ちょっと不思議 ヨモギハエボシフシ
北海道MMT中に、ヨモギの葉っぱに、
ちょっと不思議なものを見つけた。
ヨモギには、何種類かの虫えいが付くのは知っていたが、
今回のものは、初めて見るタイプだったので、
家に帰ってから調べるまで、正体は全く分からなかったのだ。
最初に見つけたとき、遠目に見ると、こんな感じだった。
赤丸印の中に見えるが、この姿かたちは、有り得ない??
早速、最近購入した「虫こぶハンドブック」【注1】で調べると、
多少雰囲気が違うが、ヨモギハエボシフシで良さそうだ。
ヨモギエボシタマバエによって、ヨモギの葉に形成される虫えいである。
もちろん北海道にも分布する。
ネット情報では、ヨモギの虫えいの中では、
最も普通に見られるものだそうだが、
このような状態になっているのは、私は初めて見た。
普通は、淡緑色であるが、日当たりの良い部分が、
写真のような鮮やかな紫色になるようだ。
⇒全く関係ない話であるが、この縦に並んだ不思議な形状を見ると、
何故か、紀伊半島先端の潮岬近くにあるにある橋杭岩を連想する。
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101103/1/
右側に写っているのは、アブラムシとアリ。
どうやら、このゴールとは無関係のようだ。
最初の写真にあるように、近くにあるヨモギは、
全くきれいなままなので、何故か、
この株(宿主)だけが、虫にモテモテのようだ。
やはり、雌成虫の産卵習性によるのだろう。
近くの葉っぱに、同種の雌成虫の産卵痕跡がない場合や、
同じハビタットを持つ他種の存在もなさそうなときには、
もう少しバラバラに産卵した方が良かった気がするのだが・・・
⇒目の前一面に広がるヨモギの群落の中で、
ある一株だけが、タマバエとアブラムシに、
同時に加害(?)されている状況は、
やはり、ちょっとだけ不思議である???
ネット情報では、この烏帽子の中には幼虫室があり、
中にタマバエの幼虫が、1匹だけ入っているようだ。
羽化した成虫は、上部が開口するので、そこから脱出する。
⇒緑の葉っぱの中にあっては、かなり目立つ存在である。
どうしてこんな手の込んだことをするのだろうか?
奇妙な姿かたちをしてることが多い「虫えい」をみると、
食べるものと食べられるもの不思議な関係が興味深い。
当然、虫えいは、虫からの何らかの刺激によって、
寄生された植物の細胞や組織が、異常に増殖・肥大したものであり、
それが、何故いつも同じ形状になるのかが、やっぱり不思議である。
【注】この本は、高校時代の恩師である薄葉重先生の著書で、
全く偶然であるが、そのことを最近になって知った。
先生、申し訳ありませんでした・・・
次回、これもひょんなことから知った、先生のお名前の付いている、
クロオビカイガラキジラミ Celtisaspis usubai を紹介予定です。