不思議なホバリング吸蜜
ミツバチやチョウとは違って、
花びらに止まらないで、
空中を飛びながら吸蜜する昆虫がいる。
以前紹介したオオスカシバが有名であるが、
まだ他にも仲間がいる。
オオスカシバに良く似ているが、
羽が透明ではないヒメクロホウジャクという蛾だ。
見事にホバリングしながら、口吻を花びらに差し込んでいる。
こちらも、同じ仲間のホシホウジャクという蛾である。
10年ほど前までは、こういう写真を撮るのは、
プロまたはプロ級のカメラマンの独壇場であった。
しかし、最近のカメラは、連射機能と自動焦点モードがあり、
こんな写真も簡単に撮れるようになった。
飛翔能力のある昆虫も、航空機と全く同じで、
離着陸には、かなりのリスクを背負うだろう。
このように、いちいち花にとまらないで、
次から次へと花を移動しながら吸蜜するのは、
かなり効率的であるはずだ。
実に、見事に口吻をのばして、
花から離れて、空中吸蜜している。
多摩動物園の昆虫温室で見たハチドリと全く同じである。
この方が、クモやカマキリなどの天敵の攻撃から、
逃げやすいのかもしれない。
しかし・・・・・・・
実際には、カマキリの攻撃からは逃れられない。
これが、その衝撃の現場写真である。
東京・新木場公園で、「カマキリが花にいるな」と、
カメラを構えると、突然ホシホウジャクが飛んできた。
そして、ホバリングする間もなく、
あっという間に、一撃で捕獲されてしまった。
残念ながら、これは明らかに、
カマキリの射程距離内でのホバリングだったのだろう。
本当にカメラのシャッターを切る間もなくの、
一瞬の出来事であった。
伸びきってしまった口吻が、なんとも哀れであるが・・・
しかし、この出会いは、カマキリの方から見ると、
ホシホウジャクが飛んでくるのを、
予期していたようなタイミングの捕獲で、
見事という他はない。