これは自然淘汰の結果なの?? アヤトガリバ
背中に、立体的に見えるヘビの模様のある不思議な虫がいる。
以前このブログでも紹介したウスベニアヤトガリバという、
ちょっとだけ素敵で、やや官能的(?)な名前を持った蛾だ。
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20130824/1/
虫にあまり興味のない普通(?⇒!!)の人は、
ウスベニアヤトガリバという名前を聞いただけでは、
おそらく、何組なのかも分からないだろう。
せっかくなので、もう一度、ウスベニアヤトガリバをご覧ください。
ウスベニアヤトガリバ(カギバガ科)
2013年7月27日 城ヶ倉・青森
背中が観音開きの窓のように開いていて、
中に、彫刻のようなヘビ(コブラ?)が見える。
よく見ると、中に見える立体的なヘビは、
下の方が、蛾の胴体とピッタリ繋がっている。
かなり不思議な雰囲気を持つ蛾なのだだ。
ネット情報によると、アヤトガリバの仲間(Habrosyne属)は、
日本に、6種類が生息するようだ。
①ウスベニアヤトガリバ Habrosyne dieckmanni roseola Matsumura,1909
②オオアヤトガリバ Habrosyne fraterna japonica Werny,1966
③アヤトガリバ Habrosyne ryritoides derasoides (Butler,1878)
④タイワンアヤトガリバ Habrosyne indica flavescens Werny,1966
⑤カラフトアヤトガリバ Habrosyne intermedia (Bremer,1864)
⑥ヒメウスベニトガリバ Habrosyne aurorina auronia (Butler,1881)
いずれも、特異な姿かたち(基本形は同じ?)であり、
鱗粉の濃淡で、立体的に描かれたヘビ(コブラ?)のような模様がある。
だから、少なくとも、日本で見られる6種の共通祖先で、
背中に「立体的なヘビ模様を持つ基本的な姿かたち」が完成(?)していた。
その後、何らかの生殖隔離が起こって、6種に分かれたのだろうが、
基本形態はそのままで、色彩・模様が個々の種で多少変化したようだ。
⇒この文章の書き方は、オオトリノフンダマシ、
キイロシリブトジョウカイに続いて、3回目・・・
そして、つい最近、以前紹介した友人とのナイターで、
2種目の、③のアヤトガリバに出会えたのだ。
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20140828/1/
アヤトガリバ(カギバガ科)
2014年8月19日 木賊峠・山梨
多少の色の違いがあるが、全体的な雰囲気は、
最初のウスベニアヤトガリバと同じである。
ただ、この子の方が、ヘビの目(?)が悲しそうで、
ウスベニよりもインパクトは、やや少ない印象がある?
いずれにしても、切り裂かれた(破られた?)穴の奥に、
ヘビがいるだけで、それはもう神秘的な世界だ!!!
アヤトガリバ(カギバガ科)
2014年8月19日 木賊峠・山梨
少し斜めから撮ると、かなり不思議なことに、
ヘビも、こちらを向いているように見えるのだ。
こんなことってあるのか?
・・・・あるのだ!!!!
アヤトガリバ(カギバガ科)
2014年8月19日 木賊峠・山梨
一体何故、こんな模様になったのだろうか?
捕食者との関係から考えるのが普通だろうが、
はたして、この模様を、本能的に嫌う外敵がいるのか?
以前、色々な機能のある目玉模様の紹介をしたときに、
知能を持つ学習できる動物(特に人間!)は、
「意味のないものに意味を見出す」ことを知った。
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20110311/1/
たとえば、携帯電話で良くやる(o^ー^o)のようなもの????
⇒全く無関係の記号を、ある規則で並べるだけで、
様々な表情の人の顔に見せることができるのだ。
しかし、ここで、ちょっとでけ残念な写真が・・・・・
ウスベニアヤトガリバ(カギバガ科)
2013年8月31日 矢立峠・秋田
これは、最初の写真のウスベニアヤトガリバだが、
明るい場所で、こんな風に、草に止まっていたら、
背中のヘビが、全く見えない。
これでは、いとも簡単に鳥に食べられてしまうだろう。
⇒せっかく、ここまでテンション高く紹介してきたのに!!!
でも、これが、ちょっとだけ不思議な昆虫の世界・・・・
追記(2015年9月13日)
チョウや蛾の翅にある動物の不思議な模様について、
最近日本でも紹介された「サティロス型擬態」という概念で、
統一的に解釈できるようになった。
以下の記事をご覧ください。
【古くて新しい擬態 サティロス型擬態】
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http://kamemusi.no-mania.com/Date/20150913/1/