空飛ぶイッカク ビロウドツリアブ
早春にしか見られない、ちょっとだけ不思議なアブがいる。
この子を撮るのは、今回が初めての撮影であったが、
残念ながら「ついに撮れたシリーズ」の4回目ではない。
実は、こんな「さりげなく面白いアブ」がいることを、
今まで、全く知らなかったのだ。
アブの世界(?)には、写真だけの同定が困難なこともあって、
ハチに擬態する種類にしか、興味がなかったのだが、
これを機会に、写真だけでも撮るようにしたい・・・??
ビロウドツリアブ(ツリアブ科)
2015年5月1日 県民の森・茨城
最初は、「変な飛び方をするアブがいる?」と思ったが、
残念ながら、写真は1枚しか撮れなかった。
身体は、全身に細かい毛の生えた普通のアブなのだが、
まるで海中のイッカクのような、前方に長く突き出した口吻が特徴的で、
ちょっとだけ異様な雰囲気であった。
ネット検索で、ビロウドツリアブであることを知った。
・・・それから3日後、
ビロウドツリアブ(ツリアブ科)
2015年5月3日 裏磐梯・福島
今度は、裏磐梯の五色沼の遊歩道で見つけた。
4才の孫を含めた総勢7名の集団の最後尾を歩いていたが、
道路わきの空き地に、全く人を怖がらない感じで、飛び回っていた。
今度は、かなり沢山写真を撮ることが出来た。
⇒確かに、空飛ぶイッカク!!!
ビロウドツリアブ(ツリアブ科)
2015年5月3日 裏磐梯・福島
ネット情報では、この長い口吻で、
ホバリングしながら花の蜜を吸うとされている。
⇒ただ、別の観察では、吸蜜ではなく、
唾液を出して花粉を溶かしてから、
その液を吸っている可能性もあるようだ。
そのホバリングの様子が、まるで上から吊り下げられたように見えるので、
ツリアブと言う名前が付いたそうだ。
個人的には、イッカクのような口吻にちなんだ名前の方が、
良かったと思うのだが・・・
そして、もうひとつ不思議なことがある。
ツリアブ科の幼虫は、寄生性であることが知られている。
まだ見たことがないのだが、この子の幼虫は、
土中に巣を作るヒメハナバチ類の幼虫や蛹に寄生するのだ。
もちろん、内部寄生ではなく、巣の中の卵や幼虫を、
普通に生きたまま食べ尽くしてしまうタイプのようだ。
⇒軽くネット検索したが、産卵の方法や場所など、
どうやって土中のヒメハナバチの巣に入り込むのかが、
まだ分かっていないようである。