虫を食べる野鳥類⑭ ツバメ
昔は、春になると必ず見かけたツバメが、
何故か、最近はあまり見かけなくなった。
実際に、日本野鳥の会によると、
全国各地で行われた調査では、ほとんど例外なく、
ツバメが減少しているという結果が出ているようだ。
ツバメ(ツバメ科)
2013年6月3日 道の駅きつれがわ・栃木
ツバメが虫を捕獲する瞬間を見た人は多いと思う。
とにかく、物凄いスピードで、目の前を通り過ぎて、
あっという間に飛んでる虫を捕まえる。
そんな光景からは、虫たちが持っている防御手段、
たとえば、擬態とか、保護色とか、警告色とかとは、
全く無関係に、虫たちは捕獲されてしまうようだ。
ツバメ(ツバメ科)
2013年8月7日 道の駅風穴の里・長野
このように、ツバメが餌を入手する方法は、
飛翔中の小さな虫たちを、空中で捕獲するのがメインだと思われる。
ネット情報では、ツバメの主要な餌は、
カ、ハエ、アブ、ユスリカなどのハエ目類が過半数で、
その他に、小型のガ、チョウ、トンボ、カゲロウなどを、
子育て中のヒナに与えているようだ。
さらに、子育て中の両親が餌を運ぶ回数も、詳細なデータがあり、
1日当たり500匹の虫をヒナに与えている。
この数字は、このシリーズ最初に紹介したシジュウカラ夫婦が、
ヒナのいる巣に運ぶ餌の数と、ほぼ同じである。
ツバメ(ツバメ科)
2013年8月7日 道の駅風穴の里・長野
また、日本各地でツバメが減少している原因については、
①自然環境の変化によりエサとなる虫たちの減少、
②人家に軒先がなくなり、住民がツバメの糞を嫌がり、巣を作らせない、
③カラスなどの天敵の増加、
④集団ねぐらのヨシ原の減少、
などが挙げられており、いずれも人間の生活に関係している。
この中で、ツバメが集団でねぐらを形成することは、
あまり知られていないことだと思う。
ツバメは、繁殖期前の3月下旬頃から日本に飛来し、
4月~7月上旬にかけて、夫婦で子育てをする。
繁殖終了後から、10月上旬までに、河川や湖沼周辺の湿原に、
場合によっては、数万羽の個体が集まり、集団ねぐらを形成するのだ。
だから、上記④の河川敷のヨシ原の減少が、
ツバメが少なくなった大きな原因なのかもしれない。
ただ、ヨーロッパやアメリカの各地でも、
ツバメの個体数が急速に減少していることが知られており、
何か別の原因がある可能性も残されている。
・・・・・
見かける機会が減ったというだけで、
全く姿を見ることがなくなったわけではない。
すでに、今年になって、何度も元気な姿を見ている・・・
⇒今年4月中旬に、東北自動車道を、弘前から東京まで、
ゆっくり南下する機会があった。
出発するときの車窓は、道路脇に、まだ残雪が見えていた。
盛岡を過ぎるころから、畑に緑色が目立つようになり、
チラホラ桜が咲き始めたなと思っていると、
仙台あたりで満開になり、福島では、やや散り始めていた。
常磐道に入った茨城では、ほとんど葉桜になっていた。
そんな景色の移り変わりを体感していると、
立ち寄った宮城・福島県内の数か所のSAでは、
ツバメが活発に飛び回っているのを見かけた。