警戒色の虫たちと有毒植物④ イラクサ科
虫を探しながら、夢中で写真を撮っていると、
突然、手に鋭い痛みが走ることがある。
その原因の多くは、ノバラ類のトゲであるが、
イラクサ(刺草)に触ってしまった場合も少なくない。
良く知られているように、イラクサの仲間には、
葉っぱと茎に刺毛があり、無意識に触ってしまうと、
鋭い痛みと痒みが残ることがあるのだ。
バラのトゲのように、物理的な痛みだけでなく、
イラクサには、化学物質による痛み(!)もある。
ただ、何故イラクサ類の有毒成分が、
このような痛みの原因にあるのか、
ちょっとだけ不思議な気がする。
⇒ネット情報では、多くの種にはギ酸、
セロトニン、ヒスタミンなどが、
含まれているとされるが、それが、
本当に鋭い痛みの原因なのだろうか?
そんなイラクサ科の植物の葉っぱを、
さりげなく食べる虫たちが結構たくさんいる!!
フクラスズメの幼虫は、イラクサ科のイラクサや、
カラムシ、ヤブマオなどの葉っぱを食べる。
体色は、黄色と黒色のツートンカラーに、
赤い斑紋が並ぶ明らかな警告色である。
⇒ただ、この雰囲気の幼虫を、
野鳥類が、食べるかどうかは不明である。
もし、食べたとしても、
あまり好きではなさそう・・・?
この子は、上のフクラスズメ幼虫の身体に、
いかにも危なそうなトゲトゲで武装している。
食草は、イラクサ科のコアカソとされるが、
アカソの仲間(ヤブマオ属)では、
毒性は確認されていないよだ。
⇒目立ちやすい警戒色であるが、
フクラスズメ幼虫と同様に、
野鳥類が食べるかどうかは、
余り情報がないのだ。
ただ、どう考えても、捕食者は、
一般的な「好き嫌い」の範疇で考えれば、
前報のモンシロチョウ幼虫よりも、
好んで食べることはないように思う。
その一方で・・・・
アカソの葉っぱをよく観察すると、
数枚の葉を縦長の円筒状に巻き込み、
糸でつづり合わせたようなものが見つかる。
巻葉と呼ばれるウコンノメイガ幼虫の巣である。
内部を調べると、右上の写真のような、
ウコンノメイガ幼虫が見つかる。
この子は、大豆の葉っぱも食べるので、
基本的に体色は、警告色ではない。
・・・というわけで、
イラクサ科の植物を食べる虫たちの中にも、
明らかな警戒色と保護色の種類がいるので、
前回のアブラナ科植物と同じ状況と考えられる?
(次回、セリ科植物に続きます)
PR