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さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。 従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。
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これまでは、ブログタイトルどおり、
「ちょっとだけ不思議な昆虫の世界」の話をしてきた。
今回は、「かなり不思議な昆虫の世界」を紹介したい。
まずは、舞台となった場所はこんな感じだった。
こんな雰囲気の乗鞍高原の静かな池のほとりで、
落ち葉の陰に、まるで人工物のように、
キラキラ輝く青い虫を見つけた。
ヒメツチハンミョウのオスである。
男なのに、まるで妊娠しているように膨らんだお腹、
全く飛ぶことが出来ないと思われる小さな翅、
ありえないところがハート型に膨らんだ触角、
全ての体の部分が同じ光沢のある青色。
これだけ見ても、この子は、
「かなり不思議な雰囲気」を持っている虫である。
ただし、この子の不思議なところは、外観だけではない。
これからが、「かなり不思議な昆虫の世界」なのだ。
ツチハンミョウの仲間は、ファープル昆虫記にも出てくるので、
その不思議な生活誌を、ご存知の方も多いと思う。
まず、ツチハンミョウの雌は、4000以上の卵を産む。
この数は、通常の昆虫の産卵数ではない。
そして、春先に孵化した1齢幼虫は、アザミなどの花によじ登る。
自分で花の蜜を吸うためではない。
ハナバチが蜜を吸いに来るのを待つのである。
運良くハナバチが来ると、強靭な大あごと肢の爪で、
ハナバチの毛にしがみつき、その巣にたどり着く。
運悪くハナバチの雄にしがみついてしまった場合、
交尾したときに、雌の体に飛び移るという。
巣の中に入った1齢幼虫は、そこで、ハナバチの卵を食べる。
そして、脱皮した2齢幼虫はなんと、イモムシ状になり、
今度は、蜜の上に浮いて蜜を食べる。
その後、3齢幼虫になると、また体型が変化し、
ほとんど動かないサナギにそっくりの擬蛹になる。
さらに、擬蛹の中で、またイモムシ状の4齢幼虫になり(逆戻りの変態)、
まもなく通常の蛹となって、ついで写真のような成虫となる。
成虫は林床や草地を徘徊し、苔などを食べているといわれる。
このような特徴的な変態を「過変態」と呼ぶが、
何故、3齢幼虫が蛹に似た姿になるのかは、
まだ明確に解明されてはいないらしい。
しかも、ツチハンミョウ類はカンタリジンという猛毒を、体内に持っている。
だから、この子に、不用意に触れると、強い痛みを感じ、水泡を生じる。
カンタりジンの哺乳類に対する毒性は高く、
昆虫類の持つ有毒成分の中でも、トップクラスになると思う。
また、カンタりジンを持つ昆虫類は多く、
ツチハンミョウ類の他にも、ジョウカイボン類、カミキリモドキ類、
アリモドキ類、ハネカクシ類などが知られている。
昔は、毒薬や媚薬、あるいは育毛剤などに用いられたという。
何でこんな不思議な昆虫がいるんだろうか?