君もカメムシなの?
現在は、カメムシ目という名になったので、
あまり気にする人はいなくなったと思うが、
昔の虫屋の間では、どこまでをカメムシと言うかについて、
議論の分かれるところであった。
実は、私が高校生のとき、当時の生物部の仲間たちに、
卒業までにカメムシを、100種類採集すると宣言した。
結果的に卒業の年の3月ギリギリで、100種類になったのだが、
当時の半翅目の中では、どこまでをカメムシとするかは、
分類学上の「ライン引き」が出来ていなかった(多分、今でも・・・)
その当時は、「~~カメムシ科」と付くものを、
すべてカメムシの仲間と、勝手に決めてしまった【注】。
ただし、サシガメ科だけは、さりげなくカメムシに入れたりして、
結構、都合よく100種類になるように、仕分け(?)をした。
これはもちろん、自分だけの設定という、卑怯な反則技だ。
⇒(薄葉先生、同級生、先輩・後輩すみませんでした)
・・・というようなことを白状しつつ、
一般名カメムシという呼び方が、
カミキリとか、トンボとか、セミとかとは違って、
さりげなく、ややこしい問題を含んでいる、
ということを、アピールしたかったのだ。
そして、本題・・・!!
・・・以下の写真の5種類の虫たちは、
高校生時代の「カメムシ100種」を基準とした、
私の卑怯な反則技によると、みんなカメムシなのだ。
多分、多くの方に、賛同していただけると思うのだが・・・
オオメカメムシ(ナガカメムシ科)
2013年6月2日 東海村・茨城
体は、全くの楕円形なので、カメムシには見えない。
頭部は黄赤色で、名前の由来となった大きな目(複眼)がある。
こんなやさしいイメージなのだが、
アザミウマやハムシなどの小昆虫を捕まえて、
体液を吸う肉食性なのだ。
ただ、植物の汁も吸うことが分かっている。
ミツボシツチカメムシ(ツチカメムシ科)
2014年4月25日 ひたちなか市・茨城
この子も楕円形で、体の側縁が細く白色に縁どられ、
背中に3つの白色紋が可愛らしい小さなカメムシである。
その名のとおり、普通は地面にいることが多いので、
葉っぱの上にいるのは、珍しいのかもしれない。
ビロードサシガメ(サシガメ科)
2014年5月31日 筑波山・茨城
ちょっと見ると、ハエ目の虫にも見えるが、
ビロード光沢の翅と、赤黒の縞模様の上品なサシガメである。
この微妙なビロード色は、他種ではあまりないだろう(多分)。
この子も、普段は、地表にいることが多いようで、
私の撮影スタンス(林縁部の葉っぱの上がメイン?)では、
なかなか見かけることがなく、今回が初めての被写体だ。
クロハナカメムシ(ハナカメムシ科)
2014年2月26日 はにわ公園・茨城
真冬に、ケヤキの樹皮をめくってみると、
結構頻繁に見つかる平たいカメムシ。
膜質部にある白帯が、かなり目立つ。
この子は、小さすぎることもあって、
樹皮下で越冬状態でしか、見つけたことはない。
これでも、さりげなく肉食性なのだ。
ハイイロナガマキバサシガメ(マキバサシガメ科)
2013年7月15日 ベンセ沼・青森
最後のこの子が、かなり微妙なのだが、
ギリギリ、カメムシとして構わないだろう。
もちろん、この子も名前のとおり、肉食性だ。
ということで、このブログでは、上の5種が属する科は、
すべてカメムシとして扱っている。
【注】手持ちの日本原色カメムシ図鑑(1993年発行)には、
目次で数えてみると、23の科がカメムシとして(?)、
掲載されていることになる。
そのなかには、グンバイムシ科のように、
明らかにカメムシと付かないものも含まれている。
個人的には、カメムシ亜目(旧異翅亜目)の中の、
カメムシ上科に属するマルカメムシ科、ツチカメムシ科、
キンカメムシ科、カメムシ科、ツノカメムシ科、クヌギカメムシ科と、
ヘリカメムシ上科に属するヘリカメムシ科と、
ナガカメムシ上科に属するナガカメムシ科、ホシカメムシ科、
オオホシカメムシ科までを、カメムシと呼びたい。
ただし、このブログでは、サシガメ科、マキバサシガメ科、
カスミカメムシ科、ハナカメムシ科も、大人の事情から、
色々な箇所で、カメムシとして扱っている。