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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

金属光沢の蛾 キスジホソマダラ


マイナーな金属光沢の虫たち、7回目は、
微妙に金属光沢がある蛾、キスジホソマダラ・・・

 

もちろん、夜行性の種類が多い蛾の仲間で、
金属光沢を持つ種類は、あまり多くない。

と言うか、金属光沢が見られるのは、
昼行性の種類に限られるのかもしれない【注】

しかも、ミヤマカラスアゲハやゼフィルスのように、
翅全体が金属光沢の種類は、多分いないだろう。

 

 


キスジホソマダラ(マダラガ科)

2013年6月6日 ひたちなか市・茨城

青白いメタリックな輝きの触角、頭部、胸部。

そして、前翅の一部にも!!

結構、毒々しいというか、不気味な色である。

 

 

 

キスジホソマダラ(マダラガ科)

2013年6月6日 ひたちなか市・茨城

この色合いは、「どこかで見たことがある」と思ったら、
中世のブロンズ像に似た妖しい輝きだ。

だから、生きているものという感じが全くしない。


これは、生きた彫刻である(言い過ぎ!!)


幼虫時代はいったい何を食べてるのかと、
軽くネットで調べてみると、
有毒植物(?)ではなさそうなススキやササの葉っぱである。


マダラガの仲間なのに???


⇒微妙な有毒植物(例えばキャベツ、ニンジン)については、
 後日まとめて紹介する予定である。


 

 

キスジホソマダラ(マダラガ科)

2013年6月6日 ひたちなか市・茨城

マダラガ科の多くの種類は、熱帯にみられ、
幼虫は、他の虫があまり食べない毒のある葉っぱを食べる。

当然、幼虫はよく目立つ警告色であり、多くの種類が、
その毒を、成虫になるまで保持することが知られている。


簡単に思いつく、以下に代表されるような種類は、
基本的に昼行性で、よく目立つ警告色を持ち、
幼虫も成虫も、おそらく捕食者に食べられることはない。

 ミノウスバ⇒(マサキ)、サツマニシキ⇒(ヤマモガシ)、
 ホタルガ⇒(サカキ)、 ベニモンマダラ⇒(クサフジ)

 

 

しかし・・・

 

 

キスジホソマダラ(マダラガ科)

2010年7月7日 室蘭市・北海道

これは、北海道で撮った個体。

心なしか、金属光沢が弱く、
茨城で撮った個体ほど、青色が目立たない。


地域的なものなのか、個体変異なのか?

 

むしろ、黒地に黄色い筋の模様だけでも、
典型的な警戒色なので、金属光沢は必要ないのだろうか?

キスジホソマダラも、もともとは、南方系の種で、
北海道の個体は、金属光沢が弱くなっている可能性もあるのだ。


⇒これって、もしかして、ひょっとすると、多分、
 異所的種分化の前兆???

 


【注】金属光沢の発色メカニズムは、良く知られていて、
   体表の透明多層膜に、太陽光が反射する構造色であるが、
   当然のこととして、夜行性の蛾の仲間では、
   この仕組みは、あまり進化しなかったようだ。

    

 

 

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