虫たちの親子-34 ニシキキンカメムシ
このブログの親子シリーズでは、親子(成虫と幼虫)で、
姿かたちが劇的に変化する虫たちを紹介している。
だから、蛹の時期がある完全変態の虫たちが、
必然的にメインに取り上げられる。
ただ、例外もあって、不完全変態のトンボやセミも、
親子で大きく見た目が変化するが、残念ながら、
幼虫のステージが水中や土中で、素人には写真は撮れない。
そんな中で、ほとんどのカメムシの仲間は、
成虫と幼虫の生息場所が同じで、しかも、
蛹の時期がないのに、微妙に「見た目」が変化する。
・・・という訳で、
今までこのシリーズに一度も登場していないカメムシを、
この際だから、いっぱい取り上げてみたい。
最初は、日本のベスト10に入るほどの超美麗種で、
発見場所が限られる極めて稀な(極珍!)カメムシから・・・
ニシキキンカメムシ5齢幼虫(キンカメムシ科)
2005年5月4日 古処山・福岡
この撮影場所は、ニシキキンカメの有名な産地だ。
私の普段からの撮影スタンスでは、
「○○○へ△△△を、わざわざ採りに行く」
というようなことはしないのだが、
このときだけは、妻と車で九州旅行中に、
さりげなくニシキキンカメに会いたくて、
少し遠回りして、古処山に行ってみた。
食草のツゲは、山頂付近に散在しているので、
他の植物には目もくれず、さりげなく探し始めた。
そして、私の普段のこころがけが良いからだろうか、
ビジターセンターの駐車場からから歩き始めて、
僅か2時間後には、もう終齢幼虫に出会っていた。
ニシキキンカメムシ5齢幼虫(キンカメムシ科)
2005年5月4日 古処山・福岡
少し登山道を登っていくと、さりげなく2匹目も発見。
幼虫でさえ、この金属光沢である【注】。
成虫は、一体どんな輝きを見せてくれるのだろうか?
・・・ところが
その日は、最終的に5匹の幼虫を見かけたのだが、
成虫の姿を見ることはなかった。
そこで、今回だけは特別に、2匹の幼虫を、
自宅(当時)のある徳島まで持ち帰ることにした。
そして、・・・
ニシキキンカメムシ幼虫と成虫(キンカメムシ科)
2005年5月8日 徳島市・徳島
当時は、現在のように暇ではなかったので、
羽化の瞬間に立ち会うことはできなかったが、
偶然、幼虫と成虫のツーショットが撮れた。
⇒幼虫には、しっかりピントが合っているが、
ほぼ同じ位置の成虫は、ピンボケのように見える。
ニシキキンカメムシ幼虫と成虫(キンカメムシ科)
2005年5月6日 徳島市・徳島
キンカメ類の美しさは、白い背景の方が引き立つ。
ただ、上の写真と同様に、ニシキキンカメムシ成虫には、
カメラのピントを惑わすような、独特の雰囲気がる。
・・・と、自分の撮影テクニックの無さを白状する?
【注】美麗種の定義は難しい。
・・・と言うか、個人の主観であると思う。
普通は、金属光沢の虫を想像するのだろうが、
チョウのスミナガシや、ハチのセイボウなんかを、
思い浮かべるマニアックな人もいるだろう。
学生の頃、虫仲間の友人たちと、
「昆虫類の最美麗種は何か?」
と言う酒の席で、議論(?)をしたことがある。
そのときは、私だけが酔っていなかったのだが、
タマムシ、ハンミョウ、ルリセンチコガネ、
アカガネサルハムシ・・・などの甲虫類の名前の挙がる中で、
「幼虫時代も含めれば、ニシキキンカメしかいない!」
と主張したとき、一瞬みんなの顔が・・・