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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

続・シダの泡② 巨大幼虫がいた!


(前回の続きです。最初にこちらの記事をご覧ください)
 ↓   ↓   ↓
 http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150922/1/

 


今年になって、青森県内の2か所で、
少なくとも2種のシダ(オシダとコウヤワラビ)と、
もしかしたら未同定の第3のシダ(?)で、
ヨフシハバチ類の白い泡巣が見つかっている。


ヨフシハバチ類の幼虫での同定は、当然できないのだが、
おそらく、ホストのシダの種類によって、
種が異なる可能性は、あるかもしれない【注】

 


弘前市の近辺では、ヨフシハバチ類の泡巣は、
多分7月になってから、普通に見られるようになる。


この頃は、泡を取り除くと、葉柄内に若齢幼虫が見られた。
 ↓   ↓   ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150713/1/

 

 


そして、約2ヶ月ほど経過して、
シダの葉っぱも褐変が目立つようになっても、
まだ白い泡は、まだときどき見られる。

 

 

ヨフシハバチ類の泡巣

2015年9月13日 だんぶり池・青森

ただ、さすがに9月も中旬になると、
泡の中に幼虫がいることは少なくなってきた。


 ⇒虫がいなくなった泡巣の中には、
  よく見ると、シワクチャになった、
  柔らかい脱皮殻のようなものが見つかる。

 

 

 

ただ、上の写真の泡をそっと取り除いてみると・・・

 

 

ヨフシハバチ類の泡巣

2015年9月13日 だんぶり池・青森

泡の中から、予想外に大きな幼虫が出てきた。

このときの状況から考えると、幼虫は、
葉柄の内部に潜入してはいなかったようだ。


・・・と言うか、サイズ的に無理かもしれない。

 

 

 


ヨフシハバチ類の泡巣

2015年9月13日 だんぶり池・青森

もうひとつ、この写真の2連球を開けてみた。


この泡巣にも、巨大幼虫はいたのだが、
泡の柔らかさとか、見た目の状況は、
内部に幼虫がいない場合と比べても、
この時点では、ほとんど差がないようだった。


 ⇒今回は、全部で5個の泡巣を開けたが、
  そのうちの2個に、まだ幼虫がいたことになる。

 

 


  
ヨフシハバチ類の幼虫

2015年9月13日 だんぶり池・青森

穴から、半分はみ出したようになっている巨大幼虫。

やっぱり、こんな巨大幼虫でも、葉柄内に穿孔するのだ!!


この雰囲気で、大きな幼虫が葉柄の中にいたのでは、
それより先の部分に、水分の供給が滞る可能性があるのだが、
このオシダには、先端部分が褐変していない。

逆に、この状況がちょっとだけ不思議だ。


 ⇒しかし、この疑問はすぐに解決した。   
  幼虫の穿孔した部分の強度不足によって、
  風などの物理的刺激で、その部分から折れ曲がり、
  その先の部分が褐変するという簡単な答えだった。

  

 

 

 

ヨフシハバチ類の幼虫

2015年9月13日 だんぶり池・青森

しばらくすると、上の幼虫が這い出してきて、
予想外に素早い動きで、周辺部を歩き回っていた。

おそらく老熟幼虫だろうが、かろうじて、
目(?)と歩脚が確認できる。


この後はどうなるのだろうか?


 ⇒地面に落下して、落ち葉か土の中で、蛹になり、
  そのまま越冬する可能性が高い?

 


飼育が出来るのかどうかも分からないが、
来年こそは、成虫を確認したいものである。

 


【注】ネット情報では、日本産のヨフシハバチ科には、
   以下の6種類が記載されており、幼虫は、
   いずれもシダ類の葉柄に穿孔するようだ。

   Blasticotoma atra Zhelochovtsev  アトラヨフシハバチ 北海道,本州,四国
   Blasticotoma filiceti pacifica Malaise ヨフシハバチ     北海道,本州
   Blasticotoma nipponica Takeuchi ニホンヨフシハバチ 北海道,本州
   Blasticotoma warabii Togashi                                北海道,本州

   Runaria flavipes Takeuchi         キアシヨフシハバチ  本州,四国,九州
   Runaria reducta Malaise           モモグロヨフシハバチ 北海道,本州


   上記6種の分布地域を見ると、青森県内では、
   すべての種が、見つかる可能性がある。

   だから、分布地域で同定することはできない。



     

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