警戒色の虫たちと有毒植物② 虫たちにも好き嫌い?
人間の特権だと思われていた「食べ物の好き嫌い」・・・
実は、葉っぱを食べる虫たちにも、
(当然、その虫たちを食べる捕食者にも、)
どうやら「好き嫌い」があるようなのだ。
(当然、その虫たちを食べる捕食者にも、)
どうやら「好き嫌い」があるようなのだ。
少なくとも、虫たちの場合には、
栄養源(餌!)とする植物は、
ある程度、限定されていることが多い。
栄養源(餌!)とする植物は、
ある程度、限定されていることが多い。
だから、一部の(!)人間のように、
食べようと思えば食べられるものを、
単に、「嫌いだからという理由で食べない」
ということは、有り得ないと思っていた。
食べようと思えば食べられるものを、
単に、「嫌いだからという理由で食べない」
ということは、有り得ないと思っていた。
しかし、虫たちは、それしかなければ、
普段は絶対に食べないものでも、
さりげなく食べることがあるのだ。
普段は絶対に食べないものでも、
さりげなく食べることがあるのだ。
まさか、虫たちにも「好き嫌い」があるなんて!?
⇒(前報①と同様に、写真と本文とは無関係です)
その中で、個人的に一番ショックを受けたのは、
アメリカのブラウワー博士が、半世紀も前に行った、
ベイツ型擬態に関する実験の内容である。
アメリカのブラウワー博士が、半世紀も前に行った、
ベイツ型擬態に関する実験の内容である。
【擬態の不思議【2】 標識的擬態(Mimicry)】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110116/1/
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110116/1/
詳細は、上記ページで紹介したが、
オオカバマダラ幼虫は、それしかない場合、
キャベツだけを餌として食べ続けても、
普通(!)に、成虫になるのだ。
オオカバマダラ幼虫は、それしかない場合、
キャベツだけを餌として食べ続けても、
普通(!)に、成虫になるのだ。
よく知られているように、オオカバマダラ幼虫の食草は、
有毒植物のトウワタ(ガガイモ科)である。
有毒植物のトウワタ(ガガイモ科)である。
幼虫が毒成分(カルデノライド)を食べ、
それを、体内に蓄積して羽化するため、
鳥は、オオカバマダラ成虫を食べない。
それを、体内に蓄積して羽化するため、
鳥は、オオカバマダラ成虫を食べない。
ところが、かなり不思議なことに、
オオカバマダラ幼虫をキャベツで飼育すると、
実験的に、毒のないオオカバマダラ成虫が得られるのだ。
オオカバマダラ幼虫をキャベツで飼育すると、
実験的に、毒のないオオカバマダラ成虫が得られるのだ。
この成虫を、研究室で雛から育てられて、
一度もオオカバマダラを経験していない鳥は、
何の抵抗もなく、喜んで(?)食べる。
一度もオオカバマダラを経験していない鳥は、
何の抵抗もなく、喜んで(?)食べる。
⇒もちろん、自然界では、
こんなことは、起こらないのだろう。
こんなことは、起こらないのだろう。
その一方で、間違いなく、
オオカバマダラ幼虫には、
好き嫌いがあることが分かったのだ。
オオカバマダラ幼虫には、
好き嫌いがあることが分かったのだ。
もう一つ例を示そう!!!
これも、かなりショックを受けたのだが・・・
【クズの葉に集まるカメムシたち】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140614/1/
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140614/1/
市街地の小さな雑草地のクズに、ナガメがいたのだ。
偶然にクズの葉に、成虫が飛来したのではない。
偶然にクズの葉に、成虫が飛来したのではない。
その場所で、同時に幼虫集団も発見したからである。
早春に、菜の花畑で見られる警戒色のナガメは、
アブラナ科植物の害虫として、よく知られている。
アブラナ科植物の害虫として、よく知られている。
私も、学生時代に実験材料として、
大量に飼育してきた経験があるのだが、
当時は、どんなにエサが枯渇してきても、
アブラナ科植物以外で飼育しようとは思わなかった。
大量に飼育してきた経験があるのだが、
当時は、どんなにエサが枯渇してきても、
アブラナ科植物以外で飼育しようとは思わなかった。
だから、上記ページで述べたように、
自然状態で、ナガメの成虫と幼虫を、
同時にクズの葉っぱで発見したときは、
かなりのショックを受けた。
自然状態で、ナガメの成虫と幼虫を、
同時にクズの葉っぱで発見したときは、
かなりのショックを受けた。
最初は、何かの間違いではないかと、
付近のアブラナ科植物を探したのだ。
付近のアブラナ科植物を探したのだ。
⇒これは、前述のオオカバマダラのように、
実験的に食べさせたものではない。
実験的に食べさせたものではない。
まったくの自然状態で、ナガメ幼虫が、
マメ科のクズから、吸汁しているのだ。
マメ科のクズから、吸汁しているのだ。
これも、好き嫌いの範疇なのだろうか???
さらに・・・
もう、半世紀以上前の話なのだが、
カイコは、何故クワの葉っぱしか食べないのか、
沢山の人たちが研究していた。
カイコは、何故クワの葉っぱしか食べないのか、
沢山の人たちが研究していた。
当然のこととして、様々な実験を繰り返して、
クワの葉に含まれる特有の物質を見つけ出そうとしたが、
実験は、ことごとく失敗に終わった。
クワの葉に含まれる特有の物質を見つけ出そうとしたが、
実験は、ことごとく失敗に終わった。
そして当時の最終結論は、
「クワの葉には、カイコガ嫌う成分が含まれていない!」
というものだった・・・最新の研究結果は知りません(?)。
「クワの葉には、カイコガ嫌う成分が含まれていない!」
というものだった・・・最新の研究結果は知りません(?)。
⇒カイコがクワの葉っぱしか食べないのは、
クワにしか含まれていない物質を頼りに、
食物選択をするとしか思えなかったのに・・・
クワにしか含まれていない物質を頼りに、
食物選択をするとしか思えなかったのに・・・
忌避成分が含まれていないのが、
クワの葉っぱだけだったとは!!!
クワの葉っぱだけだったとは!!!
このことを、無理矢理に拡大解釈すると、
クサギカメムシなどの広食性(何でも食べる?)虫たちは、
植物側の防御物質(2次代謝物)を巧みに避けて、
エサとなる植物を探し出している可能性もあるはずだ。
クサギカメムシなどの広食性(何でも食べる?)虫たちは、
植物側の防御物質(2次代謝物)を巧みに避けて、
エサとなる植物を探し出している可能性もあるはずだ。
やはり、これも好き嫌いの範疇になるのかも・・・
・・・というわけで、
予想外の「虫たちの好き嫌い」現象!!!
その根拠の一つになりそうな条件が、
微妙に弱い毒性を示す植物成分の存在だ。
微妙に弱い毒性を示す植物成分の存在だ。
(次回に続きます)
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