リアルな糞擬態 ウスイロカギバ幼虫
虫たちの中には、獲物を探す捕食者に対して、
普段の食べない物に似せることにより、
自分の身を守ろうとするものがいる。
鳥の糞のように見える虫は、その代表のひとつで、
沢山の虫たちが、程度の差はかなりあるものの、
その生存戦略を採用しているのだ。
そんな「鳥の糞擬態」と言えば、東の横綱は、
その名のとおり、トリノフンダマシになるだろう。
【鳥のフン擬態【3】 トリノフンダマシ】
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120821/1/
西の横綱は、やはり、オカモトトゲエダシャク幼虫だろうか?
【糞擬態!! オカモトトゲエダシャク幼虫】
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150117/1/
そして、今回紹介するウスイロカギバの幼虫は、
あまりにもリアル過ぎて、同じ土俵には上がれない?
もし、どうしても番付に名前を出すと言うならば、
関脇とか小結では、決してない!!!
とりあえず、北(?)の横綱とでもしておこう【注】。
最初に、東西の正横綱の写真をもう一度・・・
鳥の糞擬態
左: トリノフンダマシ 金山町・秋田(20120806)
右: オカモトトゲエダシャク幼虫 猿羽根山・山形(20140604)
このように、接写するとそうでもないのだが、
遠目で見つけたときには、まさに鳥の糞だ。
この雰囲気でも、結構リアルなのだが・・・
本日のメイン、北の正横綱は、予想の斜め上を行く??
・・・閲覧注意?!
非R指定・・・・
ウスイロカギバ幼虫(カギバガ科)
2015年9月23日 芝谷地湿原・秋田
どうだろうか?
この色と形(静止姿勢)
表面の濡れた感じ
未消化の果実の種子?
リアル過ぎて、鳥も人間も、蛾の幼虫とは思わない。
同行した妻と娘も、触って動き出すまでは、
本物の糞だと思い込んでいたようだ。
⇒これは、マジでヤバイだろう!!
ウスイロカギバ幼虫(カギバガ科)
2015年9月23日 芝谷地湿原・秋田
同属のギンモンカギバ幼虫も、リアルな糞擬態で、
やはり同じウルシ類の葉っぱで見つかる。
ネット情報によると、尾状突起の長さが、
ギンモンは、ウスイロの2倍近くあるので、
この部分を見るだけで、識別は可能のようだ。
この子は、ウスイロカギバ幼虫で間違いないだろう。
ウスイロカギバ幼虫(カギバガ科)
2015年9月23日 芝谷地湿原・秋田
刺激すると、急に身体を伸ばして、
ノロノロと歩きだした。
むしろ、これで動くのか? という感じの虫だ。
⇒妻と娘も、ようやく納得したようである。
この格好になっても、小動物の糞のイメージがある。
それにしても、糞に擬態とは!!!
地面に水平に広がっている大きな葉っぱの上には、
枯れ枝や花の残骸など、色々なものが落ちて来ている。
確かに、その中に紛れ込んでいる鳥のフンのような虫は、
隠蔽的擬態であるような気もするが、
実際には葉っぱの上の鳥の糞は、逆によく目立つのだ。
しかし、餌を探す野鳥類の関心を引くことはないはずだ。
だから、このブログでは、仮に「非食物擬態」と呼んだ。
詳細は、以下の記事をご覧ください。
【隠蔽的擬態の虫は、本当にいるのか???】
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150210/1/
【注】南の横綱があるとすれば、やはり・・・
過去に、ヒトツメカギバという蛾(成虫!!)が、
交尾することによって、本来の左右対称の蛾の輪郭を消して、
2匹の重なりで、鳥の糞に見えるという記事を書いた。
カギバ類は、成虫になっても、鳥の糞に見えるのだ。
興味ある方は、是非、下の元記事をご覧ください。
【これは交尾擬態か? ヒトツメカギバ】
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20120918/1/