綺麗なゴミムシ?
ヤホシゴミムシという鮮やかなオレンジ色の体に、
白色の水玉模様があるゴミムシがいる。
こんな色合いならば、ゴミムシと名前が付くのが、
ちょっとだけ可哀そうなほどの美麗種になるだろう【注】。
ヤホシゴミムシ(オサムシ科)
2015年6月6日 だんぶり池・青森
こんなふうに、緑色の葉っぱの上にいると、
オレンジ色のゴミムシは、遠くからでもよく目立つ。
地面や落ち葉の中にいれば、あまり目立たないのだろうが、
実はこの子は、完全な樹上性なのだ。
木の枝や葉の上を歩き回って、蛾の幼虫などを捕食する。
何故か、後ろに、アリがいるのだが・・・
ヤホシゴミムシ(オサムシ科)
2015年6月6日 だんぶり池・青森
一般的な警戒色の虫たちと違って、この子は、
かなり歩行速度が速く、なかなか静止してくれない。
何故か、アリも後を追う!!
アリのこのような行動は、しばしば見られるが、
おそらく、ちょっかいを出せば、
きつい防御物質の一発をくらってしまうだろう。
カメムシの匂い成分の直撃も含めて、
アリは化学物質には、かなり弱いのである。
カメムシの匂いの不思議【02-05】アリに対する防御効果
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101108/1/
ヤホシゴミムシ(オサムシ科)
2015年6月6日 だんぶり池・青森
そのような強い臭気の防御物質を放出することで、
オレンジ色の体色は、典型的な警戒色ということになる。
ただ、他のゴミムシの仲間の多くは、
体色は黒を基調としており、一般的には保護色とされる。
化学的な防御物質を放出する種は、保護色であることが多い。
そのほうが、捕食者がビックリする程度が高いからである。
この関係は、カメムシの場合と同じと考えられる。
カメムシの匂いの不思議【04-05】: 警戒色と不味成分
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20101110/1/
ヤホシゴミムシ(オサムシ科)
2015年6月6日 だんぶり池・青森
とりあえず、カメラのシャッターを押しながら近づくと、
あっという間に、飛び去ってしまった。
結局4枚の写真が撮れただけだったが・・・
上が、飛び立つ寸前の写真!!
樹上性のゴミムシは、何種類かいるようだが、
警戒色なのは、多分ヤホシゴミムシだけだろう。
以前このブログでも紹介したキボシアオゴミムシも、
やや目立つ体色であるが・・・
虫たちの親子-19 多分キボシアオゴミムシ
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150305/1/
同じような食性で、防御物質も放出するのに、
なぜ、本種だけが、よく目立つ色彩に進化してきたのか、
非常に興味深い現象であると思う。
【注】まあ、ゴミムシの仲間では、美麗種なのだろうが・・・
無理を承知で、さらに批判も甘んじて受けるとして例えるならば、
最近ブームになっている美女と言われる女性アスリートたちが、
競技場や、巣鴨の地蔵通りを歩くと、みんなが振り返るが、
例えば六本木や表参道を歩いても、誰も振り返らない?
これで、すべての女性の虫マニアを、敵に回してしまった。