ササの葉の不思議な穴【追加】 謎は解けたのか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この記事は、新ブログへの移行に伴い、写真を最新のものに入れ替えて、
サイズも大きくして見やすくし、説明文も加筆・修正を行っています。
お手数ですが、以下のURLをクリックして、新ブログ記事の方をご覧ください。
【ササの葉の一列穴(改訂)】
↓ ↓ ↓
http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2019-09-28.html
もちろん、そのまま下にスクロールしていただければ、
元の記事をご覧になることもできます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
前々回のブログ記事【2/3】に、
ササの新葉が、棒状の状態(展開する前の期間)が、
想像以上に短いことを、以下のように記述した。
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150620/1/
『私がササの葉の穴を観察して感じる最大の疑問点は、
昆虫類の幼虫が、成長するために食べる量にしては、
かなり少ないような気がするのだ。
棒状の展開前の葉っぱの期間は、おそらく1週間程度で、
その後1~2日で完全に開いてしまう。』
このことが、ミシン穴を開けた虫が、通常の幼虫ではなく、
例えば、カミキリの後食や、バッタやハムシ類の成虫のような、
「一時的に摂食するタイプの虫たち」らしいと考えた理由である。
・・・・・
「本当に、新芽の期間が1週間しかないの?」
という娘の声が、電話の向こうから聞こえてきた。
これから毎日だんぶり池に通って、
証拠写真を撮らなければ、と思ったのだが・・・
その証拠は、前回【3/3】の写真の中に既にあったのだ。
お気づきの人もおられるかもしれないが、
処理後8日目の写真の中に、写っている??
⇒戻って見ていただくのも手間なので、
以下に、もう一度掲載します。
(25)処理後8日目(再掲)
2015年6月18日 だんぶり池・青森
中央の人工的な2段のミシン穴に目が行ってしまうが・・・
実は、この時点で、もうすでに次の新葉が右側(赤矢印)に、
長さが約5cmほどになって、さりげなく見えているのだ。
そして、ブログには掲載しなかった下の写真・・・
(27)処理後14日目
2015年6月24日 だんぶり池・青森
上の写真から、わずか6日後(処理後14日目)には、
矢印で「次の新葉」とした葉っぱが、もうすでに、
長さも3倍ほどになって、開きかけているのだ【注】。
⇒このスピードでは、どんなに成長の速い幼虫でも、
蛹になるまでの摂食できる日数が短すぎるだろう。
・・・折角の写真なので、もう1枚!!
(22)処理後8日目
2015年6月18日 だんぶり池・青森
この写真も、細い棒状の新芽が見える(赤矢印)。
ミシン穴が見える奥の展開済みの葉っぱは、
8日前には、こんな状態だったのに・・・
(28)処理後14日目
2015年6月24日 だんぶり池・青森
そして、それから6日後には、既に開きかけ!!
⇒まあ、クズの蔓の成長速度も凄いが・・・
もし仮に万が一、穿孔する幼虫がいたとしても、
中心部分まで食い進むのに、葉っぱの成長につれて、
穴が斜めに開くようなことになってしまうだろう。
⇒ということは、現在主流の考え方(仮説?)となっている、
孵化幼虫が穿孔しながら摂食するタイプの虫たちは、
この時点で、大きく候補から外れることになるのだ。
・・・蛇足(候補者の写真)・・・
(29)ササの葉の齧り痕【本物!!】
2015年6月19日 白岩森林公園・青森
前々回の【2/3】で示した写真(17)では、
上から3番目の食痕で折れ曲がっていた状態だったが、
この写真は、無理矢理に立てて撮影したものである。
こんな感じで、ササの葉の展開前の新葉を、
一時的に齧る虫は、カミキリ類以外にも考えられる。
⇒もちろん、このまま葉っぱが展開すれば、
上2段の穴は完成せず、【1/3】で示したの写真(03)のように、
ミシン穴の部分で、先端部がなくなってしまうのだが・・・
以下の3種の虫たちは、ササの葉の上で見つけたものだ。
(30)多分キリギリス科の仲間の幼虫
2015年6月18日 だんぶり池・青森
何か、自由自在に展開前の新葉を、
渡り歩くことが出来そうである。
当然、数分間の摂食で、齧った痕跡が残りそうだ。
(31)セセリチョウの仲間の幼虫(セセリチョウ科)
2014年10月15日 浅瀬石ダム・青森
このようなやや大型のチョウ目の幼虫は、何故か、
ミシン穴製造の犯人探索の容疑者リストから外れていた。
⇒当初は、小さな幼虫が内部に食い進んでいくはず、
という先入観があったからだろう。
しかし、もしかしたら、普通にササの葉っぱを食べるような、
ジャノメチョウやセセリチョウの仲間の若齢幼虫が、
普段(昼間?)は、ササの葉裏に隠れていて、
夜になると、さりげなく新芽の部分に登って、
柔らかい部分を、外側から1~2か所だけ齧って、
別の場所で、幼虫脱皮した後に、再び今度は別の株に、
登るという可能性も十分考えられる。
ついでに、【タイプB】の食痕の可能性も!!
(32)多分クロスジアワフキ(アワフキムシ科)
2013年7月15日 高山稲荷・青森
体色や斑紋に個体変異がかなり多く、この個体は、
クロスジに見えない中途半端な斑紋である。
同定が正しければ、幼虫はササに泡巣を作る。
成虫が展開前の新葉から吸汁すれば、
以前示した【タイプB】の食痕が残るはずである。
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150623/1/
⇒記事の最後の部分で、候補者としたヨツモンカメムシよりは、
このクロスジアワフキ成虫の方が、可能性が高いように思う。
【注】これまで単に「ササの葉」としてきたが、
ブナ林の林床に密生するササは、多雪の日本海側では、
チシマザサ(Sasa kurilensis)という種類のようだ。
ただ、近似種が多く、分類学上は多少混乱しているとされる。
一般的には、山地で普通に見られる大型のササ類を
クマザサという俗称で呼んでいるようだ。
だから、新葉の展開までの時間に関しては、
種間で大きな差はないとみて良さそうだ。