、
何処にいても、必ず東を向いて静止しているのだ。
だから、学名を、Akab utagis という。
さらに、驚くべきことに、ニシカミキリという近縁種がいて、
こちらは背中に「西」という文字がある。
当然、このカミキリは、西を向いて静止するのだ。
学名は、Loof lirpa という。
おそらく、まだ発見されていないが、
当然「南」と「北」の文字があるカミキリもいるようで、
昆虫マニアの間では、誰が先に発見するのか、競争になっているようだ。
??????????????????????
⇒今日は、4月1日なので、一度はやってみたかったネタです!!
(失礼しました)
ここからは、すべて事実です。
上の写真は、メガネドヨウグモというクモの仲間で、
背中に「東」の文字も、何も修正を加えていません。
メガネドヨウグモ(アシナガグモ科)
2012年6月27日 蓮華温泉・新潟
最初の写真と同じ個体を、
鮮明(?)に、撮ったものである。
背中にはっきりと「東」の文字が見える。
良く見ると、お尻から、一本の糸を出している。
メガネドヨウグモ(アシナガグモ科)
2012年6月27日 蓮華温泉・新潟
少し撮影アングルを変えてみても、
何となく「東」と読み取れる。
どうして、この特異な模様が、
和名にならなかったのだろうか?
しかし、別な日に、別な個体を撮った写真を見ると・・・・
メガネドヨウグモ(アシナガグモ科)
2011年6月1日 白岩森林公園・青森
かなり怪しくなってきたぞ!?
というか、この写真を最初に見たときには、
東という漢字を連想することは、おそらくないだろう。
どちらかというと、和名のとおり「メガネ」か?
というように、虫たちの模様は、同じものでも、
写真の写り方によって、変わって見えるのだ。
もっと正確に言えば、「東」という文字は、
それを見る側(情報の受け手)が、
頭の中で勝手に、判断し、作り出したもので、
これこそが、私が何よりも興味を持っている「擬態」の起源なのだ。
以前、このブログで、昆虫の翅や体にある模様に、
アルファベットを見出して、紹介したことがあった。
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110217/1/
昆虫のアルファベットも、当然「東」と同様に、
体の模様を何かに似せる「擬態」の起源・本質を、
さりげなく表しているのだと思う。
だから、フクロウやヘビのような目玉模様にしても、
虫の食痕まである葉っぱや枯れ葉の模様にしても、
あるいは、鳥のフンのように見える姿かたちにしても、
それらを見た側が、全く勝手に解釈して、全く勝手に、
驚いたり、避けたりしているだけなのである。