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ちょっとだけ、不思議な昆虫の世界

さりげなく撮った昆虫のデジカメ写真が、整理がつかないほど沢山あります。 その中から、ちょっとだけ不思議だなぁ~と思ったものを、順不同で紹介していきます。     従来のブログのように、毎日の日記風にはなっていませんので、お好きなカテゴリーから選んでご覧ください。 写真はクリックすると大きくなります。   

これはかなり不思議: ミューラー型擬態


ミューラー型擬態とは、
何らかの防御手段を持った別の種同士が
互いに良く似ている現象をいうが、
アシナガバチやスズメバチのように、
近縁種が、同じような色彩と形態を持っていても、
あまり面白くない。

やはり、ミューラー型擬態の醍醐味(?)は、
近縁関係にない種同士が良く似ていることにあると思う。


手持ちの写真の中から、
ミューラー型擬態の当事者を抜き出してみる。

撮影した時には、あまり擬態種とは意識せずに撮っているので、
それぞれ別角度からの違った雰囲気の写真になっているが・・・

 

2010年8月30日【ヨツボシモンシデムシ(シデムシ科)】青森・だんぶり池

このような、赤と黒の模様は、人間にも非常に良く目立し、
とりあえずシャッターを切って、後でパソコンの画面で確認すると、
別種であったりすることもある。

  

2010年7月7日【モンキゴミムシダマシ(ゴミムシダマシ科)】青森・だんぶり池

毒を持っている種類が、それぞれ別々の警戒色をしていると、
捕食者が経験した不味い種の色彩を、
何種類も覚えきれなくなることが予想される。

 

 

  2010年5月30日【イタドリハムシ(ハムシ科)】青森・白神

捕食者が覚えられる種類の数は、なるべく少ない方が、
被食者が生き残る上では有利になるはずで、
必然的に、互いに似たような色の種類になったものと考えられる。

お互いが毒を持っており、どちらかが一度犠牲になれば、
その後は、他の種類も守られることになるからである。

 

  2010年6月22日【カメノコ(テントウムシ科)】青森・梵珠山

つまり、同じ警戒色の仲間が多ければ多いほど、
捕食者の学習する機会が増えて、
個々の被食者にとって、食べられてしまう確率が減るということになる。

⇒当初、ナミテントウとしていましたが、Nabita氏のご指摘により、
 カメノコテントウに訂正しました。

 

ここが、ミューラー型擬態の進化の素晴らしさだ!!

 

 

2010年7月11日【ヨツスジハナカミキリ(カミキリムシ科)】茨城・筑波山

ちょっと待て!!   ヨツスジハナカミキリ君

ちょっと似てるような気がしないでもないが、
君は違うだろ!!!

 

(蛇足)
カミキリ類は、不味成分を持っていないとされている。
したがって、この場合は、ベイツ型擬態の範疇であるが、
やはり不完全である。

ベイツ型擬態の場合は、ミューラー型擬態と違い、
モデル種しか毒を持っていないので、
もし捕食者が先に毒を持たない擬態種の方を食べると、
毒を持つ方もおいしいと勘違いされてしまい、
襲われる可能性が高くなってしまう。

ベイツ型擬態の場合は、擬態を行う種類が増えれば増えるほど、
そのモデル種は損をすることになってしまう。

 

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