忍者ブログ

ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

君は肉食系なの?? ツマジロカメムシ


前回のスコットカメムシに良く似たカメムシがいる。

市街地から、山地まで、どこにでもいるイメージの、
絶対的普通種ツマジロカメムシだ。
Menida violacea Motschulsky,1861

スコットカメムシと同じ Menida 属なのだが、
この子にも、ちょっとだけ不思議な習性があったのだ。

 

 


ツマジロカメムシ(カメムシ科)

2011年9月15日 白岩森林公園・青森

やや金属光沢のある黒っぽい紫色の体に、
真ん中の白斑がひときわ目立つカメムシだ。

都市近郊の雑木林にも普通に分布し、
どんな植物上でも発見されるイメージがある。


というか、ツマジロカメムシの餌植物は、
まだ特定されていないようなのだ。

 

 


ツマジロカメムシ(カメムシ科)

2012年6月2日 だんぶり池・青森

寄主植物が沢山リストアップされているカメムシは、
クサギカメムシのウワミズザクラに代表されるように、
餌植物がなかなか特定できなかった例が多いのだ。

カメムシ図鑑(第1巻?)には、
「山地のキイチゴ、クヌギ、キリ、フジ、ミズナラ、ノリウツギ、
 ニワトコなど多くの植物に寄生し、初夏から夏にかけて産卵する。
 クロタマゾウムシの幼虫を捕食するといわれる」
と書かれていた。

そういえば、私も、(ずいぶん前の話だが)
サクラの木で見つけた多分ツマジロカメムシの幼虫を、
枝ごと持ち帰って、そのまま飼育しようとしたことがあった。
そのときに、偶然葉っぱに産み付けられていた蛾の卵塊から、
幼虫が吸汁しているのを見かけたことを覚えている。

図鑑に載っていたクロタマゾウムシの幼虫も、
多分移動性が少なく、卵のようなものだと思う。

 

 


ツマジロカメムシ(カメムシ科)

2013年9月10日 梵珠山・青森

というわけで・・・・

もしかしたら、ツマジロカメムシは、肉食もする雑食性(?)で、
単に、動物質の餌を求めて歩き回っているところを採集されて、
沢山の植物が、ホストとして掲載されている可能性があるのだ。

こんなことは、幼虫を捕まえてきて、飼育してみれば、
簡単にわかることなのだが・・・・

 

 

さらに・・・・

 

 

ツマジロカメムシ産卵中

2012年5月29日 南湖公園・福島

これは珍しい(?)ツマジロカメムシの産卵場面である。

ところが、産み付けている植物が、
今まで、ホストとしてリストアップされたことがない(多分?)、
有毒成分を持つケシ科のタケニグサの葉裏なのだ。

 

 


ツマジロカメムシ産卵中

2012年5月29日 南湖公園・福島

カメムシ科でも、何種か食草外産卵は知られているが、
この種でもそうである可能性は、十分ありうるだろう(注)

しかし、このことは、
本種が肉食系(?)カメムシで、クチブトカメムシのように、
どんな植物にでも産卵する可能性を示しているとも考えられるのだ。

 


(注)私も学生時代、実験材料として、
   ナガメを大量に飼育したことがあるが、
   基本的に餌植物であるアブラナ科の葉や茎に産卵することはなく、
   ほとんどが、飼育容器の壁面に産卵した。

   この性質が分かってからは、後処理が楽になるように、
   ジャバラに折りたたんだ「ろ紙片」を、飼育容器内に入れて、
   そこに産卵させていた。

   ふ化幼虫は、基本的に餌植物から吸汁しないので、
   こんなことができるのだと思っていた。

   ただ、その生物学的意味については、
   卵寄生蜂対策かもしれないとは思っていたのだが、  
   実験的に確かめることはできなかった。

   

     

拍手[17回]

PR