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  • 2017.07
カメムシの匂いの不思議【01-05】 外敵に対する防御効果


種を細かく分化することによって、
この地球上に非常な繁栄を続けているとも言える昆虫類は、
その一方で、多くの捕食性動物の重要な食物源になっている。

昆虫類は、非常に興味深い様々な生存の方法を発達させているが、
外敵に対する防御行動は、重要なもののひとつであるに違いない。

そして、捕食者と被食者との出会いの場面では、
それぞれの当事者の仕草・行動は、ある程度予測はつくものの、
いつでもドラマチックであり、観察者に強烈な印象を与える。



カメムシ類の放出する(少なくとも人間にとって)強烈な悪臭は、
その外敵に対する防御効果が、完璧であるかのような印象を与える。

しかし実際には、悪臭を放っているカメムシを、
ニワトリ、ネズミ、カマキリ、オサムシ、アリなどの飼育容器に、
そっと放してみると、状況はどうであれ最終的には、
アリ以外の捕食者が平気でカメムシを喰ってしまう。

自然状態でも、多くの野鳥類やクモ、カマキリ等の捕食者が、
悪臭を放出するカメムシを平気で食うことが、しばしば観察されている。

実際に、水田の害虫ミナミアオカメムシの重要な捕食者として、
多くのクモ類やカエルが報告されている。

また、石川県では、イネのクロカメムシの防除にアヒルが使用されたことがあり、
早朝に空腹のアヒルのヒナが水田に放たれたとき、
1時間に200頭ものカメムシを捕食したことが報告されている。

さらに、野鳥類の胃の内容物を調べたリストの中に、
(保護色の)カメムシ類がしばしば発見される。

これらのリストを詳しく見ると、
防御物質を放出するといわれるゴミムシ、オサムシなども同時に発見され、
化学物質を体外に放出する場合の実際の防御効果は、
野鳥類との実際の出会いの場面では、むしろ否定的であると言える。


当然のことであるが、上記の観察結果は、カメムシの匂いの防御効果を、
全く否定しているわけではない。

ただ、「人が感じる匂いの強烈さほどの防御効果は、どうもなさそうである」
というのが、今回の結論である。


 しかしながら、カメムシが、

(1)接触毒として作用する臭気成分を生合成する腺【gland】、
(2)それを使用開始直前まで保存する貯蔵嚢【resourver】、
(3)臭気成分の放出角度を変化させることのできる開口部の構造【spout】

を進化させてきているという3つの事実は、
そのためにカメムシを食わなくなった(元)捕食者がいることを想像させる。


そして、カメムシの生息場所、行動習性および体サイズ等を考えると、
その可能性の最も高い捕食者は、やはりアリである。

多くの観察結果によると、体表が細かい毛や鱗粉で覆われていないアリが、
カメムシの臭気成分の直撃を受けると、以後の攻撃ができなくなり、
場合によっては死亡することもある。

もし、カメムシがアリに対して身を守ることができなければ、
特に飛ぶことができない幼虫期には、
かなりの頻度で攻撃を受けていたのかもしれない。

カメムシの臭気成分がの防御効果が、アリにしか有効でなかったとしても、
それは、かなり大きな意味を持っているといえる。

次回、さらに詳しく検討する。
 

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【2010/11/07 18:53 】 | カメムシの匂い | 有り難いご意見(0) | トラックバック(0)
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