アキカラマツオナガアブラムシのマミー
関東以西では山地に咲くカラマツソウ、
昔は、北アルプスの山麓で良く見かけたのだが、
葉っぱの形と付き方が、個人的に好きな植物である。
何故、カラマツソウと言う名前なのか?
⇒ネット情報では、花の付き方が、カラマツに似てるから!
その仲間に、だんぶり池周辺の林道でも、
春になると良く見かけるアキカラマツという種類があって、
名前がちょっとだけややこしい。
しかも、花のイメージが、カラマツではない。
そんなアキカラマツで見つけた、ちょっとだけ不思議なアブラムシ。
アキカラマツオナガアブラムシ(アブラムシ科)
2015年6月24日 だんぶり池・青森
まるで透けているような単黄色のアブラムシだ。
写真のように、尾片が角状管より長いので、
アキカラマツオナガアブラムシという名前が付いたのだろう。
アキカラマツオナガアブラムシ(アブラムシ科)
2015年7月3日 だんぶり池・青森
アブラムシ類の生活史は、ちょっとだけ不思議だ。
普段見られる無翅胎生雌虫は、このように、卵ではなく子供を産む。
⇒アブラムシが単為生殖する植物は、
夏寄生(2次寄生)と呼ばれる。
アキカラマツは、単為生殖する2次寄生の植物なのだ。
一方、越冬卵を産むための冬寄生(1次寄生)は、
ハマナスやノイバラなどのバラ科の植物だ。
だから、別名をハマナスオナガアブラムシという。
アブラムシの分類は、これがあるからややこしい。
⇒さらに、アブラムシが虫えい(ゴール)を作る種の場合は、
もっともっと、ゴールの名前がややこしいことになる。
そんなアブラムシなのだが・・・・
新鮮なアキカラマツの葉っぱに、
ちょっとだけ不思議な白い塊が見える。
⇒この時期になると、新鮮な葉っぱは、
結構色々な虫に食われて、傷だらけになることが多い。
さすが、有毒キンポウゲ科のアキカラマツには、
そんな食痕が、あまり見られない。
しかし、一体、この白い点々は何だ!!
アキカラマツオナガアブラムシのマミー
2015年6月24日 だんぶり池・青森
近づいてよく見ると、葉っぱの真ん中に、
ほとんど一匹ずつ、白いアブラムシがいる。
でも、全く動かないし、身体に穴が開いている個体も見える。
これは、アブラムシの世界では、有名なマミーと呼ばれるものだ。
実は、アブラバチ類が寄生し、羽化脱出したミイラなのだ。
⇒ちょっとだけ不思議なことに、最終的には、
このように、葉の表に点在していることが多い。
アキカラマツオナガアブラムシのマミー
2015年6月24日 だんぶり池・青森
この寄生蜂(多分アブラバチの仲間)の雌成虫は、
1匹のアブラムシに、1個ずつの卵しか生まない。
だから、孵化した幼虫は、だれに邪魔されることなく、
アブラムシの内部を食べつくすのだ。
そして、最終的に、蛹になる時期がくると、
宿主のアブラムシの体は、パンパンに膨張し、
なぜか、白っぽくなって、まさにミイラ(マミー)のよう・・・
大きな穴が見えるのは、アブラバチの成虫が脱出した穴だ!!!
そして、7月も中旬を過ぎるころから、かなり不思議なことに、
だんぶり池周辺では、可憐なアキカラマツは、
他のヨモギやススキなどの植物に、覆われたようになって、
我々の視界から姿を消してしまうのだ。
・・・アキカラマツアブラムシも一緒に!