ハチの巣に入り込む虫たち
弘前で暮らすようになってから、
昔のように、昆虫採集をしなくなり、
そのかわりに、虫たちの自然のままの姿を観察し、
生態写真を撮ることが主体となった。
今までのように、見つけたら直ぐに、ネットを振ったり、
毒ビンに入れたりすることがなくなったので、
虫たちの行う、捕食者に対する防御戦略が、
本当に、多種多様であることを、様々な状況下で、
再認識することが出来たように思う。
このブログでは、そんな虫たちの防御行動を、
出来るだけ写真入りで、紹介してきた。
さらに、以下の15回シリーズでは、
虫たちの防御戦略を、レビューしたこともある。
【虫たちの防御戦略①~⑮】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130201/1/
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130310/1/
でも、ちょっとだけ不思議な昆虫の世界は、
まだまだ、奥が深い!?!
上に紹介した①~⑮のシリーズの中で、
取り上げることのなかった究極の防御方法が、
さりげなく存在したのだ。
⇒まあ、② Ⅱ(1)の【隠れている】に、
かなり近い範疇になるのかもしれないが・・・
(例によって前置きが長くなってしまった)
普通に考えると、虫たちにとって、ハチの巣の中は、
捕食者から攻撃されない安全な場所である。
だから、意外に多くの虫たちが、ハチの巣の中に入り込む。
⇒最終的に蜂の巣内で生活するのは、
幼虫期が多いのだが、もちろん、
そんな幼虫の実際の姿を撮ることは、私には出来ない。
今回は、全て成虫の写真のみである。
ギンモンシマメイガ(メイガ科)
2012年6月30日 上州武尊山・群馬
この子の幼虫は、スズメバチ科のハチの巣を食ベる。
ただ、幼虫がどのような経緯で、
ハチの巣の中に潜入するかは不明である。
⇒おそらく、成虫がハチの巣の中か、
周辺部に産卵するのだろうが、
時期や方法など、まだ謎が多いようだ。
この子は、比較的珍品なのであろう。
シロスジベッコウハナアブ(ハナアブ科)
2010年9月20日 だんぶり池・青森
オトコエシの花の蜜を舐める綺麗なアブ。
この子の幼虫は、土中のクロスズメバチの巣の中に入り込む。
⇒ネット情報では、スズメバチの活動が盛んな時期には、
幼虫は、巣から捨てられた成虫の死体などを食べているが、
営巣末期になり巣の勢いがなくなると、巣の内部に侵入して、
スズメバチの幼虫を襲って食べてしまうということである。
詳細は以下の記事で・・・
【ちょっとだけ不思議なアブ君 ベッコウウハナアブ類】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120304/1/
ニトベベッコウハナアブ(ハナアブ科)
2010年9月2日 だんぶり池・青森
オレンジ色と黒の綺麗な大型のハナアブであり、
明らかに(?)ハチに擬態している。
この子の幼虫も、キイロスズメバチの巣に寄生するようである。
一体どうやって、キイロスズメバチの巣の中に、
入り込むことが出来るのだろうか?
【軒下のキイロスズメバチの巣】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20151007/1/
⇒まさか、母親がハチに擬態しているので、
ハチの巣の中に、さりげなく入れる・・・
なんてことはないと思うが!!!
トビイロシマメイガ(メイガ科)
2012年6月21日 道の駅みしま・福島
最初に挙げたギンモンシマメイガと同様に、
この子も、ハチの巣に入り込むことがあるようだ。
⇒ネット情報によると、トビイロシマメイガの幼虫の食草は、
イチイ科(イチイ)の葉、マツ科(エゾマツ)の葉、
ヒノキ科(タマヒムロ)の葉、ヒノキ科(スギ)の球果とされるが、
その後に、スズメバチ科(ヤマトアシナガバチ)の巣を食べると、
さりげなく記されている。
もちろん、ハチの巣をどのように食べるのか、
詳細な観察記録を、ネット上では見出すことが出来なかったが・・・
しかし、普通に葉っぱを食べている幼虫が、
あるとき(?)ハチの巣の中に入り込むとは!!!
⇒こんなに安全で、食べ物が簡単に入手できる場所は、
他にはないだろう。
他にも、蜂の巣に入り込む有名な虫たちがいる。
【キスジセアカカギバラバチ これがミラクル生活史だ!!】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20111004/1/
【千載一遇!? マルクビツチハンミョウの交尾】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150406/1/
また、写真は撮れていないのだが、
ネジレバネやオオハナノミの仲間も、
幼虫がハチの巣に入り込む寄生者として知られている。
もちろん、通常のヒメバチやハエの仲間も、
ハチに寄生する種類は多いはずだ。