不思議なシダの泡 ヨフシハバチ類の泡巣だった
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この記事は、新ブログへの移行に伴い、写真を最新のものに入れ替えて、
サイズも大きくして見やすくし、説明文も加筆・修正を行っています。
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【不思議な白い泡(改定)】
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http://sallygenak.livedoor.blog/archives/2019-09-25.html
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このブログで、以前2回に分けて紹介したように、
普段目につきやすい葉っぱの「白い泡」には、
微妙に異なる様々な形状や質感のものがあり、
アワフキの仕業ではないものも、予想外に多かった。
良く似てるのに! 葉っぱの白い泡塊【その1】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150429/1/
今回は、シダの「ちょっとだけ不思議な泡」について、
現在までに分かっていることを、まとめて紹介したい。
ヨフシハバチ類の泡巣(葉の表面)
2015年7月5日 だんぶり池・青森
こんな感じで、オシダの葉の裏側に見え隠れする白い泡は、
ヨフシハバチ類【注】の幼虫の泡巣であることが分かっている。
⇒この時期になると、だんぶり池の林道では、
本家のアワフキの泡巣は、あまり見られなくなり、
オシダの泡巣が、結構目立つようになる。
周辺には、他に数種のシダ類があるのだが、
この白い泡は、オシダにしか出現しないようだ。
ヨフシハバチ類の泡巣(葉の裏面)
2015年7月5日 だんぶり池・青森
逆に、本家のアワフキの泡巣が、シダ類にもできるのかどうかは不明だ。
⇒ただ、ヨフシハバチの泡は、粒が小さく、
クリーミー(?)な印象があるので、識別は十分可能だ。
とりあえず、シダの泡の中には、幼虫は見つからない。
ただ、泡で隠れた葉柄の部分には、さりげなく穴が開いていて、
内部に虫が隠れていそうな気配が十分あるのだ。
カッターナイフで、穴の周辺を切り取って、
中にいるはずの虫を探してみよう。
予想どおり、中から小さな幼虫が出てきた。
幼虫の齢は不明だが、良く見かけるハバチ類とは、
全く違う雰囲気で、ウジムシ状(?)である。
⇒サイズ的には、葉柄の直径よりも大きくなることはないので、
成虫は、かなり小さいことが予想される!!!
・・・可哀そうだが、もう1匹だけ、確認しよう。
この子は、ハバチ(葉蜂?)の幼虫なのに、
シダの葉っぱを、食べるわけではなく、
葉柄の中に潜んで、汁を吸っているのだろう。
⇒本家のアワフキの幼虫は、口針を道管に差し込み、
そこを流れる液の中のわずかな栄養分を吸収し、
残りは全て排泄して、泡巣を形成する。
シダ類にも維管束(道管と師管)があるはずで、
ヨフシハバチの幼虫が、葉柄のどの部分にいるのかは不明だが、
アワフキと同じような仕組みで泡が出来るのだろう。
・・・こんな不思議な泡も見つかる!!!
ヨフシハバチ類の3連結の泡巣
2015年7月8日 だんぶり池・青森
たまに2連結のものは見つかるのだが、
3連結は、今回が最初の出会いだった。
⇒本家のアワフキでは、絶対に見られない現象だ。
しかも、かなり不思議なことに、
泡巣の左側の部分に、3ヶ所の穴が確認できる。
脱出した幼虫3匹分の穴なのだろうか?
⇒産卵する雌が、思わず(?)3個も、
同じ葉柄に産卵してしまったのか?
または、別々の3匹の雌が、
偶然近くに産卵したのか?
とりあえず、マーキングして、
その後の様子を見ることに・・・
・・・そして、2日後、
ヨフシハバチ類の泡巣(泡除去)
2015年7月10日 だんぶり池・青森
マーキングしておいた3連の泡巣は、
前々日と全く同じ状態で見つかった。
⇒泡のない3個の穴もそのままで、
内部に幼虫がいる気配は全くなかった。
早速、泡を取り除いてみると、予想どおり、
泡の真下に3ヶ所の穴(赤矢印)が確認された。
写真左の青矢印は、2日前に見つけた、
泡がない部分にあった3個の穴である。
そして、真ん中の赤矢印の先には、幼虫が見える。
他の2個の穴の中にも幼虫がいるはずで、
破壊検査をすれば、見つかるだろう。
これは一体、何が起こっているのだろうか??
⇒もっとも考えやすいのは、同一の葉柄内に、
3匹の幼虫がいたのでは、食物不足になって、
お互いに、場所を移動したかったのだろう・・・???
・・・そして、さらに2日後の衝撃!!!
ヨフシハバチ類の泡巣(完全修復!)
2015年7月12日 だんぶり池・青森
まさかと思ったのだが・・・
驚くべきことに、右側の泡3個分が、
さりげなく、完全修復されていたのだ。
見た目も、最初の写真と、ほとんど一緒だ。
⇒こんな泡巣が、少なくとも2日で完成してしまうのだ。
しかも、3個同時に!!!
まだまだ、この葉柄で十分に泡が出来るということは、
最初に見つけた泡のない部分(左側3個)の穴は、
栄養不良で放棄したものではなかったようだ。
この「ちょっとだけ不思議な現象」を解明するには、
ヨフシハバチ類の生態や生活史について、
まだまだ、知らないことが沢山ありすぎる。
⇒残念ながら、成虫の姿を確認することも
まだ出来ていないし・・・
という訳で、もう少し(?)謎のままにしておこう。
【注】ネット情報では、日本産ヨフシハバチ科には、
Blasticotoma属が4種、Runaria属が2種知られている。
また、別の情報では、幼虫がシダを食べるヨフシハバチ科に、
13種が記載されて、やや分類が混乱してるのかもしれない。