警戒色の虫たちと有毒植物③ アブラナ科
予想外の「虫たちの好き嫌い!」・・・
こんなことが起こっている原因として、
おそらく、微妙に弱い毒性を示す植物が、
関係していると思う。
おそらく、微妙に弱い毒性を示す植物が、
関係していると思う。
⇒比較的強い毒性を示す植物の場合には、
虫たちの警戒色・捕食者の学習能力があれば、
このブログで何度も紹介しているような、
ベイツ型擬態などの有名な関係が成り立つ。
虫たちの警戒色・捕食者の学習能力があれば、
このブログで何度も紹介しているような、
ベイツ型擬態などの有名な関係が成り立つ。
あまり強くない有毒成分に対する虫たちの反応は、
種類によって明らかに異なるし、もしかしたら、
個体レベルで、食べるか・食べないか(好き嫌い)が、
あるのかもしれない。
種類によって明らかに異なるし、もしかしたら、
個体レベルで、食べるか・食べないか(好き嫌い)が、
あるのかもしれない。
しかも、このような弱毒性植物は、
どこにでも、普通に見られる。
どこにでも、普通に見られる。
例えば、人間が食べても、毒性を示さないキャベツ。
⇒フォークの名曲「神田川」の歌詞にあるように、
毎日毎日キャベツを食べ続けても大丈夫だ。
毎日毎日キャベツを食べ続けても大丈夫だ。
さらには、前報②で紹介したように、
オオカバマダラの実験で、キャベツは、
無毒のコントロール(対照)として使われたほど、
よく知られた安全な野菜なのだろう。
オオカバマダラの実験で、キャベツは、
無毒のコントロール(対照)として使われたほど、
よく知られた安全な野菜なのだろう。
キャベツ畑で見られるチョウ目の害虫は、
コナガ、モンシロチョウ、ヨトウ類や、
ウワバ類などが思い浮かぶが、いずれも、
いわゆる警戒色の幼虫ではない。
コナガ、モンシロチョウ、ヨトウ類や、
ウワバ類などが思い浮かぶが、いずれも、
いわゆる警戒色の幼虫ではない。
・・・しかし!
早春の菜の花で見かける赤と黒の良く目立つカメムシだ。
この子は、成虫になってからは、防御物質を放出しない。
だから、カメムシの匂いはしないが、
植物起源の有毒成分を体内に持つので、
多くの捕食者が避けることが確認されている。
植物起源の有毒成分を体内に持つので、
多くの捕食者が避けることが確認されている。
【0209 虫たちの防御戦略⑤ Ⅱ(4). 警戒色】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130209/1/
警戒色のカメムシ類は、臭気成分を放出しないか、
あるいは、放出してもごく僅かであり、
体液に食草起源の不味成分を含んでいる。
あるいは、放出してもごく僅かであり、
体液に食草起源の不味成分を含んでいる。
飼育中の捕食性の動物類に、
さまざまな種類のカメムシを与えると、
匂いを大量に放出する保護色のカメムシは、
平気で食われてしまうが、逆に、
無臭の警戒色のカメムシは、捕食されることはない。
さまざまな種類のカメムシを与えると、
匂いを大量に放出する保護色のカメムシは、
平気で食われてしまうが、逆に、
無臭の警戒色のカメムシは、捕食されることはない。
さらに、そのような警戒色のカメムシ類は、
野鳥類の胃の内容物のリストにも発見されないので、
不味成分を体内に蓄積するカメムシは、
野鳥類に食われない可能性が高いのである。
野鳥類の胃の内容物のリストにも発見されないので、
不味成分を体内に蓄積するカメムシは、
野鳥類に食われない可能性が高いのである。
⇒どうでも良いことだが、これは、
私の大学時代の卒論のテーマでもある。
私の大学時代の卒論のテーマでもある。
ただし、寄主は、アブラナ科の植物である。
ん!!
キャベツやダイコンは、有毒?
よく知られているように、アブラナ科植物には、
カラシ油配糖体などの辛味のある成分が含まれる。
カラシ油配糖体などの辛味のある成分が含まれる。
ワサビやカラシのように、多少辛い物でも、
人間は、香辛料として食べることもある【注】。
人間は、香辛料として食べることもある【注】。
さらには、コーヒーやニガウリのように、
かなり苦い味がしても、それなりに、
食べたり飲んだりすることもある。
かなり苦い味がしても、それなりに、
食べたり飲んだりすることもある。
もちろん、好き嫌いの範囲で・・・
ただ、これは好き嫌いではないかもしれないが、
驚くべきことに、ナガメは、前報②で紹介したように、
成虫も幼虫も、クズの葉っぱから吸汁することがある。
驚くべきことに、ナガメは、前報②で紹介したように、
成虫も幼虫も、クズの葉っぱから吸汁することがある。
【クズの葉に集まるカメムシたち】
↓ ↓ ↓
http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140614/1/
この場合は、おそらく体液に不味成分が含まれていないので、
学習していない捕食者に食べられてしまうかもしれない。
学習していない捕食者に食べられてしまうかもしれない。
⇒特殊なベイツ型擬態かも・・・??
もう一つ例を示そう!!
幼虫も、成虫も決して警告色ではない。
ただ、知人の話では、野鳥類は、
キャベツにいるモンシロチョウの幼虫(アオムシ)を、
あまり好んで食べることは、無いようである。
キャベツにいるモンシロチョウの幼虫(アオムシ)を、
あまり好んで食べることは、無いようである。
つまり、見た感じ「不味そうに」食べるのだそうだ。
ちなみに、最近日本へ侵入・定着したとされる、
オオモンシロチョウという同じアブラナ科の植物を、
食草とするチョウの幼虫がいる。
オオモンシロチョウという同じアブラナ科の植物を、
食草とするチョウの幼虫がいる。
成虫は、モンシロチョウと良く似ているが、
幼虫の色彩が全く違って、黄色と黒の模様で、
どちらかというと、警告色なのだ。
幼虫の色彩が全く違って、黄色と黒の模様で、
どちらかというと、警告色なのだ。
この違いは、別に大した違いでもなさそうだが、
虫たちの警戒色や標識的擬態の進化を考える上で、
重要なヒントが隠されていると思う。
虫たちの警戒色や標識的擬態の進化を考える上で、
重要なヒントが隠されていると思う。
次回④に続きます。
【注】ネット情報によると、植物体が傷つくと、
ミロシン細胞内の酵素(ミロシナーゼ)が、
配糖体を加水分解してイソチオシアン酸アリルを遊離する。
この物質がワサビやカラシ、大根おろしなどに特有の、
ツン!とした辛味の成分であるようだ。
ツン!とした辛味の成分であるようだ。
・・・ということは、
カメムシ類は、あまり植物体を傷つけることなく、
成分を吸汁するので、辛さを感じないのかもしれない。
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